このひとさじで、極上つまみ!
銀座ROCKFISH・間口一就さんの
『カレーの恩返し』おつまみレシピ
 
間口一就さんプロフィール
 
ここ数年のハイボールブームの火付け役ともなった
銀座の人気バー『ROCKFISH(ロックフィッシュ)』の
店主・間口一就さん。
思いがけない食材をかけ合わせた
おつまみの名手としても、よく知られています。

ということは‥‥。
間口さんだったら、『カレーの恩返し』で、
どんな楽しいおつまみをつくってくれるんだろう?

胸を弾ませて、扉をたたいてみたところ、
プラスひとさじ&ひと手間でできる、
目からウロコのステキなレシピを教えてくれました。
ハイボールだけでなく、いろんなお酒によく合います。
「こういう組み合わせ方があったか!」と
ひざを打ちたくなること、うけあいです。
 

たとえば、『トマト+らっきょう+マンゴージャム』
『あんこ+ブルーチーズ+パン』、『桃+キムチ』、
あるいは、『バニラアイス+和がらし』‥‥。

間口さんのつくるおつまみに使われる材料は、
それぞれ、特に変わったものではないし、
できあがるまでのプロセスも、とてもシンプルなのですが、
その組み合わせの妙に、まずはびっくり。
そして食べてみて、その相性のよさに2度目のびっくり!

料理は、時間と手間が育ててくれるものもありますが、
やっぱり肝心なのはセンスなんだなぁと、
思わされることしきりです。

さて、バリッと糊のきいた白い木綿のバーコートと
ワイシャツ、黒い蝶ネクタイ、
クラシックな、いつものバーテンダースタイルで
出迎えてくれた間口さん。
まずは『カレーの恩返し』の印象を伺ってみました。

「そうですね。ひとことで言えば、
ほんの少し加えるだけで、
ふだんの料理が簡単にプロっぽい仕上がりになる
ワンランク上の万能調味料という感じです。
粗びきなので、香りにパンチもありますし、
口に入れたとき、いろいろなスパイスが、
舌の上をコロコロと転がっていくような楽しさもある。
噛んだときに、ふんわり広がる余韻もいいですね」

口の中での、スパイスの混じり具合によって
そのつど、いい具合にばらつきの出る『カレーの恩返し』は
粒子が均一なパウダータイプのカレー粉とはまた違って、
レシピどおり、同じようにつくっても、
毎回、新鮮な感動がある、と間口さん。

というわけで、今回ご紹介いただいたのは、
お酒が限りなく進んでしまいそうな、おつまみ4種。

「『カレーの恩返し』は、日本人が大好きな
カレー用のスパイスですから、
たくさん入れれば、なんでもおいしくなります。
でも、それだと全部『カレー味』になっちゃう。
だから、おつまみに限っていえば、
あくまでも隠し味程度にとどめて、
ちょっとずつ加えてみると、
味わいのバリエーションがぐっと広がりますよ」

では、まずは市販のポテトサラダを使った、こちらから!

材料は、市販のポテトサラダ80~100g、
『カレーの恩返し』小さじ1、オリーブ油適量。
まずは、ポテトサラダに
『カレーの恩返し』を加えて混ぜ合わせ、
セルクル(枠のみの、底のない円形の焼き型)に詰めます。

そして、フライパンにオリーブ油適量を熱し、
セルクルに詰めたまま、ポテトサラダの片面だけを軽く焼いたら
焼き目を上にして器に盛り、型から抜けば完成!

ほんのりと熱が入ったポテトサラダから漂うのは、
かすかに鼻をくすぐる、かぐわしいスパイスの匂い。
まるで、わんぱく坊主が急に、
スマートなジェントルマンに変身したみたい!
いわゆる『カレー味のポテサラ』とは、
一線を画す、洗練の味わいです。

「そもそも、ポテトサラダに入っている
じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、マヨネーズなどは、
どれもカレー風味と相性のよいものばかりですよね。
だから『カレーの恩返し』をちょっと足してあげるだけで
スーパーのお総菜コーナーのものでも、
充分においしくできます。
その場合は、できればえびとか、ハムとか、
いろいろ入った、具だくさんなものを選ぶと、
よりリッチな味わいになります」

