ハリー |
というわけで、はじめましょう！ |
ソフト |
おい、待てコラ、ボケナス。 |
| ハリー |
誰が阿弥陀如来やねん。 |
| ソフト |
だから、ツッコミが成立するまえに
壮大なボケを重ねるなよ。 |
| ハリー |
なんやなんや、キミ、何が不満や。 |
| ソフト |
「というわけで」じゃないだろうよ。
どういうマエフリを受けて
「というわけで」なんだよ。 |
| ハリー |
マエフリなら、したやないか！
‥‥‥‥２年前に。 |
| ソフト |
誰も覚えてないって、そんなの！ |
| ハリー |
んもぅ、みんな、忘れっぽいなあ。
２年前の「エハイク100回記念」のとき
ぼくとソフトくんで、
「思い出のエハイク」をめぐる
おもしろトークをくり広げたやないか。 |
| ソフト |
自分で「おもしろトーク」言うな。
ていうか、今年もやるんですか。 |
| ハリー |
やるに決まっとるやろ、ドあひょ！ |
| ソフト |
「ドあひょ」ってなんですか。 |
| ハリー |
「ドあほ」をボクなりにアレンジしたわけやね。 |
| ソフト |
あ〜、もう、ラチがあかない。
じゃあ、さっさとやりましょう。 |
| ハリー |
そうくるべきや！
さっさとはじめんかい、このドあひょ！ |
| ソフト |
‥‥流行んないですよ、それ。 |
| ハリー |
パンパカパーン！
パッパカラッパッパッ
パーン！
「祝！
エハイク200回記念！」
ハリーと！ |
| ソフト |
ソ、ソフトの！ |
| ハリー |
「エハイク談義パート２」！
どんどんどんど〜ん！ |
| ソフト |
ぱふぱふぱふ〜。 |
| ハリー |
‥‥で、どうするんだっけな。 |
| ソフト |
なにも考えてないのかよ。 |
| ハリー |
ちゃんと考えてるわい、このドあひょ！
ええと、まずは、あわわわわ‥‥。 |
| ソフト |
まずは、上位の３つを振り返ってみましょうか。
いずれ劣らぬ傑作ばかりですけど、
にいさんが好きなのは入ってましたか？ |
| ハリー |
よくぞ訊いてくれた！
惜しくも１位はのがしたものの、
２位に入った「携帯を」は
個人的にはベストワンや！ |
| ソフト |
あはははははははは。
これは、たしかにおかしい。
ぼくも大好きです。 |
| ハリー |
句もおかしいが、
なんといっても絵が最高。
この男‥‥いったいナニモンや？ |
| ソフト |
目つきがおかしいですよね。
シェーバー片手にどこを見てるんですかね。
だいたい、どうして電車の中で
シェーバーを持つ必要があるんだ。 |
| ハリー |
ものっすごいはやく、
ヒゲが伸びるひとなんやろね。
つねにシェーバーを手に、
待機してないとあかん。
あと、この髪の毛の
ぴっちりした分けかたからすると、
異常な潔癖症なんかもしれんね。 |
| ソフト |
あと、百歩譲って、
シェーバーを持つのは個人の自由としても、
どうして「携帯にみせかけ」るんですか。
シェーバーにストラップを
じゃらじゃらつける意味がわからない。 |
| ハリー |
けど、そんなこと言うたら、
携帯電話にストラップを
じゃらじゃらつける意味もないやろ。 |
| ソフト |
あ！ 言われてみれば！ |
| ハリー |
そのあたりを作者は
強烈に皮肉ってるわけやね。
まさに現代の矛盾を撃ち抜く弾丸！
それがエハイク！ なんちゃって！ |
| ソフト |
「なんちゃって」言うな。 |
| ハリー |
ところで、ソフトくんのお気に入りは？ |
| ソフト |
ぼくは「粗大ゴミ」が
３位に入ったのがうれしいですねえ。
個人的には大好きだったんですけど、
あまりインパクトの
強い句じゃないと思ってましたから。 |
| ハリー |
これはなにしろ、粗大ゴミの
「粗大なゴミの感じ」が最高やね。
なんや、このイスは。
ショッカーの親玉が座るイスか？ |
| ソフト |
なにげに猫足なんですよね。
しかもきちんと
粗大ゴミ用のシールが貼ってある。 |
| ハリー |
ということは、ショッカーの親玉が
きちんと市役所に届けたわけやね。 |
| ソフト |
というようなことを想像させる
おもむき深い絵ですけれども、
まあ、句の内容としては‥‥。 |
| ハリー |
歩いてた猫が一瞬止まった、と。 |
| ソフト |
それだけですよね？ |
| ハリー |
それだけや！ |
| ソフト |
あははははははは。
いやー、やっぱり最高、これ。 |
| ハリー |
あと、惜しくもベスト３には入らなかったものの
ボクが好きなのは「泥棒が」やね。 |
| ソフト |
にいさん、これ、好きですねえ。 |
| ハリー |
大好きですわ。
これ、評を読んでもらえればわかるけど、
戦車さんがほんとに泥棒に入られてるわけですよ。 |
| ソフト |
実生活でね。 |
| ハリー |
そうそう。そんで、その泥棒に対して、
戦車さんはごっつ怒ってはるわけやけど、
そのやり場のない怒りが、最終的に
「どろぼ味」ちゅう、
わけのわからん表現に行きつくのが、
すごいですわ。 |
| ソフト |
うん。わけがわからなさすぎて
「怒りの句」だとは気づかないくらいですよ。
むしろ、この泥棒、好感度高い。 |
| ハリー |
