フランスからのメール


みなさん、こんにちは。
子どもたちは夏休みに入りましたが東京はまだまだ梅雨空。
雨はもちろん大切ですけれど、
カラッと晴れたお天気、やっぱ待ち遠しいですね。

さて、今回は
「ほぼ日」に届いた一通のメールをご紹介いたします。
それは7月21日、土曜日の
「今日のダーリン」にいただいたご感想のお便りでした。

メールご紹介の前に、まずはその日の
「今日のダーリン」をお読みください。

日本中、どこに行っても、同じような景色があります。
大きな道路沿いに、靴を安く売る店、服を安く売る店、
薬を安く売る店、パチンコ屋、ホームセンター、
ファストフードの店などが、並んでいます。
こうした店のぜんぶが話しあって、
セットでやってきたかのように組み合わせられてます。
こういうことが悪いことだと決めつけるつもりはないです。
おかげでよかったことは、いっぱいあると思います。

ただ、その土地、その街、その村‥‥。
その地方らしいものが、みんな消えてしまうと、
なんだか「なんのためにこの地があるんだか??」
というような気持ちになってしまいそうです。
先日、テレビ番組の収録でロケのビデオを見ていたら、
千葉県富里のスイカ農家の方が、
「めんどくさくても、売りにくくなっても、
 スイカをつくっていきたい」と言ってました。
「スイカをつくらない富里は、ただの富里になっちゃう」
というような思いを語っていました。

そうなんだよなぁ、日本全国が、どんどん平準化されて、
景色も産物も同じようになっていったら、
「ただの地名だけが、その土地」
ということになっちゃいそうですよね。
そのなんとも言えない淋しさってありますもんね。

手間もヒマも金もかかるんだけれど、
「意地でも維持するその土地らしさ」というものが、
これからは求められていくと思うんです。

いま「ほぼ日」でやりはじめている
『カルタ・ド・ニッポン』の企画とか、
『みうらじゅんに訊け! この島国編』とかは、
そのような気分を背景にはじまっております。
どうぞ、よろしくお願いします。


日本の平準化と、
「意地でも維持するその土地らしさ」について、
何通かいただいたご意見・ご感想メールのなかから
今回ご紹介する一通は、こちらになります。
フランス在住の女性からのお便りでした。
ちょっと長いのですが、ほぼ全文掲載いたしますね。

メールアイコン 日本中がおんなじ景色、
というのは時々日本に帰るたび痛感しています。
10年前はこんなでもなかったと思うのですが。

でもね、よく考えると
私の住むフランスでも様相は
似たようなもんなんです。

構成的には、日本のように町自体が
パッチワークで町と町を鉄道や自動車道などの
「ライン」で結んでいく形とはちがい、
こちらではまず、
古くからの町の中心・教会と
行政機関がある核の部分から
「波紋」型に、
そとへ向かって拡張していく形です。

まず中心の第一周円内に
商業施設(古くからの老舗店舗や常設市場)と
住人のアパルトマンが合体してあり、
そのまわりにちょっと閑静な住宅街、
ちらちらと庭付き一軒家の群、
「郊外団地」と呼ばれるゾーン。
そしてそのまた外側に、
郊外型のショッピングセンターが点在しています。

ショッピングセンターは、大抵どの町にも
東西南北いくつかのゾーンに存在して、
どこでも同じ全国チェーンか、
多国籍の大型店舗がならんでいます。
だいだいどこの町でも同じツラぞろいです。

それから、このごろの住宅不足を補うため、
このハイパー群の周辺部に
低価格でしかも速攻で建設可能な
一軒家の群れが
かなりの密度でならんでいます。
見方によればキッチュなのですが、
でもちょっとさみしい風景です。

そこよりも外は畑、見渡すばかりの畑、畑です。
そして豊かな自然を誇る美しいフランスです。
畑はじゃがいも、カリフラワー、麦、
とうもろこし、さとうだいこん、
となんでもあります‥‥。

これがほんとリヨンに行こうが
マルセイユに行こうが、
私の住む中途半端な
地方都市アミアンにいようが、
全くもって同じなんです。
核の部分とその周辺部はとてもディープなぐらい
地方独特で「そこにしかない風景」なのですが、
それより外の部分、
郊外団地と郊外ショッピングセンターは
ここまでおんなじか、とびっくりするほど
どこも同じで、地方色はまったくありません。
パリの町がいいのは、
街全体が「旧市街」だからだと思います。

車で移動するときなんかは、
すばらしい自然の広がる田園・農地を通って
ひとつの町に到着するというのに、
いわゆる「町の玄関口」が
どこをとってもこれでは、
いやはや、さみしくって情けなくなります。

戦後のおかみの都市政策で、
もちろん地価の安い町の周辺部へと
「波紋」が拡張してきたわけですが、
いわゆる旧市街以外は
フランスもどこにいっても同じ顔なのです。

しいて言えば、それでも景観に関する法規が
かなり厳しいおかげで、地方色がかろうじて
守られている傾向にはあるのが救いですが。

こういうのは、戦後資本主義が生んだ
世界的な傾向なのかもしれませんね。
ただフランスの町は
20年で建て替えたりはしないので
かろうじて生き残っている、
ということなのかもしれません‥‥。

でも特に子ども時代のように、
自分の人生で決定的な時期を生きた町というのは
その人のアイデンティティ
でもあるとおもうのです。
日本のように都市風景が変わること
が当たり前だと
今の自分をつくっているもとのところの
原風景が、自分の頭の中にしか
存在しなくなるんですよね。

ちなみにうちの旦那(フランス人)が育った家は
今でも、
ある町の教会の前にどっしりとたたずんでいます。
外観はもちろん内部もさして
変わっていないことでしょう。

どちらもそれぞれの現実で、
どっちがいいかなんて結局言えないですけど、
でも確実にちがうことはたしかですよね‥‥。
(N.T)


こういうことについては、
アメリカや日本の特徴で、
ヨーロッパは、古い景色が残ってるんだと
なんとなく思いこんでいましたが‥‥。
現実は、思いこみを更新していくんですねぇ。
「意地でも維持するその土地らしさ」は、
フランスにも言えそうです。

(N.T)さん、ありがとうございました。
きっとたくさんの「ほぼ日」読者が、
なるほどなぁと思うことでしょう。

以上、山下がお届けいたしました。
またお会いしましょう。
いろいろなお便り、お待ちしていますね!

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2007-07-24-TUE
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