ポカスカジャンの脱線マガジン。

ツアー日記

9月4日(土) 晴れながらも秋の気配 いわき市

今日は夜のライブまで何もなし。
昼過ぎ、イベンターの坂本さんが
いいところへ連れて行ってくれると言う。
市街地から車で30分。
福島の片隅に突如現れたヤシの木の大木。
クワ・リゾート・ハワイアン。
大きな看板が飛び込んでくる。

「常磐ハワイアンセンターだ」

思わず声があがる。

「いや名前が変わったんだよ。クワ・リゾート・
 ハワイアンだよ」

心の中でクワ リゾート ハワイアンと言ってみる。
ああ、花の応援団。どおくまんプロを思い出す。
夕方まで好きに遊んでいいよ、と坂本さん。
室内プールからウォータースライダーに露天ブロとサウナ。
受付で海パンを借りて、早速遊ぶ。
しかし流れるプールにはさすがに近づけない。
ここはちびっ子たちの聖域だ。治外法権だ。
泣きわめく子供。

「いいからここでしなさい」

とそのお母さん。思いっきり泣きながら
プールサイドで小便する子供。
プールの水を手でしゃくってそれを流すお母さん。
何事もなかったかのようにその周りで遊ぶ他の御家族連れ。

コインロッカーの小銭を両替するのに遅れてきた省吾。

「スゲー、流れるよー」

と言ってひとり泳いでいた。
黙ってあげておいた僕とのんちん。
ポカスカジャンは大人だ。

深いプールに移るとさすがにちびっ子度数激減。
代わってカップル度数が激増。
こういう時、僕とのんちんは男になる。
2人で本気で泳ぎ始める。
ピカチュウの浮き袋なんかで
イチャイチャなどしていられない。
本気潜水大会だ。

「あそこの岩の出っぱりまでね」

とか言って競泳だ。さすがに昔のようには潜れない。
青っパナを垂らして肩でゼェゼェ言ってる。
耳に水の入ったのんちんは、坊主頭をコンコンしてる。

「これじゃダメだ」

と互いにもっと鍛える事を誓う。
けど上がってスグ生ビールを飲む。
頭がクラクラする。

「おもしろいショーがあるからこっちおいでよ」
と坂本さん。
クラクラ頭でついて行くと、そのショーは
『フラメンコマジックショー』だった。
だんだん訳が解らなくなってくる。
ハワイアンでフラメンコでマジックショー。
確かにフラメンコをしながらマジックを演ってる。
嘘じゃない。けれど何故なのだ。誰も答えてくれない。

帰りがけ、露天ブロに入る。
とてもこれからライブを演るとは思えない。

フラメンコの掛け声が鳴り響くクラクラ頭で
ハワイアンを後にする。
小屋に入り、慌ただしくリハーサルを終えると
スグに本番だ。
今日もまた本番直前にドラゴンアッシュを聞く。
『Under age's song』
通称僕らが“天使”と呼ぶ曲だ。

♪Be storonger
 Fly high
 Don't be afraid♪

浮かれててもハシャいでいても落ち込んでいても
どんな時でもこの曲は素直に心に入ってくる。

♪根づいた花はその場所でフライ♪

そう僕らは僕らのスピードで歩くしかない。
さあ今日もライブだ。熱い夜だ。

「今日も元気にポカスカジャンだー」

と言ったら、

「玉ちゃんまだ酔っ払ってんじゃないの?」

と省吾に言われる。

「いや、玉井は酔っ払ってる方がいいんだよ」

とのんちんが言った。

(PSJ/玉井伸也)

1999-09-10-FRI

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