乗組員やえの疑問

スカイツリーが細長い理由は?

スカイツリーおじさんの解説

東京スカイツリーは現在、
350mにある第一展望台の工事をしつつも
398mの高さまで伸びています。
634mに到達するのはまだ先ですが、
今の姿をみても、とってもスレンダーです。

たとえば東京タワーは、
高さが333mで、
足元は幅が一辺約95m
(鉄骨下端部の間)の正方形。
アスペクト比という、
長辺と短辺の比は約「3.5:1」です。

足元が広がっているので、
比率だけでみると案外ずんぐりです。
エッフェル塔も同じようなプロポーションです。
ですが、地震などの際に、
足元が広くとれていて踏ん張れるということは、
構造的には非常に有利なんです。
これは、人が両足を揃えて立っているよりも
左右の足を開き、前後に広げたほうが、
体が倒れにくくなることと同じです。
アマレスや柔道の構えなんかもそうですよね。

これに対し東京スカイツリーは、
高さが634mで、
足元は幅が一辺約68mの正三角形。
縦と横の比は
約「9.3:1」という超スレンダーなもの!

これがどのくらいスレンダーなものかというと、
日本の初期の超高層ビルは
縦と横の比が「3:1」のものが多く、
「6:1」を超える超高層ビルともなれば
構造を特別に工夫しなければならないといわれています。
つまり、構造上もかなり細いプロポーションなんです。

このプロポーションを維持するためには、
たゆまぬダイエットではなく、
前回お話した、足元が三角形であることが
一役買っています。

構造のことを考えれば、
やはり、足元の幅は広くとっておく方が有利です。
仮に、縦と横の比を東京タワーと同じにした場合、
高さは634mですから、必要な幅は約181mになります。
ですが、以前にもお話したように、
建築とは、ある固有の敷地に立つ固有のものです。
この敷地においては、それは適合しない数値でした。

足元のかたちを構造的に考えた際、
まず、安定的な偏りのないかたちが候補になりました。
これは、たとえば細長いかたちの平面形だと、
長手方向からの力には強くても、
短手方向からの力には弱くなるなど、
バランスが悪くなってしまうからです。
具体的には、円、四角、三角で考えたのですが、
この敷地において
いちばん一辺の幅を長く取れるのが
三角形だったのです。
前回の話に関連づきましたが、
そう、設計とはいろいろな物事が
連鎖するものでもあるのです。

足元の幅をこの敷地でできるだけ長くとった上で、
さらに、いろいろな構造の工夫をして、
このプロポーションを維持しています。
それぞれの工夫は順を追ってお話しますね。

いずれにせよ、高さもそうなんですが、
このスレンダーなプロポーションも
ぜひ注目してほしい特徴ですし、
スレンダーながらも「そり」「むくり」という、
「カーヴィ」なラインをもっていることも
面白いと思います。
「見返り美人」や「ナントカ美人」というように、
いずれ「スカイツリー美人」なんて
形容ができたりして。

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2010-07-27-TUE