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虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第242回
「いじわるペニス‥‥内藤みかさんと
 最新青春事情 その2」

前号のように、水商売の日常への接近は、
ちょっとわかりにくい部分があります。
どのように現場は従来と変わったんだろう?
と思っても、現場の裏など、もともと知らない。
いわゆる公の記録も少ない。
それは全国でいっせい、どとうのように
変化していってるのでしょう。

そう、水商売には、当然のように闇があるのです。
闇は音楽にもどんな産業にもあるものでしょうが、
水商売の場合は、なんといっても、
女性の係わり方が、近年、前号のように
とんでもなく変わっていった印象があります。
女性の日常との距離が変わっていったのだと思われます。

そんな日常に関わる女性の心理や、衝動、
そしてどうやって墜ちるか、
という構造が、ナゾなのです。
そんなナゾを解いてくれる本に出会ったというわけです。

某結婚式で、内藤みかさんという作家と知り合い、
彼女の小説「いじわるペニス」を読みましたが、
これはそういうニーズに応えてくれる本です。

使いものにならないモノを持つ、
いわゆるウリセン=ゲイ両刀少年と、
借金まみれの29歳派遣社員女性主人公との
ハダカの駆け引き、というストーリー。

女性は、男を求めますが、
彼は、ペニスが立たない上に、すごくズルい。
お金に汚くて、ウソのつき方がうまい。
しかも、コンピュータとか最新流行など、
そこそこくわしいサブカル性も備えていそう。
このしょうもない男の子像がすごいリアル!
ウソのうまい男の子、ちまたに昔よりも増えてる感じ。
暴力的なところが減った分だけ増えてる‥‥、
という印象ですが。

電車にのってると、
「あ、この男って、あの内藤さんの書いた
 男の子みたいな子かな?」
などととんでもなく失礼なことを
考えてしまうようになりました。

そんな子に翻弄されるうちに、主人公の女性は
どんどんキャッシングしてしまうのです。
プレゼント、キャッシング、そして‥‥。
キャッシング、ここがポイントでしょう。

本来、経済観念がてがたい部分があるはずの女性が
どういう風に突き動かされて堕ちるのか?
現代風俗(文化)との交わりメカニズムは
戦慄ものであります。

コタツピンサロなど、関係ない女性にとっては
未知の場所が新鮮でしょう。
知らなかったな、コタツで交わす情。
心にくいところをついてきます。
先端の風俗は。

内藤さんには、面白いサイトを教えてもらいました。
男にとっては、ナゾの場所、ホストクラブのサイトです。
ホストクラブを取り巻く、リアルタイムの戦争のような
やりとりが見れるサイトが
「ホストラブ」

この無数のBBSはスゴイ!
人気ホストを取り巻く、激しい監視の目が
続々アップされます。
「代表のお客さんの友達のことだったんだ‥‥
 ふたりともヤバいっしょ‥‥。」07/12 02:41
「ヤバイブスだよね」07/12 02:56
と、ホストがだれとどうしたか
ホテルに2ショットで入るの見た、とか
携帯で次々と書き込まれていくのです。

男と女は、家庭とか職場とか、仲良くもしますが、
ある意味シノギを削ってる場合もある。
しかし、今の世の中、一番男と女が
テンション高くしているのは、ホストクラブかもな、と
この携帯監視包囲網を、見てみると思います。

その中で、女性は、感情的でありますが、
意外と冷静に自分を考えたりもするわけで。
そのブレンド具合が、男にとってはわからない。

内藤さんの小説の白眉は、
そうした女性の「決断」にいたる機序が
細かく書かれているところでしょう。

熱い夜明け、今日も盛り場では、
男と女の戦争が行われている‥‥
『いじわるペニス』オススメです。



なお、内藤さんは、さる男性と結婚、離婚し、
また同じ男性と離婚、現在は独身ですが、
どうやらその人としかセックスしていないといっており、
それもすごく驚かされますが、
すごく素直にそういった状況と対処しておられるようで、
妙に納得させられるのです。

みんな、時代の波を越えて生きる。
日常をどう突き抜けていくのか?
男と女の物語は変わらずに続くのでしょうが、
そのリアルな姿は、刻々と変わっていくのです。
(この項了)

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2005-07-22-FRI
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