県ごとの話に入る前に、
日本全体について
みうらさんにお話をいただいています。
みうらさんは、もうずいぶん前に
日本全国への旅を制覇し終えたそうです。
しかし、ここで考えましょう。
「旅」とはいったい何でしょうか。
●プロローグ4 旅には目的を持たないように。
ほぼ日
みうらさんの旅は、ほとんどが
新幹線を中心とする列車の旅なんですね。
みうら
ぼくは、弁当は
新幹線が走り出す前に食っちゃいます。
ほぼ日
え?
みうら
乗り込んですぐ、バーッと食っちゃいます。
新幹線では、景色を、
つまり「ステッチ」を見なきゃいけないんです。
それをね、乗りながら弁当を食うってことはね、
あれは「ながら主義」って言うんですか?
それは、ちょっと、嫌なんです。
ほぼ日
あ‥‥ああ、なるほど。
みうら
旅は「ながら」はダメですよ。
一点を見つめないとダメです。
ですから弁当は先に食い、
列車が走り出すまでに
グルグルッとビニールにくるんで
座席の下に入れとくくらいの
気の遣いようは常識じゃないでしょうか。
弁当を開封していない人を指して
「あ、あの人食ってないな」
というくらいにしておいてほしいものです。
ほぼ日
わかりました。
みうら
それに、「食」と「旅」をくっつける人が
いますが、あれはいけません。
ものを食べに行く旅とか、そんなのダメです。
旅は旅、食は食にしなきゃ。
旅は「旅をすること」が、目的なんですから。
ほぼ日
はい。
みうら
旅というものには、条件があるんです。
それは「戻ってくる」ことです。
戻ってこなかったら、
「蒸発」と呼ばれてしまうでしょう。
ですから、
「どうやって戻ろうか」
をずっと考えながら旅をすること、
それが旅なんですよ?
ほぼ日
はあ。
みうら
「ふぐ食いに行こう」なんて、
それは、ふぐを食いに行っただけで、
旅ではありません。
「旅ふぐ」って言わないでしょ?
それはふぐが目的だからです。
ほぼ日
ふつうは「旅ふぐ」じゃなくて
「ふぐ(の)旅」ですね。
では、ガイドブックなどは‥‥
みうら
いらないです。
目的はできる限り持たないようにしないとね。
そうしないと、旅を味わえないです。
ほぼ日
じゃあ、旅というものは
「ただ行く」のがいちばんなんですね。
みうら
ただ行って、自分に
「‥‥始末におえねぇな」
と感じるくらいでちょうどです。
今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は、
ほぼ打ち合わせ調のムードになっておりますが、
下の動画でどうぞおたのしみください。

目的を持った段階で、
それは旅ではなくなります。
「どう戻ろうか」だけを考えながら
ただただ移動する。
こんなにつらいことはない
というふうにも思えますが
日本の専門家である
みうらさんがおっしゃることです、
一度はそんな「本物の旅」を
やってみるべきではないでしょうか。
プロローグは、まだつづきます。
次回は日曜日の更新です。
2007-07-26-THU