• 目次
  • 前編
  • 後編
毛呂さん

『とびだせ どうぶつの森』ディレクター
『とびだせ どうぶつの森』の開発では、
どんな内容のゲームにしていくかを
中心になって考える役割をされていました。
家具やアイテムの仕組み、南の島のゲームなども
いくつか考えたとのこと。
今回は、やりとりの窓口をしていただきました。
『どうぶつの森』グッズ関係のデザイン監修の
とりまとめもされているそうです。

高村さん

『とびだせ どうぶつの森』デザイナー
ゲームでは、主に村や島、
建物の中のデザインに関わられていたそうです。
今回は、デザイナー代表で実際に手を動かされました。

京極さん

『とびだせ どうぶつの森』ディレクター
毛呂さんと同じく、ゲームの大まかな内容を考える
役割だったそうです。
ゲームの流れや夢の仕組み、ゲーム内で起こるイベントなどを
作るのにも関わられていたそう。
今回は、案出しにご参加いただき、
「もりのせいかつ」デザインの原案者でもあります。

野上さん

Wii用ソフト『街へいこうよ どうぶつの森』までは
ディレクターとして『どうぶつの森』シリーズの
制作に関わられていたそうです。
『とびだせ どうぶつの森』では、
すこし離れたところから制作陣を見守っていたとのこと。
今回は、監督として見てくださっていました。