ハイボールにはもちろん、
キリッと冷えた白ワインや
シャンパンにもよく合いそうです。

そしてお次は、なんと和食の王道です。

用意するのは、ふだん通りの塩梅でつくった
我が家の味噌汁。
あとはざく切りのキャベツ適量と、
ひと椀につき『カレーの恩返し』小さじ1/2。

つくり方は、いたって簡単。
お椀にキャベツを入れて、アツアツの味噌汁を張り、
あとは『カレーの恩返し』をパラッとふるだけです。
ここでの『カレーの恩返し』は、
いわば、汁物に香りを添える「吸い口」の役割です。

また、この味噌汁はご飯のお供ではなくて、
あくまで、おつまみとしてのひと品。
(もちろんご飯と合わせてもおいしいのですが‥‥)
汁の余熱で、ほどよくしんなりと火が通ったキャベツ、
熟成した味噌の風味、フレッシュなスパイスの香りを、
お酒とともに、順ぐりに楽しむ趣向です。

ちなみに野菜は断然、キャベツがおすすめ。
「もやしなんかだと、ちょっと水っぽくなりますし、
煮るわけではないので、生で食べられない野菜は不向き。
その点、キャベツなら食感や甘みもしっかりありますし、
スパイスとの相性がとてもいいんですよ」と、間口さん。

ちなみに味噌汁や、
『カレーの恩返し』に入っているターメリックには
二日酔い予防に効果があると言われています。
コレは一石二鳥かもしれません。

さて、どんどんいきましょう!

今度はフィンガーフードの登場です。

材料は、1cm厚さに切ったバゲット6枚、
バター20g、にんにくのみじん切り小さじ1、
そして『カレーの恩返し』小さじ1。

まずはフライパンにバターと『カレーの恩返し』、
にんにくを入れて、弱火にかけ、
香りが出るまでじっくり炒めましょう。
そして、そこにバゲットを並べ入れて、
片面にだけバターを染みこませるように軽く焼きます。
さらに、バターがついた面を上にして、トースターに入れ、
さっとあぶるように、香ばしく焼いたらでき上がり!

「つくり方としてはガーリックトーストと同じですが、
カリカリになったバゲット、
粒感のある『カレーの恩返し』の組み合わせは、
香りと食感が断然アップします。
テーブルに運ぶ途中から、いい匂いが漂って、
手を伸ばさずにはいられないでしょ?(笑)」

えぇ、これはもうたまりません!
たったひとさじの『カレーの恩返し』が加わるだけで、
びっくりするほど、味わいの輪郭がくっきりとした、
大人味のおつまみになります。

そしてラストは、ちょっと豪華なひと品。

材料は、ゆでた毛がに1杯、バター40g、
そして『カレーの恩返し』を大さじ1。

フライパンにバターと『カレーの恩返し』を入れて、
弱火で炒め、香りを立たせます。
食べやすく切り分けた毛がにの
断面を下にしてフライパンに入れて、
味をからめるように、炒め合わせればOK。

殻の間からにじみ出す、
スパイシーなおいしい油をまとった
かにの身の豊かな甘み、
ときどき思い出したように顔をのぞかせる、
かに味噌のコクがあいまって、手が止まりません。

「『カレーの恩返し』が、毛がにの甘さを
引き出してくれるんですよね。
特に味つけをしなくても、バターの塩けと
かに自身が持つ旨みで充分。
ちょっとお値段は張りますが、見栄えも豪華だし、
4人くらいで分けて食べても充分に楽しめると思います」

繰り返しにはなりますが、
『カレーの恩返し』を使ったおつまみレシピは、
あくまで『チョイ足し』がポイント。
あともうちょっと入れてみようかな、というところで、
ぐっと踏みとどまるのが、おいしさのコツなのだそうです。

おうちでのふだんの晩酌にはもちろん、
おもてなしにもよろこばれそうな
間口さんのおつまみレシピ、
ぜひ、つくってみてくださいね。

間口さん、ありがとうございました!

 

 
2015-10-07-WED
メールをおくる ツイートする ほぼ日ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN