SOFTWARE
シェアウェアは
ひょっとすると
デジタルユートピア
かもしれない。

Kaleidoscopeに対する、熱い語り。

昨日ちょっと悲しいことがあった。
家に帰ってみると、
「転送先不明との理由で返送されてきました。」
と、新東京国際空港郵便局から
ポストカードが返送されてきていた。
そう、私が、第1回目に
JpegViewというポストカードウエアの
作者のAaron Gilesさんに出したポストカードだ。
しかも、カードには変なバーコードが
はいっていて、婦人の顔にはインクで
あおたんができている。
Aaronさん、どこへいってしまったのだろう。

あおたん"

私は、彼の
「ソフトがきにいったらポストカードを送るのは
君の義務だかんね。」
という、開発の対価として、お金ではなくて、
ユーザーとのコンタクト、いうならば、
「愛」を求めているその脱力した姿勢がとても好きだ。
「間違い無い、この人ならば、私の描くユートピアについて
必ず語ってくれるだろう」
との読みは、あっさり外れた。

しかし、私にはGreg Landweberさんがいる。

Gregさんは、自分が楽しいと思ったからKaleidoscopeを
作り、まるで親しい友人に、自分のお気に入りを
紹介するように、ネットを通じて
「これ、おもろいよ。」と、全世界に呟いたのだ。

そして、さらにcoloer schemeというファイルさえ作れば、
Kaleidoscope上で動く、
それぞれ、ユーザーの好きでインターフェースを
作り上げることができるのだ。

私達には、Kaleidoscopeを使ってお金を払うという
「シェア」をするだけでなく、Kaleidoscopeを使って、
自分の世界を作ることができる。
そして、それをまた、世界中の誰かにむかって
「これ、おもろいよ。」とつぶやくことのできる
可能性すらも「シェア」できるのだ。

彼がやりたかったのは、つまりそういうことだけで、
お金が少しもうかったのは、
単なる「Lucky」だという認識。

だから、お金を払わずに、ソフトを使いつづける
ユーザーにも、寛大でいられるのだろう。
そこになにか、大貴族のような魂の余裕を感じてしまわずに
いられない。

Gregさんの言う通りに、
こんなにラッキーなひとばかりじゃないのかも
しれないけど、
でも、たとえ小さな世界だったとしても、
「うまくいってるシェアウエアの世界」が
あるってことが私には分かった。

心に、炎がともったようだった。

次回、GraphicConverterの作者の熱い解答を展開。

(つづく)

1998-07-18-SAT

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