シリコンの谷は、いま。
雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。

第43回
シリコンバレーに来たもうひとつの理由は



シリコンバレーに来た理由の1つ目は、
憧れを叶えることと、腕試しでした。
それに比べるとシリコンバレーに来たいと思った理由の
2つ目は随分現実的な理由でした。

もちろん、ストックオプションで
お金持ちになれるかもしれないなんていう、
今から考えると甘い考えも少々ありましたが、
何が僕を動かしたかといえば、
それはシリコンバレーの企業が作っているものは、
一体どういう風に作られているのか、
もっと大きなレベルで言えば、シリコンバレーの会社が
どうやって動いているのかが
知りたくて仕方がなかったということでした。

例えば、インターネットのホームページの検索を
どうやったら、1秒以下で結果を返すことが
できるのだろう?
また、どうやったら何百万人もの人に
無料のメールアドレスをあげることができるのだろう?
そういった疑問に対する答えを知りたかったわけです。

大まかな答えは、シリコンバレーにこなくても、
ある程度予想がつきます。
世の中に出ている断片的な情報を元に、
「このサービスはこうやって作られているはずだ」と
推測をすることはできるのですが、その推測が正しいか
どうかは教えてもらえるわけでもありませんので、
いつまでたっても「多分こうだろう」という推測の域を
超えることができません。

そして、そういった公開されている情報から
推測できるのは、大まかな仕組みのみで、
細かい技術的な部分がどうなっているのかは
知る由もありません。

「ならば。
 実際に中に入って、自分の眼でそれを見ればいい。」

これが2つ目の理由です。

実際に中に入ってみると、

「なるほどこうなっていたのか」

と思うことがもあれば、

「なあんだ、これでいいのか」

と思うこともあります。
しかし、いずれにしても、
自分の知的好奇心を満たすことができることは、
何事にも代えられません。

さらに言えば、製品に不満があれば、その欠点を指摘し、
自分の考えを反映させて製品を改良することだって
できてしまいます。

技術に限らず、シリコンバレーで成功している会社が、
どういった人たちが、どういったやり方で
仕事をしているから上手くいっているのかも、
自分もそのやり方の中で働いて、
自ら体験してみることで感じ取ることができるでしょう。

技術にしてもビジネスにしても、実際に特定の企業が
どのようにやっているかということは企業秘密ですから
それを直接利用することはできません。
しかし、そういった知識を自分の中に蓄積していくことで、
自分の意見や考え方に自信が持てるようになります。

ことわざ通り、「百聞は一見にしかず」です。

僕が「シリコンの谷は、いま」に書くことができることは、
僕が見たものの、ほんの一部です。特に技術的なことは、
ほとんどお話することができません。

それを知りたければ、答えは簡単。

自分で見に行くしかありません!

上田ガク

2004-04-27-TUE


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