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虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第79回
「我が愛しのモーむす」その3


う〜、また間が空いてしまってすみません。
今、検索エンジングーグルについて調べています。
グーグルは従来の検索エンジンの、
検索単語がいくつ含まれているだけではなく、
そのホームページがリンクしている数に注目した
仕組みを持つエンジンといいます。
この単語数とリンク数を
「勢いを表す同等のパラメータ」と扱う考え方は、
画期的といえるんじゃないでしょうか?
実際、物事はつながり〜リンクによって
成立する部分がありますし、
また、その有効性が最も問われる状況のような気もします。
単体の重量だけではなく、
組む相手と、つながり方によって
実績をカウントされる時代ということなのでしょうか?
社会に対する考え方の基本を
少し塗りかえる部分がある感じがする。
考えようによっては大変な時代の始まりであります。

モーむすのありかたもメンバー間のリンク、
リンクの連続、そしてメンバーそれぞれが
HPを持っているような動き、という印象があります。

「愛の種」のヒットの後のつんくのフンバリも
スゴイものがありました。
桜井鉄太郎さんと僕の関与は、
第一弾シングル「モーニングコーヒー」の
サウンドプロデュースを桜井さんが行うということで
終わりましたが、
そこからがモーむすばく進の開始だったということです。

その中でビックリしたのは、
メンバーが不定型にドンドン出たり入ったりするということ。
オニャンコのように、単なるデビュー脱退というような
動きに留まらず、福田明日香の勉強したいからやめるとか、
石黒の妊娠したからやめるといった極めて日常的個人的、
かつアイドルとしては異例な脱退が
「モーむすは自然体なのだ」という状況を
雄弁すぎるほど厳格に物語ってしまったのです。

特に福田の脱退にはビックリしました。
最初に一番歌唱力があった子だし、
彼女の普通のたたづまいが
初期の彼女たちのイメージを決定づけたといっても
過言ではないでしょう。

あいさつしたときに、キリっと僕を見据えた目は
忘れられませんが、
それはサークルの先輩に挨拶する時の目だったともいえます。
スターを目指していたのに、結局普通の勉強に戻るかあ。
そのタイミングが早いのが現代的ではある。
きっと芸能界って彼女のイメージと違ったんだろうな。

今にして想えば、彼女は初期の森昌子
(あとちょっと山口百恵)に似てる。
つまり中三トリオの感覚に近いともいえ、
その意味ではオニャンコを飛び越え、
ほんとの70年代アイドルの源流に近づいていたんだな、
と妙にポップス史観的に納得したりもするのです。

追加されたメンバーでは、前回書いたように、
今回のライブで石川梨華の岡田奈々のような
清純アイドルぶりにはカナリ頼もしいものを感じましたが、
やっぱり矢口、加護のぶっちぎりのとんがった
お子さまぶりが最大の事件だったと思います。
そして、後藤真希の堂々たる番長としての登場ぶりに
溜飲を下げました。完敗。乾杯。


そんな彼女達総勢が揃った横浜アリーナの後半、
「サマーナイトタウン」「Memory青春の光」「真夏の光線」
とメドレーが続きます。
ここでショートストーリー<寸劇>の登場。
実は彼女達が属するアップフロントのアーティスト達は
必ずこの寸劇を合間に挟むのが特徴のようです。

パール兄弟とレコード会社が同じだった
「愛は勝つ」のKANのライブでは、
サポートメンバーだったキーボードの矢代恒彦
(パール兄弟に在籍)さえも
本格ギャグに挑戦させられるそうですし、
シャ乱Qライブでも幕間ギャグは重要で、
なんと今をときめくリリー・フランキーが
構成を担当していたこともあるようです。

今回のモーむすの寸劇ですが、
これがけっこう面白かった。
セーラー服の女子中学生に扮する石川梨華が
ハンバーガーショップの店員後藤真希(男役)に
恋するという話。
石川のセーラー服姿には1万5000人の野郎共が
1人1人「オオ〜」という低い、しかし深いため息をもらし、
広い会場ではそれが全体で「ゴオオオ」と響き、
大変に不気味でした。
なにせ、そんな本格制服アイドルの姿を見るのは
久しぶりですからね。
後藤が男役になるというのが、
彼女のキャラクターの陰影をとても深く縁取る感じがして、
彼女は女子プロレスでも十分にスターになるな、
と思いました。

