インディーズ映画の冒険野郎。
石井聰亙監督の話をふむふむ聴く。
石井聰亙さんプロフィール 今までの作品リストはコチラ



 

ほぼ日 監督はご自分の作品のシナリオ(脚本)も
いつもご自分で書かれてますよね。
石井 はい。自分で全部書く場合もあるし、
共同の場合もあります。
ただ、最近は脚本家に委ねる部分も
多くなってきました。
シナリオは、
映画にとっての設計図

だと思ってます。
最近は「シナリオは文章で書かない」
という人もいるみたいですからね。
石井克人くん(『茶の味』『PARTY7』監督)
とかは、シナリオを全部
絵コンテで描くって聞きました。
外国の人とかでも増えてきてるみたいですよ。

ぼくは、脚本が大事だとは思ってる。
どんな達人でもやっぱり「脚本は難しい」
と言いますよね。
それの形が絵コンテでも何でも、
いいと思うんです。
もしかすると、絵コンテ描ければ、
それのほうがいいかも。
たけし(北野)さんの脚本も、
メモみたいなものらしいし(笑)。
形式は変わってきてますよね。
ほぼ日 シナリオは、手書きで書かれるんですか?
石井 実はぼく、2000年くらいまでは
キーボードアレルギーだったんですよ。
だから、それまでは全部手書きでした。
書いた脚本をかたまりで切って、移動して。
流れの入れ替えてとかやってましたよ。
これをこっちに持っていこう。とか
切ったり貼ったりね(笑)。
ほぼ日 わぁ、アーナーログーーーーーーー!!!(笑)
石井 実は機械弱いんです。まったくだめ(笑)。
ファックスもちょっと前まで持ってなかったし。
「うちファックスないから、
  速達で送ってくれ!」
とか言ってたから、
すごいヒンシュクかいましたよ。
まず、持ってなかったんです。
買う気もなかったし。
みんながパソコンに移行しだしてから、
やっとファックス導入しました。
ほぼ日 遅っ!
石井 「おたっくす」を買ったんですけど、
もう便利でびっくりしましたよ!
紙が切れるとかね、知らなかったから。
ほぼ日

ええ!
じゃあ昔のクルクルの紙だと思ってたんですね!

石井 そう、あの長〜いのをイメージしてたから、
「そんなのいやだよ」とか思ってたんだけど、
うわ!切れるじゃないかー!!って(笑)。
ほぼ日 いまでは、そういうアレルギーも克服されて、
編集作業とかもほとんど
デジタルでやってらっしゃるんですよね?
石井 それもここ5年くらいですよ。
もうやんなきゃーって、大奮起して、
ガーーッと覚えました。
今回の作品も、前回の作品も、
ほぼデジタルだったから、
覚えざるをえないですよね。
「今はこれをやらなきゃだめなんだ」
って思って。
今はもう苦じゃないです。
まだタイピングの早打ちは出来ないけどね。

ほんとにキーボードがいやでいやで、
ペンで入力できないか、とか、
音声入力をやったりしてたんですよ。
ほぼ日 ええ〜!珍しい!!!!
音声入力って、今、あるんですかねー?
石井 あるんじゃないですかね?
けっこう人にススメたりしたんだけどね‥‥。
だけどやっぱりパソコン自体の音とか、
エアコンの音を拾ってしまったりとか、
変になっちゃうんですよ。
失敗した時に出ちゃう
「ああ、しまった!」とかいう
声とかも拾っちゃうから、
結局直してると、
「これは打ったほうが早い!」
って思ってね(笑)。
「明日のジョー」の早打ちのやつとか、
ありとあらゆる
キーボード逃れを試みたんだけど、
あきらめて‥‥観念しました。
とにかく地道にやるのが一番ですね。
でも単純なことを地道にやることが
昔から苦手でねー。
なんとか楽しくできないかとあがきましたよ。
ほぼ日 早打ち練習ソフト「明日のジョー」のおかげで、
もうバッチリですか?
石井 いつまでもノックアウトされっぱなし。
チャンピオンになれずに、
何回やっても4回戦までしか
行けなかったです(笑)。
今でもそんなに達者ではないですね。
ほぼ日 とにかく、メカはあまり得意じゃない‥‥。
石井 メカっていっても、
機械っていうか、
むきだしのエンジンとか、走る車とか、
そういうものはものすごく好きなんですけど、
エンジニア的なものは全然ダメです。
与えられたら、限界までやってやりますけどね。

‥‥実はぼく、
子供の頃はレーサーになりたくて。
今でも生まれ変わったら
「レーサーになろう」
と思ってるんです。
人生の唯一の悔いが、
「レーサーになれなかったこと」ですよ。
ほぼ日 ええ!意外です意外です。
じゃ、運転もお好きなんですか?
石井 いや、全然だめなんですけど。
ほぼ日 えええええー???
石井 信号なければ、大丈夫だと思う。
ほぼ日 あぶないあぶない!
石井

(笑)
レースって、「よーいどん」で走って、
とにかく一番早い人が勝ちでしょ。
その単純さがたまんないんです。
アクセル踏みっぱなし。
そういう競技が最高ですね。
ストレス解消になる。
レースみてると、心が落ち着くんです。
最高の癒しですね。

レースってお金持ちの競技だったし、
自分の家の近くにレース場がなかったから、
夢でしたね。
もの心ついた、3歳くらいから好きでした。

ほぼ日 わー。じゃあ、バイクもお好きなんですか?
石井 バイクも大好きだけど、
レースは4輪のほうが好きです。
「フォーミュラ」っていう
タイヤがむき出しのやつ。
あれ見たら、かっこいーーー!って。(笑)
この世の美の象徴だーー!!
ほぼ日 実際のレース場にもよく行かれるんですか?
石井 ヨーロッパにいた頃は、
F1をよく見に行ってましたよ。
イギリスから飛行機に乗ってあちこち!

まあ今でもレーシングカーは
やりたいですけどねー。
中学高校の時は、レーサーに憧れて、
とりあえずランナーやってましたね。
陸上部で
ほぼ日 とりあえず走る!?
エンジンなしで、陸上競技ってことで。
‥‥スピード感がお好きなんですね‥‥。
石井 うん、そうですね。
ゴールまでつっぱしりたかった。
今でもレーシングカーは出来ないかわりに、
登山に行ったりとかしてますよ。
ほぼ日 それ、全然違います!
石井 (笑)。
あと、ウォーキングとか、
散歩
ですね。
ほぼ日 いやいやそれも違いますから!
普通ですよ!普通の歩き歩き!!(笑)
石井 (笑)

(つづく)

「シナリオは映画にとっての設計図」
というような、かっこいいセリフも、
「レースのかわりに登山をしている」というのも、
同一人物石井監督です。
レースの話をする監督は、まるで小学生のようで、
「男のロマン?」を感じました!
引き続き、色々なお話をうかがっていきます。
お楽しみに!

石井聰亙さんへの激励や感想などは、
表題に「そうごさん」と書いて、

postman@1101.comに送ろう。

2005-03-28-MON


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