いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

ほぼにちわ。
通天閣あかりです。

今日は、このスピーカーづくりの2番目の問題点になった
「紙の加工・かたち」についてのお話です。
この紙筒スピーカーは、
古紙でつくられた紙管と
間伐材を粉砕して固められたMDF
(紙と樹脂の間のような素材)でできています。
触った感触はひんやり冷たくてツルンとしているのに
柔らかい味があるんです。


アンプつき
一括価格37,000円(分割価格39,200円)送料600円別
スピーカーのみ
一括価格27,000円(分割価格28,800円)送料600円別


なぜ「紙」である必要があったのかは、
次回、加藤さんからお話ししてもらうとして、
この「筒」の形にたどり着くまで
どんな山や谷があったのか、八田さんが語りますよ!

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♯6 問題発生!「紙の加工とかたち」

・腹をくくった八田さん

一番最初は、
まず30cm四方くらいの四角い段ボールを
4枚くらい用意して、
それらに様々な大きさの穴を開けて積層して、
そこに音道(*)を作る。
そこにユニットをつけるようなことを
考えていたんですね。

で、紙を加工してくれるところを探そうというので
カタログハウスさんの知り合いと
加藤さんの知り合い含め色々当たったんですが、
段ボールの紙というのは、
カッターでゆっくりシューッと切れば
綺麗に切れるんだけれども、
そんなことやってたら、とても時間が足りないんで、
何かでスパンと型をぬかないといけないわけです。

ところが、型で抜くと、段ボールって、
その型の圧力で、ボール紙の層の波型がつぶれちゃう。
つぶれると加藤さんが考えている、
音道が確保できない。
音道がつまっちゃって
出したい音じゃなくなってしまうんです。

これはこれで薄型で魅力があったんですが、
これはできないなっていう話になったんです。
音が、どうしても作れない。

段ボール専門メーカーに見せて、
こんな切り方もあるよ、こんな切り方もあるよって
色々調べてやってもらったんだけども
最終的には、早くうまく切れなかったんですよね。

でも、正直言いますと、ぼくは今でも
層をつぶさずに切れる技術があると信じているんです。
段ボールのメーカーは、
「やったことがないからできない」って姿勢でしたけど
きっとやり方があると思うんです。

例えば、食パンでも4枚重ねて切ったら
一番上と一番下は端が潰れるけど、
まん中のパンの形は潰れないじゃないですか。
それと一緒で、段ボールも20枚くらい重ねて、
一番上と一番下に同じような大きさの違う素材のものを
置いて切れば、間にある段ボールの層はつぶれないと
思うんですよ。そういう技術が絶対あると思う。
そんなメーカーさんがいらっしゃったら
ご一報いただきたいです。(笑)

四角い形をあきらめて、この音を出すためには、
どんな方法があるか、一から出直しです。
でも加藤さんはどうしても紙にこだわった。
で、段ボールの次は「紙筒」を持ってきた。
不思議な格好でした。
筒が二段になっていて、その筒を、
ポート(*)という、より小径の紙筒でつないでいる。
加藤さんに聞くと、
「中にもまだ筒が入っている」という。

それまでの方式は、ちょっと難しいんですが、
「共鳴管+音響迷路+バスレフ」
とでもいうような、かなり複雑な構成だったんですが、
一転して「ダブルバスレフ」(*)という
低音を確保する方式に変更したんです。


これが構造。

で、それを聴いてみたら
「おっと、いいんじゃないの」ってことになったんです。

今の製品の原形に近い形で、
初めは2本の紙筒だったんです。
でも、それが3本になったり、犬の形になったり、
ロケット型になったり色々やって、
最終的にはスペースの問題もあるから、
小さい方がいいんじゃないか、ということで
2本の紙筒で行きましょう、ってことになりました。

ここで外見は決まったんですが、
これからまた、中のポートの直径を変えたり、
長さを変えたり、曲がり具合を変えたり、
材質の厚みを変えたり、色んなところをいじって、
加藤さんは「よくなったよくなった」って
喜んでいて、実際にどんどんよくなっていきました。
ほんの数ミリで、音がガラッと変わってしまうんですね。

自分の中では、
最初のタイムリミットは去年の9月だったんですが、
それじゃ到底無理だな、
という感触がもうこの頃、分かりつつありましたね。
こいつは、時間がかかりそうだなあと
腹をくくりました。(笑)

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■語句説明

音道
スピーカー内部での音の通り道。
これが短いと低音が出ないんです。

ポート
スピーカーに開いている穴のこと。
文中で「中のポート」と書かれているのは
ダブルバスレフの二つの部屋をつなぐ穴のことです。

ダブルバスレフ
バスレフっていうのはスピーカーの箱に穴をあけて、
低音が出るようにした構造のことです。
ダブルバスレフってのは、箱の中を二つの部屋に分けて、
さらに低い音まで出るようにしたものです。
この紙筒スピーカーは見た目からしてダブルバスレフに
なってますよね。


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腹をくくった八田さんのバックアップのもと、
のびのびと音を進化させる加藤さん。
このコンビネーションが、
最終的にどんな音を生み出すのか?
早く聴かせてくれ〜!

そんなハヤル気持ちを抑えて
次回は、加藤さんの「こだわり」の部分を
徹底的に解明していきますよう。

季節のかわりめ、風邪などひかんように。
ほな。



カタログハウスのB1のお店にも置いてありましたよー
残念ながらお手元に届くのは11月以降になりますが。


◆「音の不思議を語ろう対談」
加藤晴之×糸井重里
日時:10月1日(月)18:30〜20:30
場所:カタログハウス地下2階「セミナーホール」
入場料:1000円(先着100名様)

さらになんと、同時開催で、
この紙筒スピーカーの試聴会も行います!

◆「加藤晴之さんの紙筒スピーカー試聴会」

日時:9月29日(土)・10月1日(月)11:00〜17:00
場所:カタログハウス本社1階
入場料:無料(予約不要)
お好きなCDを持ってきていただければ
実際にお聴きいただけます。
本当にいい音を聴くチャーンスっ!

対談、試聴会に関してのさらに詳しい情報は
こちらのページをご覧ください。
(参加の申し込みもこちらからできます)
http://www.cataloghouse.co.jp/study/study.html




「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

2001-09-27-THU


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