はらまき2014winter
前編 開発チームがグッズをつくるのは難しい?
ーー
今日は、ハラマキの制作に関わってくださった
『とびだせ どうぶつの森』チームのみなさんに、
お集まりいただきました。
よろしくお願いします。
写真1
みなさん
よろしくお願いしますー。
ーー
今回、『どうぶつの森』というゲームを
モチーフにしてハラマキをつくることになり、
開発チームのみなさんにご協力いただいたのですが、
じつはそれって、めずらしいことだそうですね。
毛呂さん
そうですね。
今日、ここにいるメンバーは、
実際にゲームを作っているスタッフなんですが、
開発チームがゲームのグッズを
直接デザインするというのは、
ほとんどやったことがないんです。
ーー
意外です。
『どうぶつの森』のグッズって、
雑誌のおまけなども含めて
けっこう世の中にありますよね?
それらは直接デザインされてはいない
ということでしょうか。
野上さん
そうですね。
他社さんが企画されてデザインされたものを
監修することはよくあります。
その場合、そこに使われているイラストなどは
ぼくらがつくったものですが、
デザイン自体は他社さんが手がけています。
また、任天堂の社内でグッズをつくることも
ときどきあるんですが、
その場合はぼくら開発チームではなく、
商品のパッケージなどを
デザインするチームが担当します。
野上さん
ですから、開発チーム自体が
グッズをデザインするというのは、
ほぼないですね。
ーー
なるほど───。
京極さん
「クラブニンテンドー」という、
ゲームを買うともらえるポイントをためて
非売品の任天堂オリジナルグッズと交換できる
サービスがあるんですけど、
以前、その交換用のオリジナルグッズとして
『どうぶつの森』の「かるた」をつくったことはありました。
写真2
高村さん
開発チームが直接手がけたグッズは、
あの「かるた」くらいだと思います。
野上さん
そうですね。
ーー
そうだったんですね。
そうとは知らず、当たり前のように
ハラマキのデザインをお願いしてしまったんですが、
最初、びっくりするほどたくさんの
デザイン案をいただいて!
写真3
野上さん
たくさんつくりました(笑)。
ーー
はい、うれしかったです!
京極さん
そう、だから、興味はあるんですよ。
いままでに例がないというだけで、
自分たちでもデザインしたいという気持ちが
ないわけじゃないんです。
毛呂さん
いちから自分たちで商品を
立ち上げたりはしませんけど、
「こんなのあったらいいね」みたいな話は
けっこう出るんです。
野上さん
むしろ、そういう、オリジナルグッズを
『どうぶつの森』というゲームの中でつくってる、
みたいなところがあるんでしょうね(笑)。
ーー
あーー、なるほど。
たしかに『どうぶつの森』の中に
登場するアイテムなどを見ていると、
そういう感じがします。
野上さん
ただ、今回は、ゲームのなかではなく、
リアルの世界で身につけるものということで、
「自分たちが実際に身につけたいデザイン」
ということを念頭において
チームのみんなで考えましたね。
写真4
ーー
ずいぶんたくさんの案をいただきましたけど、
デザイン以外を担当されている方も
考えてくださったんでしょうか?
高村さん
やはりデザイナーが多かったんですけど、
デザイナーじゃない人にも
アイディアは出してもらいました。
サウンドの人とかにも描いてもらいましたよ。
ーー
わー、サウンドの方まで。
今回、「ハラマキをデザインしてください!」という、
どちらかというとちょっと特殊なお願いで(笑)。
普通のグッズ、たとえばマグカップとかTシャツとか、
そういうわかりやすいものじゃなかったので、
戸惑われたんじゃないかなと思ったんですけれども、
ハラマキと聞いて、最初はいかがでしたか?
毛呂さん
うーん、そんなには戸惑わなかったですね。
わりと、各自が思い思いにアイディアを出して
描いていった感じです。
京極さん
こうして見ると、たくさん出ましたねー。
キャラクターが前面に出た
ストレートなデザインもありますし、
パッと見ただけでは『どうぶつの森』が
モチーフだとわからない案もあるし‥‥。
ーー
そうですね。
おしゃれに、柄っぽく仕上げてくださった
デザインも多くて。
高村さん
こういうのとかもそうですね。
写真5
ーー
たくさんいただいて、
ほんとうに候補を絞るのに苦労して。
うちの社内の『どうぶつの森』プレイヤーたちに
「どれがいいと思う?」なんて訊いたりしました。
たくさん描いていただいたのに、
日の目を見ないデザインが多くてすみません!
野上さん
いえ、それは、普段から慣れてます(笑)。
一同
(笑)
ーー
いつも、こんなふうに、
みんなでアイディアを出し合って
ゲームをつくってらっしゃるんですか?
京極さん
そうですね。
『どうぶつの森』チームの場合、
キャラクターとか、家具とか、服とか、
最終的なデザインは担当デザイナーが仕上げるんですが、
アイディア自体は広く募集していました。
ーー
へぇ、おもしろーい。
それは、募集期間があったりして?
毛呂さん
いえ、開発期間中は、ずっと募集中みたいな状態でした。
京極さん
いつでも投稿できるようにしていたんです。
ーー
わー、たのしそうですね!
そういうことって、ほかのゲームでもあるんですか?
それとも『どうぶつの森』チームの特徴?
写真6
野上さん
『どうぶつの森』チームはその傾向が強いですね。
というのも、『どうぶつの森』って、
ものすごくたくさんのグッズが必要なので、
限られた人数で考えていくと
すぐにネタが尽きてしまうんです。
京極さん
好みも偏ってしまうし。
案は出す人が多いほうが、いろんな意見が出るので。
男女、年齢、いろんな人がいた方がいいですよね。
ーー
『どうぶつの森』って、
子どもも大人も男女も関係なく。
幅広くいろんな人が楽しめて、。
オーソドックスな趣味の人も。
個性的な趣味の人も同じように。
ゲームをたのしめるのがすごいなあ、。
と思っていたんですが、。
そういうつくりかたをしていたからだったんですね。
京極さん
そうかもしれませんね。
ちなみに、このハラマキのデザイン案、
みんなで出し合ったあとに、
いちおう、内部で投票をやったんですよ。
ーー
あ、そうだったんですか。
京極さん
そのときの傾向としては、
どちらかというと、キャラクターが前面に出ている物よりも、
「あ、これはあのデザインだね」っていうような、
「わかる人にはわかる」感じのデザインが
票を集めていたんですけど、
「ほぼ日」さんに選んでいただいたものは
「これぞ『どうぶつの森』!」っていう
わかりやすいものが多くて、
その違いはすごくおもしろかったですね。
ーー
あ、内部の人気とは違ってましたか!
たしかに、私たちは、どうしても、
『どうぶつの森』っぽいものを選んでしまいがちでした。
京極さん
そうですよね。
それはけっこう驚きというか、新しい発見でした。
ーー
ちなみに、今回のハラマキのデザインは
ぜんぶで何人くらいが参加してくださったんですか?
高村さん
だいたい10人くらいですね。
こうして見ていると、
やっぱり、デザインした人の個性が
表れているというか‥‥。
あ、この案は、京極が出したものですね。
写真7 ▲真ん中の大きな木とキャラクターが並んでいる絵が、京極さんの案。
京極さん
そうですね。
いまWii Uで配信している
「こもれび広場」がモチーフになっています。
提供写真 ▲2014年12月末までWii Uで配信している「どうぶつの森 こもれび広場」。
 遊びに行くと『どうぶつの森』に出てくるどうぶつたちの様子を楽しめるほか、
 世界中の人たちのコメントや写真を楽しむなど交流することができる。
 (C)2013 Nintendo
ーー
このデザイン、最初はもっと
シンプルな感じだったんですけど、
木に赤い「りんご」を3つ並べたとたん、
「あっ、『どうぶつの森』だ!」
っていう雰囲気になったので、
すごいデザインだなぁ、って話していたんです。
高村さん
そうですね。木に実があるだけで、
雰囲気がパッと変わりますよね。
ーー
ちなみに、うちの糸井重里も昔から
『どうぶつの森』が大好きなんですが、
とくに、ゲームのなかに出てくる
「木」のデザインをすごく気に入っていたんですよ。
だから、きっと糸井はこのハラマキを巻くと思います。
一同
(笑)

(後編につづきます)

2014-12-16-TUE

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