MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第288回
「ジ・エンドへのカウントダウン
 そのマイナス13番」
<ロック・シーンは青春の一里塚>

いよいよ春めいてきましたね。
先日の大風が春一番だったとは驚きです。
沈丁花も香るか香らないかの時期、
人は別れについて考え、人生を振り返りますよね。

僕が千葉で少年ホームランズという
ロック・バンドを始めたころ、
徳島大学歯学部に入ったばかりでした。
千葉市川から徳島、YS11というプロペラ機での旅です。
当時は、スカイメイトという割引制度がありました。
キャンセル待ちのさらに後で、なんと半額!
当時14000円だった飛行機代が7000円!
バスとフェリーを使って行くより安かったのです。
僕の千葉におけるロック活動は、
このスカイメイトで培われたといっていいでしょう。
徳島にいって、大学に通う一方、
徳島地元のロックシーンにもコミットしました。
しかし、千葉でのバンド活動は進行してしまいました。

大学一年の夏に、千葉の仲間6バンドが出演する、
総決算ともいうべき「ハイ・ボルテージ!」というライブを
千葉の今はなき、セントラル・プラザという
雑居デパートのホールで行うことにしました。
会場は、ハコ貸しで、
PAを自分達のつてで借り、持ち込みです。
一体どうやって予算を調達したのか
まるで思い出せませんが、
無我夢中で、みんなでやりました。

太田螢一氏に豪華なチラシ絵を描いてもらい、
千葉の地元の喫茶店などに、
協賛をお願いしに行きました。
コーヒーを飲みに行き、
「実は、こういうライブをやるんですが、
 協賛し、お金を出してくださいませんか?」
といきなりキリ出すのです。
常連だった店は、結構出してくれました。
しかし、いきなり飛び込んだ場合もあり、
ケンもホロロに断られたりもしました。
今から考えれば、よくそんなことやったと思いますが、
1口5000円の協賛金は、赤字を減らしてくれました。
今のスターバックスとかでは、
そういうわけにはいきませんね。
各バンドが手売りを頑張るわけですが、
今のノルマのようなものではなく、
売ること自体が楽しみだったといえます。
それは大学になって別れ別れになった絆を
たぐろうとしていたセレモニーだったともいえましょう。

こうして、中成功に終わった「ハイ・ボルテージ!」の
甘酸っぱい感触は忘れられません。
中学からつちかってきた人間関係の総決算。
中心の僕自体が徳島にいっていました。
現役で一足早く東大に入って、
パチンコだけをして暮らし、
速くも留年したベースの矢吹、
房総のサーファーになったなかがま、
サザン・オールスターズの後輩として
部長を務めるようになった宮田繁男
(後にオリジナル・ラヴに加入)、
などなど、みんな自分の居場所にすでに散っていった。
しかし、バンドは個々には細い絆で連帯していました。
我々の青春を濃く彩った地域コミュニティは、
あくまで中学高校時代のもの。
それが終わった夏、開いたコンサートは、
中学高校と繰り広げた千葉バンドシーンへの
オマージュだったのです。

そこから先は、自分達の道、
そんな感傷が僕達少年ホームランズの場合は
「メロー野郎in津田沼PARCO」
「俺はペーペー」というオリジナル曲に繋がりました。
そこでしか、ないタイミングだったといえましょう。
つまり、青春と郷土に別れを告げるとき、
何かお供え物を作らなければ、
そのルートについて、先には進めないのです。
「ハイ・ボルテージ!」後、みんな、
千葉のシーンを振りかえることはありませんでした。
後輩は、「先輩、素晴らしいコンサートでした。
来年もやってください!」といいましたが、
「お前ら勝手にやれ」としかいいようがありませんでした。
僕らも先輩はいなかった。
後輩に残したいという気持ちもよぎりましたが、
無理だな、と思いました。
それがロックシーンと、
学校(サークル)シーンの違いなのです。

 

80年代を代表する無国籍ロックバンド、
パール兄弟のオリジナル・アルバムが
ユニバーサルミュージックの
「ハガクレ」より紙ジャケットで7タイトル一挙リリース!
メンバー所有の秘蔵ボーナストラック満載!!

【1】未来はパール(1986年6月25日ポリドール)
【2】PEARLTRON(1987年3月25日ポリドール)
【3】BLUE KINGDOM(1988年2月25日ポリドール)
【4】TOYVOX(1989年4月7日ポリドール)
【5】六本木島(1990年6月25日ポリドール)
【6】鉄、色、雪のパール兄弟+秘
 (1987年11月25日/1989年9月6日ポリドール)
【7】完璧なベスト(1992年1月25日ポリドール)

仕様:紙ジャケット仕様
価格:各2,100円(税込)
発売日:2008年2月27日
発売・販売元:ユニバーサルミュージック株式会社

ソリッドからの前身のハルメンズのさらに前身
『少年ホームランズ』も紙ジャケ化!

仕様:紙ジャケット仕様
価格:各2,625円(税込)
発売日:2008年2月16日
発売・販売元:株式会社ウルトラ・ヴァイヴ

「さよなら!セブンティーズ」の、
あのディスクユニオンにてオリジナル特典あり!

『パール兄弟』と『少年ホームランズ』
両方併せてお買い求めの方には、さらに特典が!

詳しくはディスクユニオンHPにて

文中の「ハイ・ボルテージ!」前夜の
千葉ライブハウス「マザース」における
「メロウ野郎 in 津田沼 PARCO」初演ライブ録音が、
ディスクユニオンの「少年ホームランズ」
オリジナル特典CDRとしてついています!

★特典音源詳細★
「メロウ野郎 in 津田沼 PARCO live in
千葉マザース1978,8,」
少年ホームランズの最初期
(オリジナル・レパートリーを始めた最初のライブ)の
ライブで、「メロウ野郎 in 津田沼 PARCO」の
初披露になった、記念すべきライブ音源。
ギターに比賀江隆男が参加しているが、
その他は、「少年ホームランズ16」で初披露となった
デモ音源4曲に参加する、
金子ひろあき(Dr,青学ベターデイズ所属)、
矢吹博隆(ベース、東大)、の他、
なかがま(ギター、サーファー)、
池田彰一(キーボード)と、
比賀江(市川)をのぞいて地元千葉市を中心に
活動していた仲間ばかり。
観客も、地元の友達や、お店の常連などで、暖かい雰囲気。
初期は、そうした地元ローカル色の
強い発信であったことを物語る貴重なライブ音源。

サエキけんぞうの公式ホームページ

http://www.saekingdom.com/

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2008-03-04-TUE
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