シリコンの谷は、いま。
雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。

第30回
プロジェクトの進め方について
詳しく教えて。


前回、開発チームが小さい方が
開発効率が高まるという話をしました。
今回もそれに引き続いて、
プロジェクトの進め方や、生産性の話です。

僕がチームの生産性の向上に
一役買っていると思うやり方というのは、
プロジェクトチームの中で仕事を割り振るとき、
どうやって仕事を割り当てるかという方法です。

とはいっても、蓋を開けてみれば大したことではないので
改めて書くほどのことでもないかもしれませんが、
しかし理にかなった方法だと思うので、
紹介したいと思います。

1番のポイントは、
基本的に誰が何をやるのかを決めるのは、
その仕事をする本人だということです。
マネージャーに
「これをいついつまでにやれ」
と指示されるわけではないのです。

マネージャーやチームリーダーの仕事は、
次にチームが解決しなければならない問題を洗い出し、
テーブルの上に並べることです。
誰がその仕事をやるのかを決めるのは
マネージャーではありません。

チームミーティングでは、洗い出された作業ごとに、
各自、自分がどの作業を担当したいかを言っていきます。
自分の興味のある領域をやりたいというのも良し、
自分の得意な領域を担当するも良し、
それは各自の判断です。

これで、なぜ、生産性が高まるかは簡単で、
自分で選んだ仕事をするときの方が、
やれと言われた仕事に比べて
やる気が出るものだからです。

好きこそものの上手なれとはいいますが、
好きな仕事をさせておけば、
そのエンジニアの能力はどんどん伸びていきます。

各自好きな仕事を選んで
すべてがうまく収まるわけではないので、
それをどうやって解決するのか、
もうちょっと仕事の割り振り方を見てみましょう。

各自がやりたい仕事を取っていくと、
当然、残ってしまう仕事もあります。

ミーティングでは、まず最初に全部の仕事を
誰かしらに引き受けてもらいます。
誰もがやりたがらなくて、
 
 「誰かやってくれない?」

という質問の後、
しばしの沈黙が訪れることもあります。

しかし、結局はチームとして結局は
やらなければならないことなので、
誰かが責任感に耐え切れず
引き受けるわけです。

こうしてすべての仕事の担当者が決まったところで、
時間と仕事量の調整を行います。
たくさんの仕事を抱えてしまうと
全部の作業が予定された期間に終わりませんから、
多すぎる仕事をほかの人に引き受けてもらって、
作業が予定した期間に終わるようにします。
全員の仕事が多すぎて、とても終わらないという場合は、
多すぎる仕事をそぎ落とし、
期間内に終わる仕事量へと調整します。

大抵の場合、誰もやりたがらない仕事というのは、
手間のかかる仕事です。みんなが嫌がる仕事を
引き受けた人は、それと引き換えに、
ほかの仕事をほかの人に引き受けてもらうなどの
交渉をします。

「この作業、僕がなんとかするけど、
 これをやったらほかの作業ができないから、
 この作業は誰か頼む。」

こうして、チームメンバー同士で仕事量の調節を行い、
全員が納得したところで、仕事が開始されます。

これは簡単な方法ですが、チーム全体としてみれば、
やるべき仕事は誰かにすべて割り振られおり、
作業完了の予定時期にはそれらすべてが終わります。

そして、重要なポイントは、

「この仕事は僕がやります」

と各自が言っていて、やってくれと指示されている
わけではないのです。自分がやるといった以上、
それを期間内に間に合わすことができないのは、
担当者の責任です。間に合わないと思ったのなら、
やるといってはいけないのです。

上田ガク

2004-01-27-TUE


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