社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第11回 情熱の差=結果の差

原田 ほんとうのクリエイティブな人は
アマチュアに負けるわけがないんです。
ビジネスでもそうです。

前の会社でも、
私は会議でよく言いました。

「みんなMBA出てるよな?
 MBAではこういうことを習うよな?
 なんでできていないんだ?」

……習ったことが実行できていないんです。

「だけど、たとえば
 公園のまわりにいる屋台のラーメン屋で
 いちばん売れているところを探してきて、
 そこのおやじさんに来てもらって
 セミナーをやってみたらどうなると思う?

 公園のどこに屋台を置くか、
 麺はどれだけ事前に仕込むか、
 また来てほしいと思った時に
 どういうことをするか、
 天気によってどういう判断をしているか……

 もしもそういうことを聞いたとしても、
 MBAの基本的な手法を
 ぜんぶクリアしていると思うよ。
 あなたがたよりもできているよ」

知識として持っていることを
MBAを出ている人が実行できないのはなぜか。
それはもう情熱の違いしかないんですよ。

屋台のおじさんは結果を自分で責任を取るから、
必死に無意識に実体験から学んで、
いいところを伸ばして
失敗からも改良してということを
やっているんですよね。

前の会社では、
ラーメン屋さんのセミナーは
実現できなかったですけど、
ある自動車ディーラーの
トップセールスマンの方に
来ていただいたことはありました。

彼を招いて、うちの訪問販売系の
営業を呼んで議論をしたことがあるんです。
営業マンにひとつずつ聞くわけです。

「何回お客さんとコンタクト取る?」
「3回でオーダー取れなかったら、
 追っかけません」

何を聞いても明快に答えるんです。

「私は訪問販売は絶対しません。
 時間の使い方の七〇パーセントは、
 買っていただいたお客さんのフォローです」

「お客さんの携帯番号は
 何百何十以上持っていないと、
 ビジネスは継続しません。
 売りあげが一定にはなりません」

みんなはそれを聞いて驚くわけです。
高卒で田舎から来て、
自動車会社の現場にいて、
外車に乗りたいという情熱だけで、
会社の営業マンになって……。

それが今や自分で学んだ
ノウハウをもとに、
トップセールスマンですよ。

だからやっぱりビジネスというのは
熱心さだと思います。

人間、熱心だったら
どんな知恵も出てくるんですね。
糸井 原田さんが、社長として、
何度も言っている言葉はなんですか?
原田 「グローバルな会社を
 相手に働いてるときは、
 はじめに自分の約束を
 先に言わない限りは前に行かない」
とは、よく言いますね。

アメリカと商売やっている時に
「これを百円のところを
 九〇円にしてちょうだい」
と言いだしても、
「私はクビになります。
 値段を一割下げるなら、
 一割たくさん売ってもらわないと
 立場がないんだ」
と思うはずです。
自己責任で働いている人ですから。

日本人は、そこでえてして
「ともかく値下げをしないと
 結果はわかりません」
とバカげたことを言ってしまいがちです。
それでは話は進まない。

何個売れるかわからなくてもいいけど
「二割増しで売ってやる」
という
こちらの約束を伝えないかぎりは、
向こうはよろこんで
下げてくれないんだとは言いますね。

もしも結果が悪くても
アメリカ人は前を向いていますから、
それほど売れなかったと
厳しく言いつらねたりはしません。

だから思いきっていけばいい。

ほんとうは日本でだって同じなんです。
私だって目標を超えなかったら
どうしようかなぁと考えますよ。
だけど「行くぞ!」と言わないと
みんながついてこないから言うわけです。

言わないかぎりは、
半分の業績目標にも達しません。
  (つづきます)


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2005-01-05-WED



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