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postman@1101.comから。

第6回

あした、10月5日(月曜日)はいよいよ十五夜ですね。
うさ公たちの団子作りも、今夜は徹夜だな、こりゃ。
アメリカにいるダーリンさんも月を見ているのだろうか。

あ、申し遅れましたが、私ことセイヒローは、
9月末に季節外れのちょっとした夏休みをいただいて
おりました。「秘湯へのいざない」ってヤツでして、
紅葉には早かったですが、標高1500メートルくらいの
山の木々は黄色くなりかけてましたぜ。

ワタクシが隠密行動をしている間にも、
この男は投稿マシーンと化して原稿を送って
くれたんですね。3回めの登場になります、
(自称)スターさん、今回はどこに行ったんスか。
では、どうぞ。

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『ドラマチック』
文:スター・又吉究(またよし・きわむ)(24)

青山あたりの交差点でオレンジを落として
(みかんではなくオレンジ)ああこれはいかん、
まいったまいった、などといいながら
散らばったオレンジを拾ってるうち、
「あら大変」
などと言いながら親切に拾うのを手伝っていた美女
(27歳、青山在住、新進気鋭のピアニスト)と
手と手が触れた。
「あっ」っとか言ってお互いすばやく
手を引っ込めたものの、目と目は見つめ合う・・・。

「そうよ、あのときあたしには
本当に電気がビビッて流れたのよ。うふふ。」
「僕もあんな出会いがあるとは本当に思わなかったよ。
ビビッときたよ。ビビッとね。」
二人はベッドの上。
いつの間にか将来を約束しあう仲になっていたのだった。

・・・などという話は本当にあるのだろうか。
あるに決まってるじゃないか。
オレなんかしょっちゅうそんな感じだ。
スターは毎日がドラマチックだ。
一日一日がまるで映画のようだ。

「あなたは本当の愛を知らないのよ。ふぅ。」
ライブがおわった打ち上げの、ざわざわ騒がしい居酒屋で、
女がダルそうに言った。
「君は本当の愛を知っているのかい。」
「さぁね。似たような思いならたぶんしたことがあるわ。」
何処かで聞いたことのある無愛想なかんじの音楽が
鳴っていた。
さっきまで「スター! スター!」と叫んでいた女の娘も
いつの間にかそこいらへんで盛り上がっていて、
ようやく一人でゆっくり酒でも飲もうかと思っていた、
ちょうどそんな頃だった。

「何なら教えてあげてもいいわよ。うふふ。」
なんだか遠くを眺めるみたいに、女はやっぱりダルそうに
言って、灰皿に置いたオレのハイライトを
勝手に吸い始めた。
「君はキスするとき、目をつぶるかい。」
「えっ。」
「女はね、いつでも愛されるのは上手だけど
男を愛したことは無いのさ。」
「どういう意味?」
「男は愛し合いたいと思って、
自分のもてる力すべてで女を愛するんだ。
自分が愛すればそれだけ相手が愛してくれると思って。
でもね、女は愛し返してなんかくれないんだ。
愛されて、幸せで、目をつぶる。」
「あなたは可哀想な男ね。」

女がオレのタバコを返してくれそうになかったので、
オレは新しいハイライトに火を点けた。
「そろそろ終電だな。」誰かが呟いた。
気がつくと、さっきまではギチギチに混んでいた居酒屋も、
いつの間にかオレたちだけになっていた。
そうかそうか、さっきから流れていた無愛想な音楽は
「蛍の光」だったのだ。
酔っ払っていたのかもしれない。全く気づかなかった。
改めて店内を見渡すと、エプロンを着たポニーテールの
店員の女が、迷惑そうにオレ達のテーブルを見ていた。
「二人でどっかで飲み直そうか?」女が言った。
なんとなくそのまま二人は夜の街に消えて、
慰め合うように冷えた身体を温め合うのでした・・・
というような雰囲気でもあったが、オレは、
「なんだか面倒臭ぇや。」
とカッコよく呟いて一人でその店を出た。

表に出ると外はまだ雨が降っていた。
雨の夜は黒がきれいだ。
ネオンサインの隣で闇はぬらぬらと
奥深い艶をあらわにしていた。
行き過ぎる車をなにげなく見つめながら、
ひりひりする喉に無理やりタバコの煙を流し込んで、
オレはガードレールに腰掛けた。
やす子のことを考えると少し胸が痛んだ。
「やす子。」
いつの間にか声に出して呟いている自分がいた。

やす子が誰なのか実は自分でもさっぱり分からなかったが、
どうもオレはいつの間にか
「やす子という女と別れた真夜中のブルースマン」
になっているらしかった。

「やす子。」
ついでなのでもう一度呟いてみた。
なんだかよく分からないけど、なんとなくやす子の
思い出が、幸せだったころの情景が、
淡くせつなく胸にあふれ出してきた。
つらく悲しい別れだったハズなのにどうしてだろう。
楽しかったことしか思い出せない。
「やす子、おまえはずるいよ。
オレはまだここでもう少し生きてみるよ。」
なんということなのだろう。
やす子はもうすでに死んでいるらしい。
自分で言ったくせにオレは少し驚き、
そして少し悲しくなった。

雨に打たれて泣きながらオレは気づきつつあった。
そうだ。そうなのだ。
会ったこともない、
実際に存在するかもわからないやす子を、
オレは確かに愛していたのだ。
かっこいいオレがかっこよく歩きだすと、
かっこいい曲が頭の中でかっこよく流れ始めた。
夜はまだ始まったばかりだった。     

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ガハハハハハハ。
はーい、(自称)スター又吉究(24)さんの投稿でした。
相変わらず高めの体温キープしてますね。
かっこいいーっす。
タイトルは、えー、「ドラマチック」でしたね。
「雨の夜は黒がきれいだ」なんて、グッときました。

誰かをとっても愛したい(自称)スターさんに
オススメなのが、スバリ、秘湯! ヒトウと読みます、
これはいいですよ。
山奥の秘湯でしっぽり。ポン酒がうまいのよ。
お肌もスベスベだし。

スベスベしたところで、
(自称)スターさんからのお知らせ。
「毎週月曜日、NHK総合テレビで、
深夜0時5分から『おじさん改造講座』というドラマが
再放送されています。ドラマのエンディングテーマの
『ラブミーテンダー』はオレが歌っています。
今度の10月12日がたぶん最終回なので、
観て聴いてください」
う〜ん、素敵じゃないっすか。みなさん、よろしく。

またの力作をお待ちしてまーす。
それでは、みなさん、ごきげんよう。

1998-10-04-SUN

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