2015年の干支は、ひつじです。
ひつじといえば、ふわふわの羊毛。
羊毛といえば、やっぱり編みもの。
ニットデザイナーの三國万里子さんが、
ひつじ年のはじめに
ひつじにまつわるエッセイを5つ、
ご用意してくださいました。
元旦から、いちにち1つずつ掲載します。
たのしくめでたく、お読みください。

ひつじ年 とくべつ企画

三國万里子さんの
ひつじのお話を5つ。
三國万里子さんプロフィール

その1 ひつじのいる絵本『まりーちゃんとひつじ』

みなさんは、新年の抱負や願い事を
書き出したりしますか?
わたしは書きます。
健康でありますように。
おもしろい仕事が来ますように。
人と仲良く、愉快にやっていけますように。
いいものを編んで、しっかり稼げますように。
美人になりますように。

自分のが書けると、家族にも「書いたー?」と聞きます。
書いたよ、と言われると安心します。
やりたいことや、欲しいもの、こうありたい
という願いがあるってすごくいいよねと思っていて、
家族には、なんというか、
そういう明るい気持ちに照らされていて欲しいのです。
楽しみとか期待を持って暮らしてほしい。
中身については、ちょっと興味はあるけれど、聞きません。

『まりーちゃんとひつじ』の主人公
まりーちゃんは、小さい女の子。
ひつじのぱたぽんに向かって、こう言います。
「ぱたぽん、おまえは いつか
 こどもを 一ぴき うむでしょう。
 そしたら わたしたち、その 毛を うって、
 すきなものが なんでも かえるわね。」

やさしいぱたぽんは、こどもと自分とで
ふわふわの毛をいっぱい作ってあげると
約束してくれます。
まりーちゃんはさらに言います。
こどもが二ひきだったら、
自分たちの新しい靴が買えると。
三びきなら青い花のついた赤い帽子。
四ひき、五ひき、さらにもっともっと、
もしも十ぴきうまれたら。
まりーちゃんの夢は、
楽しく、うらうらと続いていきます。


いいね、まりーちゃん、
そうなったらいいね。
と、わたしも思うけれど。。。
結末は、読んでのお楽しみにとっておきましょう。
このお話は、小さいこどもの関心を引きつける
なにか確かなものを持っています。
ページをめくるたびに増えていくひつじが、
ぞくぞく胸苦しいような興奮を引き起こすようで、
わたしの膝で聞いていた息子も
指で、はしはしとひつじの絵を押さえては、
「わかる?」というように振り返り、
しまいにはこらえきれなくなって、
ぐるぐる部屋を回ったりしていました。

さて、これを書いている今は2014年の暮れ。
楽観的に未来を夢見るために、もうすこし、
今年中にやれることをやってしまいます。

みなさんもふくふくと期待に満ちた、よいお年を。
誕生日に念願の天地真理自転車を買ってもらい、
大得意のわたしと、なかしましほさん。
(※料理家・なかしましほさんは三國万里子さんの実妹です)

(その2へ、つづきます)


2015-01-01-THU
  つぎへ
 
2015-01-01
2015-01-02
2015-01-03
2015-01-04
2015-01-05
立派なひつじが表紙に登場している、
三國万里子さんの最新刊はこちら。
『アラン、ロンドン、フェアアイル
 編みもの修学旅行』

文化出版局/1998円(税込)
スタイリング:岡尾美代子
写真:長野陽一
アートディレクション:有山達也
感想をおくる 「ほぼ日 」ホームへ