いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

ほぼにちわ。
秋風に吹かれながら、通天閣あかりです。

今日は、あのスピーカーの丸くて音が出てくる部分、
「ユニット」のドラマをお伝えします。

えっ、あんなの、なんでも一緒なんちゃうの?
って思ってた私は、このお話を聞いてびっくりしました。
あの「丸いの」を求めて、わざわざ海外まで?
秋葉原とか大阪の日本橋とか、
その辺のもんではだめなんですか?

前回に続いて、「フリーハンド」の八田さんが
語ってくれます。
この紙筒スピーカーが、
またちょっとお値打ちものに見えてきます。


アンプつき
一括価格37,000円(分割価格39,200円)送料600円別
スピーカーのみ
一括価格27,000円(分割価格28,800円)送料600円別


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♯5 問題発生!「ユニット選び」


・素性のいい音を求めて


スピーカー作りに熱い男達。

最初にあった問題は、スピーカーのユニットです。
実際に今使用しているのは、
フランスの「オーダックス」社製のものですが、
最初の頃、加藤さんは、もうひとつ候補の
イギリスの「バンドール」っていうメーカーの商品を
ものすごく気に入ってたんです。
もう、「バンドール」でやりたくて
仕方がないって感じで。

で、「バンドール」を調べると、
おじいさんとおばあさんが3〜4人集まって
ひっそりとガレージかなんかで
スピーカーを創ってるようなメーカーで、
マニア垂涎の商品なんですね。

とりあえず行ってこようかっていって
私どもの営業の人間がイギリスまで行ったんですよ。
行って様子を見たらほんとにガレージで作ってて、
オーダーがきたら、
何十年も一緒にやってる
おじいさんおばあさんたちがぞろぞろ集まって
ざわざわと作り始めるらしいんです。

コイルも全部「手巻」のようで、
音質は非常にクオリティが高いけれど、
値段もその分高いんですよね。

その時、営業の人間が
加藤さんがバンドールのユニットを使って作った
スピーカーを持って行ってたんですが、
それを聞いてもらったら、
おじさんやおばさんが、すごく喜んでくれて。
もうCDをとっかえ、ひっかえ
一晩中みんなで聴き明かしたらしいんですよ。

これは脈があると思って、
ここをこうすれば加藤さんがほしい音により近くなるよ、
という話を切り出したんですね。

でも、むこうとしても持論もあるし、
最終的に、どう調整しても
加藤さんの中では「90点」くらいの音しか
出なかったんですね。

「バンドール」というユニットは奥が深いユニットで、
うまくすると100点以上の音を引きだせるかもしれない、
そんな雰囲気を持ってはいるんです。
でも100点にするには、
もっとお金もかかってしまうっていう現状もあったし、
何より、ユニットを作るだけで1年くらいかかってしまう
っていう問題もありました。

これじゃ通販では売れないね、って
カタログハウスの宮坂さんともお話をしたんです。
加藤さんに「バンドール」は無理です、
「バンドール」では、いつかどこかで一点ものを、
誰か欲しい人のために創りましょうと
説明したんです。

そうすると、加藤さんが
「いや、実はこの安いユニットもあるんだけど、
 これもいい音出てるんだよ。
 ひょっとしたら女性向きには
 こっちの方が優しくていいんじゃないかな」
と、違うメーカーのユニットを出してこられたんです。
これでチューニングしてみるよと言って
1ヶ月後、それを聞いたらまたいい音がする。
ものすごくいい音、やさしい音がしてるんですよ。

加藤さんこれじゃだめなのと言ったら、
「これでもいいんだけど、もっとよくなると思う」と。
じゃあ時間をかけて
1年あるからその間に色々設計をし直して
変えて行きましょうって話をしていたんです。
(当初は2000年の9月くらいに売り出す予定でした)
ほんとに何十種類ものユニットを試してみましたねえ。

こっちが想像している以上に
どんどんどんどん、いいのができていって、
これでいきましょうか!っていうことになったら、
また加藤さんから電話がかかってきて、
「実はまた変わったよ、また良くなったよ!」
ってもう止まらないんですよ。
毎日止まらない。

-----毎日ですか!

