学校農園、日本中にあるの? レポート編


ほぼにちわ、山下です。

ちょっと大きめでお送りしております
「postman@1101.comから。」、
前回に引き続き今回も、
「日本の小中学校に専用の農園があるといいなぁ」
という糸井重里のつぶやきからうまれ出た、
素朴な疑問を追究してゆこうと思うのです。
(なにがなにやら? というかたは、
 まず、こちらをお読みください)

寄せられたメールから、
「思っていた以上に今の子どもたちは
 農作業を体験しているのかもしれない」
そんな推測をしたぼくは、
とにかく現場をたずねてみることにいたしました。
取材に訪れたのは、『三鷹市立第二小学校』。
なぜこちらの小学校を選んだかといえば、理由は簡単。
ぼく自身が、自宅の近所にあるこの小学校の
とても立派な「学校農園」を目撃したからです。

さっそく、お話をうかがってまいりましょう。
校長先生の池田浩夫さんと、
「青空園」代表の吉野明義さんのおふたりが、
快く出迎えてくださいました。


右が『三鷹市立第二小学校』の校長先生・池田浩夫さん、
左が『青空園』代表の吉野明義さん。

──  きょうはお忙しいところすみません。

池田  校長の池田と申します。
    で、このかたが、『青空園』の管理と
    子どもたちの指導をしてくださっている
    10数名の代表で吉野明義さんです。

吉野  よろしくお願いします。

──  こちらこそよろしくお願いします。
    ‥‥ここが、『青空園』ですね。

吉野  そうです。

──  ほんと、校舎のすぐとなりにあるんですね。
    広さはどれくらいなんでしょう?

吉野  広さですか、そうですねえ、
    ‥‥500平米?

池田  いや、500ってことはないでしょう、
    もっとあるでしょう。

──  25メートル四方くらいでしょうか。

池田  ごめんなさいね、細かい数字がわからなくて。

──  いえいえ、広いということはわかりますので。
    ‥‥古い看板があります。

吉野  12年前にできた学校農園ですので。

──  そうですか、12年も前に。
    ‥‥何からうかがったらいいのか、
    とにかく知らないことがたくさんありまして‥‥。
    ええと、そもそもですね、
    このように近隣の農家のかたの協力で
    子どもたちに農作業を体験させるということは、
    どこの小学校でもやっていることなのでしょうか?

池田  ‥‥では、それはわたしからお話しましょう。

吉田  そうですね、お願いします。

池田  平成4年に、学習指導要領が変わって
    「生活科」という授業ができたことは
    ごぞんじでしょうか?

──  ええと‥‥学習指導要領というのは、
    文部科学省から出される
    教育の基準のようなものですよね?

池田  ええ。

──  で、「生活科」というのは‥‥なんなのですか?

池田  むかしは、小学1、2年生にも
    理科とか社会科という授業がありました。

──  え? いまは無いんですか?

池田  ええ、1、2年生のころでは子どもがまだ
    経験が不足していますから、
    様々なことを体験させて、それから3年生の
    理科や社会につなげようと導入されたのが
    「生活科」だったんです。
    そのころちょうど三鷹市に
    「子どもたちに農園を」という考えがありまして、
    全市の小学校の1,2年生に
    農業を体験させることになったんです。

──  なるほどぉ、そういうことが‥‥。
    では、この農地も、市からなんですか?

池田  いいえ、農地は地主さんからの提供になります。

──  じゃあ、提供してくださる地主さんがいないと、
    こういうことはできないですね。

池田  もちろんです。うちの小学校は、
    すばらしい農地を提供していただいて、
    吉野さんのような農業のプロのかたがたに
    ボランティアで面倒をみていただいているという、
    たいへん恵まれた小学校なんです。

──  そうですか‥‥。
    この看板にも、そういうようなことが
    書かれていますね。

池田  ええ、ほんとに地域のかたがたのおかげなんです。

──  学習指導要領ということは‥‥
    日本全国の、小学1,2年生が
    このようにして農業を体験しているのでしょうか?

池田  それは一概には言えないですね。
    生活科の授業は全国的に農業体験を取り入れている
    とは言い切れないです。
    でも農園のある学校は多いと思いますよ、
    規模はいろいろですが。

──  規模が違う。

池田  プランターでミニトマトを
    育てるしかできない学校があるかもしれません。
    ちょこっとおイモ掘りをするだけとか‥‥。
    それはもう、地域の環境によって
    異なってくるので仕方のないことなんです。

──  なるほど‥‥。
    あの、吉野さん、それは何を植えたんでしょう?

