もしも映画を撮るとしたら

(前回までの、もしもの世界)
妄想の泉からやってきた
関根勤さんの「もしもの世界」。
本日は新しく
第4の「もしも」にまいります。
もしも好きなように映画が撮れるとしたら、
誰に、どんな役をしてもらって、
どんな映画を、撮りたいですか?
(チョモランマ)

ほぼ日 映画ですか。
関根さん、いかがでしょうか。
関根 あのね、僕は
「冴えない男が
 最終的には幸せになる」
という映画を作りたいんですよ。
ほぼ日 はあ‥‥あの、はい、はい。
関根

はい。ほんとうに、撮りたいです。
それは、温水洋一さんが主演です。
温水洋一さんと‥‥そうですね、
村松利史さんが主要人物です、
もとワハハ本舗の。
僕はね、村松さんが、
もう大好きなんですよぉ。

ほぼ日 (笑)、我々も好きです。
で、そのふたりが主人公で。
関根

キャストには、
あともうひとりくらい必要ですね。
誰がいいかなあ‥‥モテたくてモテないような
役ができる人がいいなあ。
南海キャンディーズの山ちゃんが
いいのかなぁ、
もうちょっと中年のがいいのかなぁ
(うっとりするように)。

ほぼ日 ええっと‥‥。
関根

でね! まあ、それぞれが
サラリーマンだったり、
下町の小さな工場で働く人だったり、
あ、温水さんは、あれがいいかな、
教官がいいかな。

ほぼ日 教官‥‥スチュワーデスの。
関根 いや、自動車学校の。
僕はねぇ、温水さんで
撮りたいシーンがもう決まってるんです。
歌舞伎町か錦糸町の歓楽街で、
チンピラ役の
千原兄弟の千原せいじさんと出会います。
そのとき肩がぶつかったか、あるいは、
千原せいじさんの美人局に遭った温水さんが、
怒鳴られまくられて、
謝りまくる
というところ。
このシーンは、アップを多用して
いっぱいカットを使って撮ります。
日本の映画ってね、
引きが多いんですよ(けわしい顔)。
ほぼ日 そうなんですか。
関根

アメリカの映画って、アップとか
切り替えが多いでしょ?
だけど、日本の場合は、
予算の関係上、どうしてもね。
けれども、温水さんのそのシーンは、
ほんっとに、切り替えたいです、
パーンパン、コリャアー、アップ!

ほぼ日 描写をなさりたい、と。
関根

ガラスを使って下から撮ったり、
千原さんが
「コリャーアー」
っつったところで、
CGで、その声が
温水さんの耳に入ってって、
耳で「キーッ」、
三半規管のうずまきのところを通って、
ビャーッと脳のところへ行って「ヒイー!!」。
たっぷり15分は、そこのシーンにします。

ほぼ日 コリャーで15分ですか。
関根 それ、撮りたいですね。
ぜひとも、ええ。
ほぼ日 ええっと、ほかになにか、
映画の構想はありますか?
関根

夢枕獏さんの『餓狼伝』とか
『魔獣狩り』、ご存知ですよね?
ああいう作品の、戦うところのシーンを
撮ってみたいですねぇ。
夢枕獏さんと‥‥ほかにはそうですね、
戸梶圭太さんですね!
戸梶圭太さん、
ものすごくおもしろい作品が
いっぱいあるんですよ。
あれを全部、撮りたいですね。

ほぼ日 全部ですか。
関根 ええ、全部。
ほぼ日 ‥‥‥‥。
関根

あとね、奥田英朗さんの
『最悪』って小説があって、
これはドラマになりましたけれども、
僕は主人公の町工場のあの人を
大地康雄さんにやっていただきまして、
大地康雄さんの隣の工場の人を
いかりや長介さんにお願いします。

ほぼ日 亡くなりましたが、いかりやさん。
関根

文句を言いに来る、新しい団地のあの人が
佐野史郎さんで、
銀行のOLが石田ゆり子さん
チンピラが金子賢さんで、
石田ゆり子さんをセクハラする上司が、
中尾彬さんです。

ほぼ日 ‥‥すごい。
関根 それを撮りたいなぁ。
ほぼ日 関根さんの頭の中で
そこまでできあがってるのは、
それは、いったいどういう興味で‥‥?
関根 これは、知り合いのディレクターの方と
しょっちゅう話し合っているからです。
つまり、
本を読んではキャスティングする、という
「ごっこ」をしてるんです。
ほぼ日 (笑)ごっこ。
関根 おもしろい小説があると、お互いに
読んではキャスティングを考えます。
だけど、これはやっぱりプロの世界なんで、
いろいろとあるんですよ。
つまり、自分たちのしたいキャスティングと、
ヒットを狙ったキャスティングは
ちがってくるんです。
もう、ふたりともすぐに
渡辺謙さんとか佐藤浩市さんとか
言い出しますからね。
やっぱり女性のお客さんのことを考えて、
とかね?
一同 (笑)
関根 いつも知り合いと、
そういうことばっか、やってんですよ。
ほぼ日 関根さんは、やっぱり
妄想がお好きなんですね。
関根 あとはねえ、洋画を
日本のキャスティングにしたりします。
ほぼ日 あ、おもしろそうですね。
関根 ま、「インディー・ジョーンズ」はね、
いつも困っちゃうんだけど、
やっぱり星野仙一さん
いいですね。
ほぼ日 (爆笑)
ああ‥‥インディが星野さん!
似合いそうですね。
関根 ええ。いいでしょう?
雰囲気があって。
(しみじみ)

関根さんのつね日ごろの妄想力に
舌を巻いた、
映画に関する「もしも」でした。
明日からは最後の「もしも」に
突入いたします。
どうぞおたのしみに。

(続きます)

2008-09-09-TUE
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