ポカスカジャンの脱線マガジン。

ツアー日記

8月26日(金)雨ふりまくり 佐世保〜熊本

省吾の実家の朝は早い。
お母さんが台所から洗面所から玄関から
行ったり来たりしている。

「シャワー入とっと。タオルあるとかよー」

「うん、ご飯食べるあるとっとよ」

「布団たたまんでよかとっと」

「洗濯物2回にとっとかとー」

早口でしかもテンションが高い。
省吾は言葉少なに、そばで

「うん、うん」

と言ってる。
話好きのお父さんは所在なさ気に
庭でタバコかなんか吸ってる。

省吾の大好物のまぐろ丼の朝食を終え、
慌ただしく出発の身支度をする。
お母さんはまだ

「とっと、とっと」

と言ってる。

一度は家を捨て、そして今ツアーで戻ってきた省吾。
昨夜のライブは、両親にどんな風に映ったんだろう?

洗濯物のいっぱい入った荷物袋を受け取る省吾。
なんか、

「うん、うん」

言ってる。
車に乗込む。
お母さんは涙ぐんでた。
妹の香織ちゃんはにっこり笑って手を振ってた。
お父さんは少し離れた後ろの方で
腕組みして、うなずいてた。

熊本へと走り出す車。
新井さんがドラゴン・アッシュの『天使』をかける。

熱いぜポカスカジャン!!
今日は熊本でライブだ!!

途中の有明海は、嵐のような雨。
けど、熊本に着く頃には止んでた。
熊本に着くとNHKの“真夜中の王国”の取材クルーが
待っていた。開口一番、ディレクターの人に

「糸井さんが心配してましたよー」

と言われる。

省吾との大ゲンカの一件だ。
実はその後のキチンとした話し合いはしていない。

「やっぱり『仲悪いのは応援する気になれないもんなー』
 って言ってましたよー」

とディレクターの人。
よくお笑いのコンビとかグループは
普段メチャクチャ仲が悪いと言われるけど、
ポカスカジャンはどうも違う。
ちなみに大ゲンカした次の日の金沢は最悪だった。
普段、ちゃんとしたコミュニケーションが出来ないのに、
舞台で出来る訳がない。

キチンと省吾に話そうと思い、そばに行く。
右手、左手と、順に胸に手を当て、
ニッコリ笑って、

「よ・ろ・し・く お願いしまーーーーす!」

元気よく言う。
2人きりの楽屋に響いた。
省吾は飲んでたウーロン茶を吹き出していた。

熊本のライブは異常な盛り上がり。
最後、ギターを弾く右手がつる。
新井さんも、ヤッタネ! の親指。

打ち上げはテレビ熊本の草村アニキに
“ガラシャ”に連れていってもらう。
ここのママとアイちゃんのプロ意識に脱帽させられる。
PSJまだまだ青二才を痛感。
とにかく徹底的に盛り上げる。
歌う。
プロフェッショナルとは何ぞや、と問われたら
“ガラシャのママだー”と答える自信あり。
山口百恵の“イミテーションゴールド”を
“イミテーション金玉”にアレンジし、
僕達を圧倒してくる。

♪形が違う 色が違う ソリが違う ホクロが違う♪

頭がクラクラする。
“白岳のしろ”(酒)のせいばかりじゃなさそうだ。

(PSJ/玉井伸也)


ほぼ日読者による熊本ルポ

8/26(木)、待ちに待った
ポカスカジャンのライブに行ってきました。
ここ最近、熊本は不安定な天気が続いていて、
ライブ当日も 今にも降り出しそうなお天気。
熊本では、地元タウン誌などほんの少しだけでしか
ライブの 告知が見られず、ラジオやテレビなどでの
プロモーションもほとんど無かったように感じられたので
(もしもされていたなら ごめんなさい)
「いったい、どのぐらいのお客さんが来るのかなあ」
「チケット整理番号つき、ということは並ぶんだよなあ。
 あんまり人数多くてもいやだなあ」
という心配をずっとしていました。なおかつ、当日も
「夕立ちがあると、ちょっとマズいかも」
「泊まるところとか、大丈夫なのかなあ」
「玉井さんと、中山さんは、まだケンカしてるのかなあ」
などと、スタッフでもないのに要らぬ心配を
したりしてました。
「ほぼ日」のツアー日記を毎日みているせいか、
何だかヒトゴト とは思えなくて・・・。
7時開演だったので、6時15分前ぐらいに一応場所の確認と
(私はそのライブハウスは初めてだったので)、
何時から 開場するのかを確かめにいったんですけど、
その直後 どしゃぶりの雨が。出るに出られず、
そのライブハウス(B1)のある ビルの1階で雨宿りがてら、
ずっとマンガを読んで待っていました (ちょうど、
けらえいこの「あたしンち」5巻を発見して
買ったばかりだったので)。
しかし、待てども待てどもスタッフらしい人以外誰も来ません。
6時半近くなってからようやく、お客さんらしき人達が
ぱらぱら集まり始め、中に入れたのは6時40分ぐらい。
開始直前にはほぼ満席になりましたが、
驚いたのは客席のうしろにテレビ撮影班らしき方々と
器材がどか〜んと置いてあったこと。
ライブ中もずっと撮影していて、
そんなに気にはならなかったのですが、
ちょっとテレビの収録に来た観覧客の気分になりました。
「NHKが・・・」という話が漏れ聞こえていたのですが、
そうなんですか?
ライブの面白さ、楽しさについてはもう書く必要は無いと
思います。熊本のお客さんは、
メンバーが出て来た直後からもう盛り上がっていました。

ライブ後、CDを買ってひとりひとりにサインしてもらい、
「ほぼ日見ています」と言おうとしたんですが、
出てきた言葉は 「グッドマンさんによろしくお伝え下さい」。
何故だ・・・。
ポカスカジャンの皆さん、本当に楽しいステージを
見せてもらって、ありがとうございます。
ホントに「マジカニミラレ」て、嬉しかったです。
また、きっと、熊本に来て下さいね。待っています。
熊本の夜は、楽しめたでしょうか?
温泉は入りましたか?  馬刺しは食べましたか?
・・・さだまさしの「案山子」ですね、これじゃ。

帰宅して、もう一度「ほぼ日」のツアー日記、
そして私がポカスカジャンを知るきっかけになった
「月光庵閑話」を読み返しました。
ライブを見る前には、イマイチよくわからなかったところが
良くわかって、思わずモニタの前でゲラゲラ笑ってしまい
家族に白い目で見られてしまいました。
ところで、他の会場の日記にはアンケートの話などが
出ていますが、熊本はアンケート、それから、
チラシもありませんでした。 慶一さんとイトイさんのコピー、
ちょっと楽しみだったんだけど
(貼ってあるものはちゃんと見ました)。

ポカスカジャンの今後の活躍を期待しています。
まずは、このツアーが無事終了することを願って。

(行徳さゆり)

1999-09-01-WED

BACK
戻る