さらに、ヒゲのちび中年男ハンバーガー店長に矢口(笑)。
そして、純真な石川に嫉妬してしつこい嫌がらせをする
意地悪な店員、という汚れ役を買って出たのが飯田香織!
う〜ん、これはいけるよ。ホントにいそう、こわそう。
こういうダーティ役ができる子がいると、
女集団は強いんだよね。
堂々とアクを演じられる飯田を見直しちゃいました。

昔「シャボン玉ホリデー」という番組があって
歌の合間に寸劇が挟まれる、こうした構成でしたが、
とっても好きだったのです。
もしローリングストーンズやジャネットジャクソンの
ライブで寸劇が挟まれたら、どうでしょう?
ハゲかつらのロン・ウッド。セーラー服のジャネット。
似合うか?
でも、ショウとしてはどんなに違和感あるだろう?
絶対欧米では考えられませんね。寸劇は。
そう考えると、ホントに日本の誇るべき土着文化ですね。
結局、寸劇は恋のキューピット神様(加護だったと思う)の
勘違いでヒゲチビ中年店長の矢口と石川が結ばれるという
とんでもない結末をむかえました。

後、着替えて「あこがれMyBoy」など数曲。
そして続く「愛車ローンで」という曲は、何とカラオケ!
ここまでのショウもカラオケで歌っているのだが、
このカラオケとは、スクリーンに現れる
カラオケビデオの文字に会わせて
1万5000人が合唱するコーナーなのだ!
これはアイデアだなあ。
みんな歌える、歌える。
この有名だか有名じゃないかわからない曲を
正確に野郎共がアリーナの天井も割れよ!と大合唱するのだ。
最後は「抱いてHOLDONME」「恋のダンスサイト」
「LOVEマシーン」と強力な70年代ディスコ・オマージュ・
ヒットでドカーンと終わる。
終了時にはボーンと雨のようなキラキラ紙が
天井に向けて発射されるが、
モーむすのライブとはずっとキラキラが放出されっぱなしの
印象があるので、それほど記憶にのこらないくらいだ。

アンコールが終わり、楽屋に挨拶にいく。
アリーナの楽屋は広い会場の外周を一周して
行かなければならないので、着くのに10分ぐらいかかる。
ビルの引っ越しのような巨大なセットの分解と移動を
横目に見ながら、ヒイヒイとやっと楽屋につくが、
関係者はみんな所在なげに待っている。
さらに待つこと20分ぐらい。
福田一郎先生は、一足先にお帰りになったと思われたが、
なんと上気された顔でニコニコと楽屋から出てきた。
そしてモーむすが人々に挨拶するため、楽屋から登場した。
みんな、興奮のためか顔が赤い。
それぞれのメンバーが、数十人の来訪者に対して
「あ、この人はなんの人だっけ?」
と必死に思い出そうとするのが健気。
「愛の種」の詩をパンフレットで誉めてくれた加護などに
紹介されたかったがそれどころではなかった。
中澤はすぐに気付いてくれて、
安倍なつみと飯田もそれに続いた。
安倍も飯田も髪の色以外は本当に、自然な感じが変わらない。
しかし、中澤はリーダー役ですっかり貫禄がつき、
しかもずいぶんと綺麗になっていることにもビックリした。
どんな日々が彼女を過ぎていったのだろう?
「がんばったね」との僕の言葉に、
間をおいてジックリと素直に反応する彼女達には
やっぱりギミックを感じられなかったのである。

もーむす
上段 左 石川 
中段左から2番目から 矢口、安倍、中澤、
下段 左から 飯田、後藤、加護


数分間、関係者に微笑を振りまいた彼女たちは
三々五々ではあるが、サっとあっという間に
ワラワラと楽屋口から帰途に消えていった。
七日には大阪城ホール2デイズ4回戦が
また超満員で待ってるからである。


僕のホームページで何と、僕も参加して、
チャット大会が開かれます。うまくいくかなあ。
5月21日月曜日の夜11時から午前1時までで〜す!
覗いてね!
HP「ThisisSAEKingdom」
http://run.to/kenchan


サエキけんぞうとパール兄弟窪田晴男のギターなどによる
ライブが6月2日(土)に午後7時から
青い部屋で行われることに決定いたしました!
対アーティストは、クラブシーンで話題のパフォーマンス、
エルナ・フェラガーモ。詳細は次号で!
http://i.am/aoiheya

2001-05-17-THU

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