今年のTシャツ「AcousticT」の正式名称は、
「AcousticT with T」といいます。
「with T」のTは、ファッションデザイナー
平武朗さんの頭文字。
平さんとのコラボレーションの証です。

その平さんといっしょに、「AcousticT」は実際、
どんなふうにしてつくられたのか、
その舞台裏にみなさんをお連れしましょう。

まず今回は、「AcousticT」の元になった、
5枚のヴィンテージ・セーターについて、
平さんご本人に、お聞きしました。
まるでDJが元ネタのレコードを明かすような感じで、
そこにある背景や歴史、愛着ぶりを
語ってくださいましたよ。





ふだん、自分のブランド「Desertic」のために、
古着をあつめる機会が多いんですけれど、
ぼくの場合、現在、だいたい5人くらいの、
信用できるバイヤーのかたたちがいて、
彼らに「こういうのが欲しい」とリクエストして
探してもらうことが多いです。

みんな、ぼくの好みとか、狙いがわかっているので、
ぼくの目をもった人たちが、ぼくのかわりに、
世界各地を回ってくれている感じです。
そういう意味では、彼らとのつながりっていうのは、
ぼくにとって大きな財産かもしれないですね。

今回、「AcousticT」の柄に採用された
ヴィンテージ・セーターは、
そのバイヤーさんたちや、ぼく自身があつめた
膨大な古着のなかから厳選されたもの、
そのなかでも、「これは!」と思える逸品ばかりです。

ちょっとだけ自慢するとすれば、
ふつうにふらっと古着屋さんに行っても、
これだけのヴィンテージ・セーターには、
まずお目にかかれないと思います。
それだけの素材だからこそ、そのあと料理されて、
Tシャツの柄としてプリントされても、
魅力的なんだと思います。

それじゃ、ひとつひとつのセーターを見ていきましょうか。





これは、南米・ペルーでつくられたニットで
一般に「アルパカセーター」と呼ばれています。

知り合いの古着のバイヤーさんが
アメリカ西海岸へ買い付けにいくときに
「薄手で、着ごこちがよくて、
 よくあるブラウン系じゃないアルパカニットを」と
リクエストをしたら、見つけてきてくれたものです。

ぼく自身、ヴィンテージのニットを
もう何千枚と見てきた経験があるんですけれど、
なかでもこれは、特別ですね。



現地の人が、ふだん、ふつうに着る衣料として
編んだものだと思うんですが、
柄や色彩の感覚が、本当にすばらしいんですよ。

はじめは、自分のブランド「Desertic」で
リメイクのアイテムの素材として
使おうと思ってたんですけれど、
あまりに気に入ってしまったので、やめました。

それ以来、大切に保管していたものです。



自分にとって、思い入れのある一枚なので、
今回、「AcousticT」のTシャツとして
製品化することができて、とてもよかった。





この柄は、スコットランドのフェア島につたわる
「フェアアイル柄」といって、
幾何学もようのパターンが特徴的な伝統柄です。

もともと、フェア島に住む漁師さんたちが、
よく着ていたらしいんですが、
色づかいが多色で、きれいなことで有名なんですね。



なつかしい雰囲気の柄ですから
「アコースティック」という言葉の響きには
もう、相性ぴったりです。

でも、このセーター自体は、
鮮やかな色づかいのせいもあって、
なつかしさと同時に、どこか「テクノ」というか、
ファミコン画面みたいというか‥‥
「80年代のデジタル」っぽさを感じます。
そこが、おもしろいし、めずらしいですよね。



ちなみに「左のそで」の先が切れているのは、
その部分を「Desertic」のアイテムに
リメイクの素材として、採用してしまったから(笑)。

「AcousticT」開発の初期段階から
「ベストみたいなTシャツ」というアイデアはあって、
このセーターが、それにぴったりハマりました。





一般に「スカンジナビアンセーター」と呼ばれる、
北欧・ノルウェー製のニットです。

これは、ぼく自身が、
もう、本当に山のように積み上げられた
古着ニットのストックのなかから
見つけ出したんですけど、
一瞬で「これはいいものだ」ってわかりました。



この、パッとひとめ見ただけでわかる、
ただしい「古着らしさ」というか‥‥。

長く「古着」を見てきていますけれど、
色のつかいかたといい、トナカイの文様といい、
これほど完成度の高いものって、
そうそう、出会えないんですよね。



もし、古着屋さんがこれを仕入れたら、
きっとウィンドウ商品として
ディスプレイするくらいのものだと思います。

発色も良いし、サイズ感も今っぽいから、
このまま着てもおしゃれでしょうね。

このセーターから柄を抜き出した
「トナカイのショール」と「夏のトナカイ」でも、
そのままほぼ同じ配色を採用しています。





こちらも「トナカイのショール」の
オリジナルセーターと同じく、
スカンジナビアンセーターの一種です。

首のうしろのタグの感じがからすると、
1970年代くらいのものでしょうか。

スキーのときに着るセーターとして
愛用されてきたということもあり、
スカンジナビアンセーターでは
「雪の結晶」柄も、定番モチーフなんです。

でも、このセーターの場合、
その「雪の結晶」柄が、
ちょっと変わったかたちをしていますよね。

どこかの国の民族に伝わる
伝統的な絵や壁画のようにも見えます。

また、うすいイエローの色あいと、
雪柄と対をなしている
「ドット絵」のような幾何学文様も
このセーターならではの、めずらしい特徴でしょう。
なんだか現代的で、かっこいいですよね。



「スノーフレーク」の雪柄は、実はそういう、
ちょっと個性的なセーターから採られたということを、
知っていただけるとうれしいです。





スコットランドのアーガイル州で
200年以上もまえから愛されてきた「アーガイル」は、
もともと、その地方の公爵家であった
キャンベル一族しか身にまとうことのできない
「ファミリーデザイン」だったそうです。

タータンチェックの一種だという説もあって、
こんな斜めの柄が、タータンチェックの仲間かと思うと、
なんだか愉快ですよね。



今回の「AcousticT」で、
デザインのもととなったのは、ごらんのように、
いろんな色のダイヤ柄がちりばめられたセーター。

よく見ると、それぞれの色は、
1色じゃない、色がまじった糸が使われていて、
ただきれいなだけじゃなくて、
あたたかくて深みがあるんですよね。
そこがいいなあと思います。



この「いろんな色のダイヤ柄」に、
ぼくをふくめてみんなが、すごく刺激をうけて、
アーガイルを使ったアイデアが、
どんどん出てきました。

気がついたら、アーガイルのシリーズが、
いっぱいできてしまいました(笑)。

いかがでしょうか、
こうして一枚一枚、平さんに解説していただくと、
お求めいただいた、あるいはご検討いただいている
「AcousticT」に、ますます愛着がわいてきませんか?

貴重なヴィンテージ・セーターから生まれた
「AcousticT」、
ぜひ、柄であそんで、柄をたのしんでくださいね。

なお、現在完売している
「アルパカニット」「サマーベスト」
「4つのダイヤのアーガイル(紺)」  
「アーガイルポロ(グレー)」の追加販売は
明日20日(金)からスタート。

午前11時からと午後9時からの2回にわけて
販売いたします!

どうぞ、お楽しみに!