そうそう。「どろぼ味」って
なんかちょっとおいしそうやし。 |
| ソフト |
ていうかね、今回の100作は、
「怒りの句」がどれもいいんですよ。 |
| ハリー |
ほうほう。 |
| ソフト |
戦車さんが何かに対して静かに怒ってるんだけど、
その対象には、怒りがまったく伝わっていない。
そういう「静かなる怒り」シリーズがいいんです。 |
| ハリー |
あ、わかった。たとえばこれや。
「バイキング」 |
| ソフト |
そうそうそう。
あと「とりやすき」とかね。 |
| ハリー |
「邪魔箱を」も典型的やね。 |
| ソフト |
あと、怒りの屈折パターンが
「スキーヤー」 |
| ハリー |
「スキーヤー」はよかったなあ。
オヤジの顔がもう、最っ高。 |
| ソフト |
あ、そうでしたっけ？
どれどれ‥‥。 |
| ハリー |
ほれほれ。 |
| ふたり |
（爆笑） |
| ソフト |
ダ、ダメだ、腹が痛い。 |
| ハリー |
いっぺんおかしなると
もうあかんね。ノンストップやね。
ちょっとクールダウンするような
静かなやつ、いこか。 |
| ソフト |
なんかありますか。 |
| ハリー |
これなんかどやろ？
「山芋は」 |
| ソフト |
うははははははははは。
ダメだ！ 静かさが逆におかしい！ |
| ハリー |
言えてるわ。
ほな、ほのぼのしたやつ、いこか。
「冬寝から」 |
| ソフト |
あははははは、このカエル！
じゃあぼくも動物モノいきますよ！
独自のホタルが印象的な「我が尻の」！ |
| ハリー |
どはははははははは。
どんなホタルやねん！
ほな、金魚いくわ。「悲しやな」！ |
| ソフト |
この絵は金魚の表情もさることながら、
アングルもすごいんだよなあ。
ていうか、にいさん。
これ、キリがないですよ。 |
| ハリー |
そらそやね。
ほな、ちょっと趣向を変えて、
シリーズもの、いこか？ |
| ソフト |
シリーズものといえば、まずこれです！
４年越しの「春手錠」シリーズ！
「ちくられて」！（その５）
「つぐなって」！
「ひかり浴び」！
「はめたくて」！
いやあ、「春手錠」シリーズが
こんなにドラマティックな展開を見せるとは
思いませんでしたよ。
もはや、春先の風物詩です。 |
| ハリー |
あと、なんといってもこれや。
和田と小野の４連発！ |
| ソフト |
うわぁ、やめてくれー。 |
| ハリー |
くらえ、ドあひょ！
「ピエモンテ」！
「イチゴさじ」！
「自買いチョコ」！
「清掃中」！ |
| ソフト |
このふたりはほんと、すごいわ。
いがみ合ってる意味がわからない。
あと、どっちを応援する気にもなれない。 |
| ハリー |
これが４つ連チャンで届いたときは、
ボクも担当編集者として
「どこまで行く気やねん！」
とハラハラしたわ。 |
| ソフト |
あと、地味なシリーズものとして
ぼくが好きなのが高校野球もの。
「負け後藤」
「右中間」
「塁に出て」
たぶん戦車さんがほんとに
高校野球を観てるからなんだろうけど、
なぜかグラウンドに自分がいるような
妙なリアリティがあって、
それがおかしさを増幅するんですよ。 |
| ハリー |
ボクの好きな地味シリーズは、
戦車さん自身が登場する、このへんやね。
「ドンと咲く」
「誉めを乞う」
「ネーム出ず」
戦車さん自身が登場する句は
ほかにもたくさんあるけど、
このへんの「苦しんでる」やつは
ひときわおもしろいと思うわ。 |
| ソフト |
しかし、にいさん、
これ、ほんと、キリがないですよ。 |
| ハリー |
せやな。
ほな、最後にお気に入りを
ひとつずつ挙げて終わりにしよか。 |
| ソフト |
了解です。
悩みに悩みましたが、これ！
「月よ見よ」！ |
| ハリー |
おお、これかあ。 |
| ソフト |
なぜだか壮大さを感じさせる
不思議な句です。芭蕉の
「荒海や佐渡によこたふ天の川」
に通ずるスケールの大きさがあります。 |
| ハリー |
保菌者なのに。 |
| ソフト |
保菌者なのに。 |
| ハリー |
ほな、ぼくはこれや！
「じろじろと」！ |
| ソフト |
‥‥‥‥へ？ なんでこれ？ |
| ハリー |
いや、身につまされるなあと。 |
| ソフト |
へ？ |
| ハリー |
ボクも反省せなあかんなあと。 |
| ソフト |
ああ！ そういうことですか！
たしかに、たしかに！
にいさんはお店に美人の店員さんがいると
じーーーっと見るどころか
あっという間に声をかけますからね！ |
| ハリー |
ド、ドあほ！ |
| ソフト |
「ドあひょ」でしょ。 |
| ハリー |
どっちゃでもええわ！
人聞きの悪いことを言うな！
ボクは美人の店員さんに
声かけたりしてへんわい。 |
| ソフト |
声かけてたじゃないですか！
こないだもほら、あのカフェで！ |
| ハリー |
あれは美人の店員さんやない。 |
| ソフト |
どういうことですか。 |
| ハリー |
美人、かつ、
感じのいい店員さんやった。 |
| ソフト |
もうええわ。 |
| ハリー |
ほなみなさん、また
300回記念でお会いしましょう！ |
ふたり |
さーよーうーなーらー♪
|