吉野  これは、ダイコンですね。

吉野  間引きが終わったばかりです。
    それも生徒がやったんですよ。
    種まきと収穫だけじゃなく、草むしりとか、
    これだけ校舎から近いと収穫だけじゃなくて、
    いろんな世話を体験できるんですよ。

──  これからの時期は、ダイコンですか。

吉野  ええ、1学期にはいろいろやるんですけどね。
    ナス、キュウリ、トマト、エダマメ、
    トウモロコシ‥‥いろいろできます。

──  育てる野菜はどうやって決めるんですか?

吉野  まずは、各学年に要望を聞きます。

──  あ、リクエスト。それはたのしいですね。
    へんなリクエストもありますでしょう?

吉野  ええ、「ワタ」とか「ゴマ」とか。
    無理なのもありますが、ソバはやりましたね。
    自分で打ってソバを食べたいと子どもが言うので。

──  へえ〜、いいなあ、たのしそうで。
    ‥‥あの、吉野さん、吉野さんは12年も
    『青空園』をやっているとうかがいましたが、
    なんていうんでしょう‥‥
    それだけ続けられる、なんというか‥‥
    モチベーションはなんなのでしょうか?

吉野  ‥‥‥‥もち?

──  いや、つまりその、やりがいのようなものは?

吉野  それはやっぱり子どもたちがかわいいからですね。
    「畑のおじちゃん」て呼ばれると、うれしいです。

──  畑のおじちゃん(笑)。

池田  12年前は「畑のお兄さん」でしたよね(笑)。

吉野  そうでしたね(笑)、
    いつの間にかおじさんになってました。
    でもそうですね、町で会って、
    あいさつなんかされるとうれしいものです。

──  そうですか‥‥。
    こうして身近で自分の手で野菜を育てていると、
    子どもたちも、ありがたみを感じるでしょうね。

池田  ‥‥ですが、これは正直に言いますけど、
    せっかくそうやって収穫してもですね‥‥。
    吉野さん、トウモロコシ事件のことは聞きました?

吉野  え? ああ、あれね(笑)。

池田  育てたトウモロコシを
    むしって捨てながら家に帰った子がいたんですよ。

──  ええ?(笑)

池田  家まで、一枚ずつむしりながら帰ってるんですよ。
    道をちらかして、近所から苦情がきたんです。
    学校の前から、落ちてるトウモロコシの皮を
    ずーっと、こうやって、たどっていったら‥‥

池田  その子の家の玄関までたどりつきました。
    もう、た〜っぷりとお説教ですよ。

──  ははははは。

池田  まあ、子どもですから、
    そういうかわいいこともしますよね。
    でもうちの生徒には「野菜はスーパーでとれる」
    なんて言う子はひとりもいないと思いますよ。

──  ああ‥‥。

吉野  うん、そうですね‥‥。

池田  みんな興味を持ってくれています。
    むしろ手伝いにきた親御さんのほうが、
    野菜のことを知らなかったりするんですよ。
    その世代に、生活科はなかったわけですから。

──  ああ、なるほどぉ‥‥。
    わかりました、きょうはお忙しいなか、
    ほんとうにありがとうございました。

池田  いえいえ、とんでもない。

吉野  お役に立てましたでしょうか。

校長先生と吉野さんは、そのまま校舎へ戻られました。
ひとり農園に残り、畑をぼんやりながめていましたら、
ちょうど下校時間の子どもたちが通りかかりました。
「こんにちは」と声をかけてみます。
「きみたちがここの野菜を育ててるの?」
歩み寄れば、子どもたちはみな怪訝そうな顔。
「野菜、何が好き?」静かにたずねると
なかのひとりが大きな声で、
「トマト!」
子どもたちは背中を向けて走り去りました。

そういうわけで、取材は終了。

「思っていた以上に今の子どもたちは
 農作業を体験しているのかもしれない」
この推測は、
「文部科学省が出す学習指導要領に
 生活科の授業が導入されてから、
 農作業を体験する小学生が増えているのかも?」
というものに、一歩前進したと言えるかもしれません。

でも、
「学校農園、日本中にあるの?」
という疑問には、まだ答えが出ていませんよね。

そこでそこで!
この流れを受けるかたちで生まれたのが、
きょうからはじまった新しいコンテンツ、
『がっこう農園マップ』なのです!

すでにその新コンテンツを先にご覧になったかたも
いらっしゃるかもしれませんが、
あのコンテンツは、
このコーナーから生まれたものだったのでした。

糸井重里のちいさなつぶやきに、
たくさんのおたよりをいただいて、
それらのメールに後押しされながら取材を行い、
そうして生まれた『がっこう農園マップ』
まだご覧になっていないかたは、
ぜひ遊びにいってみてくださいね!

そんなこんなで、
2回に渡ってお送りしました、
ちょっと大きめの「postman@1101.comから。」
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

また、いろいろなおたよりお待ちしていますね。
以上、山下がお届けしました!

2007-11-15-THU

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