もう毎日です。毎日、音が進化するんですよね。
あれは本当にすごかった。
でも、それを僕らは止めちゃいけないんですよね。
確実に、さらにいいものが出てくるんですから。

そんな風に、試行錯誤を繰り返した結果、
やっとこれでいこう!ってユニットが
最初から候補にあった
フランスの「オーダックス」社製のものでした。
で、早速そのユニットのことを問い合わせてみたら、
「廃版です」。(笑)

手間がかかっている分、
量産ができないから廃版になったらしいんですが、
もうやっと決まったのに、これには困りましたねー。
オーダーしたら作ってくれるか、って聞いたら、
むこうは、最初すごく嫌がってました。
新しいものをたくさん出しているのに、
どうしてわざわざ廃版になったものを使いたいんですか?
って聞かれまして。
防磁型で、コンピューターの横に置いても大丈夫な
スピーカーもできているから、そっちはどうですか、
とかね。

でも、やっぱり加藤さんは
絶対そこは譲りませんでした。
加藤さんが言うにはその廃版になったものは
聴き飽きない音がするし、
何よりも「素性がいい音」が出るらしい。
新製品のユニットは「音が落ちている」って言うんです。
こちらの意志が通じたのか、「オーダックス」も
結局は廃版だったものを、
さらにグレードアップさせる方向で
作ってくれることになったんです。

そうやって選ばれたのが、
この紙筒スピーカーのユニットなんです。

現在、本当は注文から納品まで3ヶ月かかるところを
なんとか2ヶ月半でやってもらっています。
これはけっこう「奇跡」に近い。(笑)
申し込んでいただいている方は、申し訳ないんですが
もうしばらくお待ちくださいね。

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そういういきさつで選ばれたと思って
ユニットを見つめてみると、ちょっとジンとしますね。
「よう、ここまで辿りついたなあ、よしよし。」
と愛おしくなります。
いやー大変だった大変だった、と言いながらも、
八田さんは、なんとなく誇らしげに見えましたよー。

次回は、もうひとつの壁だった「紙の加工」についての
裏話です!

ほな。

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■語句説明

ユニット
スピーカーユニットは、
永久磁石とコイル(電磁石)と音を伝える紙でできています。
スピーカーにつながった線を伝ってコイルに電流が流れ、
磁力の反発で振動して音を出します。

防磁型
テレビやパソコンのモニターなどに磁石を近づけると
磁気のせいで色ムラや画像の歪みが生じます。
スピーカユニットには磁石が入っているので、
防磁型でないスピーカーを近づけると
磁石を近づけるのと同じことになってしまいますが、
防磁型のスピーカーは、磁気が漏れないように
構造的な工夫がされています。

加藤さんの紙筒スピーカーは防磁型ではありませんが
10センチほど離せばコンピューターの横に置いても
大丈夫です!



カタログハウスのB1のお店にも置いてありましたよー
残念ながらお手元に届くのは11月以降になりますが。


◆「音の不思議を語ろう対談」
加藤晴之×糸井重里
日時:10月1日(月)18:30〜20:30
場所:カタログハウス地下2階「セミナーホール」
入場料:1000円(先着100名様)

さらになんと、同時開催で、
この紙筒スピーカーの試聴会も行います!

◆「加藤晴之さんの紙筒スピーカー試聴会」

日時:9月29日(土)・10月1日(月)11:00〜17:00
場所:カタログハウス本社1階
入場料:無料(予約不要)
お好きなCDを持ってきていただければ
実際にお聴きいただけます。
本当にいい音を聴くチャーンスっ!

対談、試聴会に関してのさらに詳しい情報は
こちらのページをご覧ください。
(参加の申し込みもこちらからできます)
http://www.cataloghouse.co.jp/study/study.html




「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

2001-09-23-SUN


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