ソニア パーク×糸井重里   ご近所のソニアさんと ものづくりの話。
 
 
 
5.同じ場所に並べるうれしさ。
ソニア 一緒にお仕事をさせていただく前は、
糸井さんには「ほぼ日」っていう
ブランドがあるし、
そこを守るためにも
「絶対これじゃなきゃいけない」っていう
感じがあるのかと思っていたんですけど、
それは違いましたね。
「もの」が新しくなっていくこととか
変化していくことに
不安を持たれていないのが印象的でした。
糸井 ぼくは、もの自体にあんまり
ピントを合わせてないんですよ。
もっと、受け手の「人」に合わせてるんです。
ものを使っている人の目とか、
わくわくしてくれる気持ちに対して
働きかけるほうが大事だと思っているので。
ソニア あぁ、なるほど。
すごく自由でオープンな空気を感じましたし、
「ソニアさんのところもこれをやったら
 楽しいでしょうし、いいじゃない?」
っていう雰囲気があって、
私もスタッフも、仕事をすごく楽しめたんです。
うちは、まだまだ小さい会社なので、
「ほぼ日」さんのオーダーをいただいたことで、
もう社内が大変なわけですよ。
糸井 ははは。
ソニア いや、ほんとうなんです。
英語版の本体と一緒に
カバーもつくることになりましたが、
その量が多いものだから、
スタッフに
「こんなにつくる必要ないんじゃないですか」とか、
「売れなかったらどうするんですか」なんて言われて。
工場も、今までは100個、200個くらいしか
つくったことがないところだから、
「えぇーっ」って驚いていましたね。
「これ、間違ってないですか」
って言われちゃうくらいに、
おおきな仕事だったんです。
糸井 そうなんですか。
でも、いっしょに仕事できて
おもしろかったです。
ソニア もうずっとしゃべってましたもんね、私たち。
糸井 やっぱりお互いの考えを揃えるほうが重要なので、
会話のキャッチボールをしている時間が
結構長いんですよね。
だって、色を決めたりすることって、
決めようと思ったら2秒で決まるじゃない。
だけど、我々は、あれでもない、
これでもないって言いながら、
延々と話をしていましたね。
近所だから、気軽に会えたし。
ソニア そうですね。
糸井 会社同士のつきあいというより
直接会っている個人同士の話だったからか、
「ソニアがそんなに言うんだったら
 それはもうそれでいこう」
っていうこともありましたね。
ソニア そうですね。
やっぱり会社単位というよりは「人」ですよね。
私もうちの会社で商品を仕入れるなら
やっぱりきちんとお話をさせていただきたいし、
きちんとコミュニケーションを
とりたいと思っているんです。
そうでないと、おもしろくなくなっちゃうし。
糸井 うん、すごくよく分かります。
だから、ソニアさんのオフィスが
うちの近所にあるっていうのも
とてもよかったと思います。
インターネット上で何億人とつながっても、
実際に会って付き合っている人って
100人以内ですよね。
ネット社会になっても、
現実の世界では付き合う人の人数って、
そんなに変わらないものなんだって、
つくづく思いますね。
英語版の表紙に「手帳」って言葉があるのも、
ご近所さんがしたことだから
OKになったんですよ。
離れていたら、
「いいね」とか言わないよ、きっと。
ソニア (笑)近所だからですか。
糸井 いやいや、近所だからっていうのは冗談ですけど、
でもソニアさんの、
これまでのスタイリストとしてのお仕事とか、
今やってらっしゃる、
ご自身のセンスで勝負しているお店とかって、
やっぱり、ぼくらにとってはずーっと、
憧れの場所でもあったわけです。
それが今回、英語版を一緒につくってくださって、
同じ場所に並んでくれたのは
僕たちにとって、誇りですね。
お世辞のように聞こえるかもしれませんが(笑)。
ほんとですよ。
ソニア ありがとうございます。
私、ものをつくっているときに必ず思うのが、
お客さんは
絶対にすべて伝わってしまうということなんです。
自分たちがそのとき思ったことが、
商品にぜんぶ現れちゃう。
糸井 うん、うん、
出ちゃいますねぇー。
ソニア だから、見る人が見たら、
それを感じちゃうし、ごまかせない。
今回つくった英語版の手帳にも、
私たちがそのとき思っていたことが
すべて現れていると思います。
だから使ってみて、
もう少し考えたほうがよかったかなって思うことが、
いろいろ出てくると思うし、
これからも改良していきたいなと思っています。
‥‥もしかしたら、私、
途中で投げ出そうとするかもしれませんが(笑)。
糸井 そんな、
まだこれからじゃないですか(笑)。
でもソニアさんは、
「自分がつくりたいものをつくる」っていう
動機がうすくなってきたころに
自分から去っていく、みたいなところが
あるんでしょうね。
ぼくも似たようなタイプですけどね。
まぁ、毎年、お互いの動機を確かめ合いながら
更新していく感じでいきましょう。
なんとなくやってるって
いうだけじゃつまんないと思うんで。
ソニア そうですね。
自分たちがほしいものをつくる、ってことを
大事にしていきたいですね。
糸井 じゃあソニアさん、
次は何をつくりましょうか。
手帳づくりが終わって、しばらくは
来年の手帳の打ち合わせをするにも早過ぎるから。
ソニア うーん、手帳Tシャツとか?
糸井 えっ?
ソニア 社長だけが着る手帳T。
糸井 手帳T、いいね、2枚だけ作ろうか(笑)。
  (ふたりの対談は、これで終了です。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。)

2012-11-12-MON

 

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スタイリング:林道雄 写真:三部正博