乗組員やえの疑問

塔の色はどうしてあの色にしたの?

スカイツリーおじさんの解説

タワーの塔体には「スカイツリーホワイト」という
オリジナルカラーを用いています。
この色は、日本の伝統色であり
最も薄い藍染の色である「藍白(あいじろ)」を
ベースにしてつくったものです。
白にごくわずかに青みを加えた色なんです。

日本の伝統工芸-藍染-職人のものづくり-江戸下町-
技術・文化-現代の技術-東京スカイツリー‥‥
といった連想づくような色でもあります。
カラーデザインは、デザイン監修もしていただいた
彫刻家の澄川喜一先生に監修いただいています。

わずかに青みのある白は、
時刻、天候、季節の変化を映し出します。
晴天の日中は、タワーが真っ白に見えますし、
夕方のときには、タワーが真っ赤に見えます。
また、タワーは鋼管=丸パイプでできているため、
影が、鋼管の円に沿って、
美しいグラデーションを描きます。
タワーの色にわずかに青みがあることで、
影もより美しく見えますし、
逆に、陽が刺したときも、
純白に比べて目が痛くならないように白く輝きます。
設計者はこの白を「空を映すキャンパス」として
イメージしていました。

ごくわずかに違う色を混ぜるという手法は、
昔から取られていた手法でもありました。
日本の伝統色にも見られます。
また、澄川先生から聞いた話ですが、
タバコのピースのパッケージにも見られるそうです。
パッケージは、周囲の地が濃紺で、
中央にオリーブの枝をくわえた鳩
(旧約聖書・ノアの箱舟に由来)があり、
Peaceの白抜き文字。
その白もごくわずかに青いのだとか‥‥。

ちなみに、これをデザインしたのは、
レイモンド・ローウィさんという
日用品から工業機械に至る様々なデザインを手がけた
20世紀を代表するデザイナーです。
日本では昭和27年(1952)発売のピースで知られ、
戦後の日本のデザイン界にも大きな影響を与えました。
カナダドライジンジャーエールのロゴも、
シェル石油のロゴも、ナビスコのロゴも、
不二家のロゴも、氏のデザインです。

さて、塔体以外の色はというと、
エレベータシャフトは、
白い塔体とは対比的にグレーにすることで、
タワーに奥行き感を与え、
タワーのデザインがより際立つようにしています。
展望台は、メタリック色のパネルが基調です。
頂部は鮮やかな白にして、青い空を指し示します。

また、展望台の内部は、
第一展望台では、
室内からの眺望がより映えるように
黒っぽい内装にして、
第2展望台・空中回廊では、
空中を浮遊しているかのような感覚を
来場された方にもってもらいたいと
内装を白っぽい色調にすることで、
空の色をそのまま内部に導いた空間にしたいと
考えています。

最後になりましたが、ひとつ忘れてました。
「工場の煙突などは赤白に塗っているけど
 東京スカイツリーは
 なぜそうしなくていいのか?」
という疑問への回答です。

航空法第51条によって、
地上より高さ60メートルを超える
建造物などには航空障害灯の設置が
義務付けられています。
さらに、骨組構造の建造物や細長い煙突には、
昼間障害標識(赤白に塗装)の設置が求められます。
東京スカイツリーの場合は、
東京タワーや通天閣、札幌テレビ塔、
名古屋テレビ塔などもそうなのですが
赤白の塗装にする代わりに、
白色航空障害灯(閃光を発する照明)をつけることで
赤白塗装にすることを回避しているんです。
さすがに、634mも赤白だとサイケすぎですよね(笑)。

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2011-04-26-TUE