去年の試食会が思いのほか好評だったので、
ことしも、あのおいしいチョコレートケーキを
ひとあし先にいただきました!
『ザッハトルテ』が届いたときの、
「うれしさ」や「おいしさ」。
それを素直にお伝えするのが、この試食会の使命です!

幸運なる試食人(ししょくびと)は、以下の4名。

進行はで、お届けいたします。

山下 さあ、お座りくださーい。
モギ 全員そろいましたでしょうか。
一同 はーーい。
モギ じゃあ、はじめましょう。
ザッハトルテの試食会でーす!
一同 ぱちぱちぱちぱち(拍手)。
山下 いきなりですが、田口さん。
田口 え、あ、はい。
山下 去年も参加している田口さんは、
「試食の先輩」になるわけです。
田口 先輩‥‥そうかもしれないですね。
山下 なので本日、田口さんには、
最初のよろこびを表現していただきます。
田口 最初の、ですか。
山下 「ザッハトルテが届いた瞬間のよろこび」を。
田口 なるほど。
そこはすごくうれしいところですよね。
山下 ‥‥じゃあ、ちょっとぼくは、
宅配便の人の役を‥‥。
(ケーキの箱を持って立ち上がる)
モギ え? そこから? そこからやるの?
山下 はい、雰囲気が出るので(退室してしまう)。
田口 ‥‥‥‥‥ええと‥‥(間がもたない感じ)。
小野 ‥‥‥‥‥(不安そうな感じ)。
わかた ‥‥‥‥‥(心細い感じ)。
とやま ‥‥‥‥‥(ふつうに笑っている)。
モギ ‥‥さて、
ケーキを注文して、数日が経ちました。
そんなある日のことです。

