「ほぼ日公式ラーメン」を
作ったぞー。

今度のコラボレーションは日清食品と、だよ。

第五回「ラーメンをdarlingがヒイキする理由」

心配ばっかりしてました。

「ほぼ日ラーメン」がどこへ行くのか、
どうなっちゃうのか。
心配してくださってる方も、さぞかし多いと思います。
しかし、「なんとかなる」ものらしいです。
それは、日清食品の超専門家の方々にも、
「ほぼ日」のdarlingにも、さんざん言われています。
「心配を材料にしてラーメンをつくるなら、
 お前がいちばんうまいのをつくるだろうな」とまで。

前回はちょっと番外編的に、
チキンラーメンを手作りしに、
大阪へ出張したところまで、でした。
いよいよ、本格的な商品コンセプトと味へ向けての
新たなステップが始まります。

心配性の高田馬場サガコが、レポートをします。


何度でも袋小路に。

サガコが大阪出張で掴んできたものは、
とってもあやふやな「感覚」そのものでした。

インスタントラーメンをつくるって事は、
インスタントラーメンを食べている「人」のことを考える、
ということかもしれないぞ、とか、
魅力的なラーメンは、魅力的な「人間」のようであるべし
・・・とか。
そんなことをふわわ〜と思いながら帰ってきたわけです。

しかし、いざ
「じゃあ、それってどんなラーメンなの?」と
尋ねられたら、
「えーとぉ………」
となってしまう。
具体的にどうしたらいいのか、
どういうものがつくりたいのか、つくれるのか。
それが分かりませんでした。

また頭のなかがスタートラインに戻りそう。
袋小路に入っちゃう。
一人でごそごそ考えてうじうじとしちゃうより、
ここは一つ、出張で掴んできた思いだけでも
darlingとスタッフのみんなに
ガーン、とぶつけてみることにしました。

そして何度でもミーティング。

早速ミーティングを開き、大阪での体験を報告。
もちろん何を思ったのか、というのも
語りまくりました。

「なるほど。サガちゃんの言ってることは
 すごくよく分かった。
 だけど、思いやりのある
 インスタントラーメンってどういうんだろうね?」
ちょっぴりシーンとする会議室。
うーん、何だかイヤーな予感…。

「おいしいのがいいよね」
誰かが言いました。
うん、それはもうその通り。
奇抜な味は違うって、私も思いましたから。

「ゴージャスが素敵!本物のラーメンに近い味!」
「でも、それだったら、今はたくさんあるし、
 第一、インスタントじゃなくてお店のものを
 食べようよっていう話にならない?」
「でも、シンプルすぎるとサミシイよ」
「もともとラーメンってそういうイメージの
 ものじゃないのさ」
はい、イヤな予感的中っ。
話がまた堂々巡りに戻っちゃってるよ〜。

アブナイ「思考の袋小路」へ
団体で飛び込みかけた私たちに、
darlingがひょいっと言葉を投げてくれました。

「同じ話ばっかりしているなぁ。
 ほぼ日ラーメンをつくるのかつくらないのか。
 どうしてつくりたいのか、というところが、
 話にでてきてなかったんじゃないか?」

きょとんとしている私たちスタッフに、
darlingは、こんな話をしてくれました。


若い才能あふれる写真家が。

「篠山紀信さんのところに、
 十文字美信さんが、まだ、
 アシスタントでいた時代があったんだよ。

 彼はもともとすごい人だったから、
 アシスタントの頃から、いろんな仕事をしてたんだ。
 仕事の依頼が、いっぱいくるわけだよ。
 で、さ、
 アシスタントやりながら、自分の仕事をやっていくって、
 ムリになってきたわけ。
 たしか、その段階で、資生堂とか、
 いわゆる超のつく一流の仕事をしていたと思うよ。

 それで、とにかく、アシスタントをやめて
 独立することになってさ。
 だけど、十文字さんって人は、
 かっこいい人でさー。

 とりあえずお金なんかもないわけだよね。
 金がなくて、食えないとなると、
 仕事の仕方に、それが出ちゃうじゃない?
 いわば、貧すれば鈍するっていう言葉もあるけど。
 それがいやだったんだろうね。
 とにかく、“食える”ことを確保したわけよ。
 それがさ、
 インスタントラーメンを半年分買いだめすることだった!
 『もう、食う心配はない。
 あとは写真のことを考えるだけだ』ってわけだよ」

 「…………かぁっこいい!!」
私は思わず大声で言ってしまいました。
話を聞いていたみんなも、
なんだか盛り上がっちゃった。

「な、かっこいいだろ?
 栄養のバランスとかを考えたら無理かもしれないけど、
 半年食っていけるという自信が、若い時に持てたら、
 なんでもできるような気がしない?
 
 十文字美信もかっこいいし、
 そのサポートしたインスタントラーメンってやつも、
 すげぇなぁと、オレは思ったんだよ、若いときに。
 インスタントラーメンがなかったら、
 十文字美信の写真家としての出発はなかった、
 とまでは言わないけどさ・・・・。
 
 インスタントラーメンていうと、これを思い出すんだよ。
 要するに、そういう食べ物なんじゃないかなって。
 
 インスタントラーメンを食べている人は、
 まるっきり何かに満足している人じゃないと思うんだよ。
 仕事に打ち込んでいて、時間がないのかもしれない。
 経済的に、まだ基盤ができてないのかもしれない。
 近所にいろんな場合があるんだろうけれど、
 インスタントのラーメンを、とても必要としている人が、
 ものすごくいっぱいいるってことが大事だと思うんだよ。
 俺たちだって、のんびりしている時には、
 インスタントラーメンがなくてもやっていける
 かもしれないけど、なくなったら大変だぜ、けっこう。
 
 いま、打ち込んでいる何かがある人、
 いま頑張ってる人を応援する食べ物だ
 っていう考え方をしてみたらどうだろう。
 うまいとかまずいとか、
 ゴージャスだとか貧乏くさいとか、
 そんなふうに、要らない人の発想をしてるより、
 もっと要る人のことを考えようよ。
 
 そしたら、インスタントラーメンに、
 何が欲しいか、見えてくるんじゃないのか?」
 (darling)


お湯をかけて3分間で出来上がる、
ファストフードの元祖みたいなインスタントラーメン。
それを、さみしい食べ物として見ていたのかもしれない。
でも、「これで半年食える」と言って買いだめした
同じものが、若くて才能にあふれたカメラマンには、
すごい「豊かさ」を与えてくれた食べものなんだ!
あー、なんかインスタントラーメンのこと、
すっごく好きになってきたかも!
好きな人のいいところを見つけて、
もっと好きになっちゃった、みたいな感じかな。
よし、前に進めそうな気がしてきたぞ。
インスタントラーメンをやっと本気で
愛せそうな気がしてきたぞ。
(って、スタートダッシュ遅いなぁっ!)

「あれだけおおぜいの人に買われて食べられているものが、
 なんにも理由なしに売れてるわけはないんだよ。
 もし、インスタントラーメンをさみしいものだって
 とらえているなら、それはアンタの食べ方がさみしい。
 食べ方か、生き方か、知らないけどサ。
 そういうことだと思うよ。
 ところでさぁ…」
darlingが更に続けました。

「味に関して、まだ何にも決めてなかったじゃない?
 俺、ひとつ『これがいいな』っていう味が
 あるんだけど…」

もう、そんな?!
で、で、で、でも、それってどういう味???

(気になりながら、つづきます)

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2001-11-28-WED

BACk
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