PLANET
網の目のある惑星。
おーい、
と呼びかけてみよう。

Vol.16 「ドット・アイ・エスの人びと」

Sculptures by Kristin Gudjonsdottir


その2:「美しい」というコト@ドット・アイ・エス(1)


美術を専門に勉強していたので、
「美術」とはなんぞや?なぞと、
いっつも考えてるワケです。
しかも「職業病」というか、
すべて批評的な見方をしがちで、
なにかしら「理由」をくっつけないと、
どうも「美術」として
成立しないような気にさえなってきて。

先月、
H アール・カオスという、
ダンスカンパニーの公演を観たのですが、
なーんていうか単純に美しくて「感動」したんです。

センモン的観点から「美術」を語るとき、
「感動」なんてキーワードを持ち出すと、
どうも「おバカ」扱いされちまうんですが、
わたしは、このKristin Gudjonsdottirっていう、
アイスランド出身のアーティストがつくり出す
彫刻作品にも、H アール・カオスを観た時に感じたのと
同様の「感動」をおぼえました。

「美しい」というコト。

まずは、作品をごらんください。
とてもユニークなマテリアルの使い方をした作品です。
ガラスと焼きつけた粘土、または銅などの金属とが
融合しているんです。
彼女は、独自の方法でclay cast glassという技法を開発するなど、
熱心に材料・技法の研究をしています。
詳しくは、彼女のサイトの「FAQ」のページを御覧ください。


ガラスなのに、「あたたかさ」がありませんか。
どこか有機的なイメージを思い起こさせる形のせいかもしれませんが。


(c)Kristin Gudjonsdottir





では、さっそくインタビューです。
今回ももりだくさんなので、2回に分けました。
english HERE>>

Q//まず最初に、あなたの彫刻について。
  あなたの作品のユニークなところは、
  ことなるマテリアル(材料)を組み合わせて使っている
  ところだと思います。

  第一に、どこか有機的であり、
  人工的でもあるような印象を与えます。
  わたしは、これらは一種の「共存」を意味してるのかな、
  と思ったりしたのですが...?


(c)Kristin Gudjonsdottir



  もちろん、自然がつくりだしたカタチには、
  到底ニンゲンがマネすることのできないようなモノが
  たっくさんありますよね。
  しかし、
  あなたの作品はそのモンダイをひょいっと越えている
  ようにも感じたりします。

  そこで、
  “自然;特にアイスランドの”は、
  あなたの創作にどのような影響を与えていますか?
  
A//いなかで夏の一時期を過ごすことや、
  一方で、残りを首都のような街で暮らすことというのは、
  たしかに強い影響力があると思います。

  しかしながら、
  アイスランドの自然には、全く正反対の側面もあります。

  両親の出身地では、
  切り立って、鋭く尖っている山々が見渡せるばかりか、
  大部分が原木のままで建てられた古い芝生家で、
  なんとか暮らしているところもあります。

  私自身を形成してきたモノを言い表すのは、
  ほんとうに難しい。
  「コトバ」で表現するよりも、
  私のwebサイトの「場所/風景」のイメージたちが、
  私がアイスランドで影響を受けたモノのことを
  すこし語ってくれるかもしれません。

Influences On Sculptures

Q//「2000年」という年は、
  あなたになにか「あたらしいコト」を与えたようですね。
  2000年に制作された作品たちが
  それを表わしているように思います。
  特に、"Feelers(触れる人)"のシリーズ。


(c)Kristin Gudjonsdottir



  クリエイターとして、
  “女性である”ということはメリットでしょうか?
  たとえば、
  「出産」の経験などの点から。

A//コドモを持つことによって、
  “女性である”ということが大きく変わるべきだとは
  私は考えません。

  もし、私の夫もアーティストであったなら、
  きっと、彼は仕事を変わったでしょうね。
  とにかく、彼の仕事のスケジュールはOFFに、ね。


(c)Kristin Gudjonsdottir



  人生において、
  何かが変化するコトを受け入れるというのは、
  ごくごく自然なコトなのではないかしら?

  私にとって、
  「制作するコト」はアートセラピーのようなもので、
  自分自身のコトやまわりのコトを理解するのに、
  とっても役立っています。
  
Q//日本の郵政省(当時)が発表した通信白書によると、
  アイスランドは、世界の中でもインターネット普及率が
  高い国として名前があがっています。
  その数字は、わたしたちの国の2倍ちかくにもなります。
  (註:平成12年度通信白書発表当時のデータを参照)

  あなたの日常生活にとって、
  「インターネット」は便利なモノですか?

  また、主にどういう目的でインターネットを使います?
  メールだけ?ネットサーフ?それとも...??

A//メールを送ることができたり、
  ネットサーフできることは、
  私にとってはとても大切なコトです。

  ときには毎日のように両親にメールを送ったりして、
  故郷とのつながりが途切れることなくいられますし。

  私が海外に住んでいるため、
  メールという手段で連絡を取り合っていなければ、
  何人かの友人とは、
  この10年間全く音信不通になるところでした。
  おかげで、彼らには家族の成長を写真で送ったり、
  私や家族の近況を伝えることができています。


(c)Kristin Gudjonsdottir



  webは、「外にあるモノ」に対して、
  広く視野を開いてくれますし、
  あなたのようなひとびとに、
  私自身の存在を伝えてくれています。

  だいたい平均すると一日に1時間から4時間くらいを
  コンピュータの前で過ごしています。
  メールを読んだり、
  自分が利用するためのサイトや、また、
  私のサイトを紹介してくれそうなアート関連のサイトを
  検索したり。
  それから、自分のサイトの作業もしますし、
  他にもアート関係の作業などもします。


アーティストに求められるコトとは、
もちろん作品をつくるコトですが、
同時に、その作品を自分以外の人達に
いかにプレゼンテイションするかという能力も
必要とされるのだと思います。

Kristinは、
そのひとつの方法としてwebサイトを開設したわけですね。

そして、御覧になりました?
彼女のイマジネイションをインスパイアする「風景」たち。

アートの重要な役割のひとつは、
アタマの中に思い描いたコトを
見てわかるように“カタチ”にすること、
堅苦しい言い方をすれば、
イメージを視覚的に再表象すること、であると思うのですが、
いろんなコトを語っている「風景」たちの美しさが、
どう彼女の作品に表れているかも観てみてくださいね。

今現在はアイスランドには住んでいない彼女ですが、
そんな彼女に、故郷「アイスランド」を語ってもらいました。

そのあたりは、また次回。

2001-04-16-MON

BACK
戻る