(コンコンコン、とノックの音)
山下 田口さーん。
田口 はーい。
山下 あ、ハンコお願いしまーす。
田口 はい。
山下 ありがとうございましたー。
‥‥(小声で)田口さん、
「なんやろう? この荷物なんやろう?」
と言ってください。
田口 なんやろう? この荷物は、なんやろう‥‥?
山下 (小声で)椅子に座ったときに、
はたと思い出す。
田口 ‥‥あっ。
田口 ああーーーっ!
はいはいはいはい、思い出した!
おれ、注文したやん!
たのしみにしとったやつや!
これは、
ザッハトルテやっ!!
一同 (拍手と笑い)
山下 いいっ!
すばらしい到着のよろこびです!
さあ、
包みを開けましょう。
開けるのは? 田口さんでいいの?
モギ 去年は開ける人をじゃんけんで決めました。
山下 じゃあ、ことしもその方法で。
じゃんけんに勝った人が、
「開けるよろこび」を得られるのです。
モギ いきますよー、さいしょはグー!
一同 それ、じゃんけんぽーん!
小野 あら、負けました。
若田
とやま
さいしょはグー、じゃんけんぽい!
とやま わー、負けちゃった。
田口
若田
‥‥さいしょはグッ、じゃんけんぽん!
田口 あっ。
一同 (笑)
モギ そういう流れなんだよ(笑)。
山下 開けましょう、うれしさを表現しながら。
田口 わかりました。
とやま たのしみー。
田口 なあ、たのしみやなぁ!
山下 田口さん、いい顔っ!
開けるよろこびに満ちている!
田口 ‥‥これも、開けちゃっていいですか。
山下 あ、そこは‥‥。
(小声で)「これを開ける瞬間が大切だぞ」
とか言いながらで、お願いします。
田口 ‥‥‥‥いいか、みんな、
こいつを、開ける瞬間が大切なんだぞ。
いくぞ? 開けるぞ?
ほらっ!
一同 おぉーーー(笑)。
とやま くしゅくしゅの紙が。
わかた かわいいー。
田口 じゃあこれを、お皿に移すぞ。
小野 あ、お手伝いを。
わかた わたしも。
山下 いいですねぇ、力を合わせて。
田口 すまんな、みんな。
とやま なんか、お父さんみたい(笑)。
山下 ほんとだ(笑)。
田口さんはいま、
「お父さん役」を演じるしかない
ポジションにたどり着いています。
モギ 流れでね。
田口 なんでこんな流れになったんやろ。
山下 だから、じゃんけんに勝つからだよ(笑)。
田口 あ‥‥そうか。
とやま わー、ケーキがでたー!
わかた おいしそう。
つるんとしてますね。
田口 お父さんはこれを八等分に切るから、
そのあいだにお母さんは
紅茶をいれてください。
小野 ‥‥え? あ、はい(立ち上がる)。
モギ どさくさにまぎれて、
小野ちゃんがお母さんに設定されました。
田口 (ケーキを切っている)
よいしょっと‥‥。
これで、八等分。
わかた
とやま
わーい!(拍手)
山下 ほら、ちびっ子たちもお手伝いしないと。
わかた ちびっ子(笑)。
とやま じゃあ、ケーキをお皿に取りわけよう。
小野 はーい、お紅茶ですよー。
モギ なんだこの家族(笑)。
山下 どうぞ、
そのまま召し上がってくださーい。
一同 いただきまーす。
山下 ひとりずつ、
「おいしくてうれしい顔」を。
まずは、とやまちゃんから。
とやま ‥‥はむ(と食べて)、
んんんんーー!
おいひーーーーーーーーっ!!
一同 (笑)
モギ すごいね、あなた(笑)。
山下 ぶっ飛びぎみですが、
あかるくてたいへんいいと思います。
モギ 次は、わかたちゃん。
山下 あのね(笑)、ふつうでいいですからね。
一発目は気にしないで。
わかた はい。
(食べる)‥‥おいしいです。
モギ いいよ−、ナイス、ナイス!
山下 じゃあ次、お母さん。
小野 (食べる)‥‥おいしい。
ほんとにおいしいです。
あ‥‥うん‥‥おいしい。
山下 いいですねー。
自然な感じがたいへんいいと思います。
モギ じゃあ、いよいよお父さん。
山下 田口さんの「おいしい顔」。
去年のそれは、すばらしかったですからね。
田口 ‥‥食べます。
山下 ちょーっと待ってください。
(小声で)‥‥
「いいかお前たち、
 お父さんはこれから、
 うれしさとおいしさが混ざる
 微妙な表情の変化を
 たっぷりと表現するからな。
 ちゃんと、よーく、見ておくんだぞ」
と言ってから、食べてください。
田口 ‥‥そんな、むちゃぶりじゃないですか。
山下 よろしくお願いします。
田口 ‥‥‥‥‥‥いいか、お前たち。
一同 (その勇気に拍手)
田口 お父さんのな、
その、うれしさとおいしさがな(笑)。
山下 笑わないで、真顔で!
真顔でお願いします!
田口 混ざり合う表情の変化を
たっぷりやるから、
よーく見とけや(真顔で食べる)。
一同 ‥‥‥‥。
一同 お‥‥。
山下 まず、軽いおどろきが‥‥。
一同 おお!
山下 おどろきが、さらに強く!
山下 しみじみ、うれしさと‥‥。
山下 おいしさがしみわたり‥‥。
山下 満面の、ほほえみに。
田口 ‥‥うん‥‥おいしい。
一同 すばらしーーー!(拍手と爆笑)
小野 お父さん、すてきでした。
わかた 感激しました。
とやま すっごーいですーーー!
山下 ‥‥もう、十分ですので、
みなさんふつうに食べてください。
一同 はーーーい。
とやま このケーキって、甘さ控えめですよね。
山下 でしょ?
小野 思っていたよりも、
あっさりした味というか‥‥。
モギ 日本人の舌に合うよう、
あっさりした甘さに整えられているんです。
わかた 去年、食べたときも
甘すぎなくておいしいと思いましたけど、
今年もやっぱりそこに感動しました。
山下 ん? 去年?
‥‥わかたさんは去年、
会社でザッハトルテを食べましたっけ?
わかた はい、ちょうど入社したばかりで。
モギ ちょうど?
わかた あの、じつは、
きょうでちょうど1周年なんです、
「ほぼ日」に入って。
一同 ‥‥‥‥えっ。
山下 きょう?
わかた はい、ちょうど1年前のきょうです。
モギ うそー!
山下 (小声で)田口さん‥‥
「どうしてそれを最初に言わないんだ」って、
ちょっと怒った顔で言ってください。
田口 ‥‥わかたろう。
わかた はい(笑)。
モギ わかたろう!(笑)
田口 おまえは、どうして‥‥
どうしてそれを最初に言わないんだよ!
わかた ごめんなさい(笑)。
山下 (小声で)‥‥
「お父さんは、なんでもない日に、
 パーティをやろうと思ってたんだぞ」
田口 わかたろう、お父さんはな、
なんでもない日に
このパーティをやろうと思ってたんや。
山下 (小声で)‥‥
「なんでもない日や、ないやないかぁ」
田口 なんでもない日や、ないやないか!
‥‥でもわかたろう、
入社1年、おめでとう!
ようがんばったな。
小野 おめでとう。
とやま おめでとうございますー。
わかた ありがとうございます。
モギ ‥‥えー、
わけがわからなくなりつつありますが、
これはザッハトルテの試食会です。
山下 モギちゃん、軌道修正をありがとう。
不思議な設定になってしまいましたが、
「ひとつのケーキを囲んで
 みんなで食べるとこんなにたのしい」
そのことだけは
なんとか伝わったのではないでしょうか。
モギ だといいですね。
山下 伝わることを祈りながら、
みなさん、最後のごあいさつを。
カメラに向かってぇ‥‥。
一同 ごちそうさまでしたーーー!
ザッハトルテの「試食劇場」は、これにて終了。
みなさんも、ケーキの到着で、
「うれしく」「おいしく」なりますように!

とじる