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2014/08/21 13:31 つづいての質問


大人の私ですが、質問させて下さい。
何か具体的なものを写生するのはすきですが、
抽象的なものを描くのが苦手です。
小学校6年生の時に夏休み中に
学年代表の何人かが
絵を描いてくるように言われました。
私もその中に選ばれたのですが
「ぼくのまち わたしのまち」
という抽象的なテーマに困ってしまいました。
なんとか提出したものの、
「あなたはもっとできると思っていたのに」
と言われてしまいました。
大人になった今でも(どんな絵を描こうか)
と考えてしまいます。
先生ならどんな絵にしますか?
また、このような抽象的なテーマのときは
どう考えて取り組めばいいでしょうか、
コツのようなものがあれば教えてください。
(みさみさ)


「これは、絵に限ったことではないですが、
 『どう見られるか』ということを
 気にしすぎると、
 どうやっても苦しくなります。
 月並みな言い方になりますが、
 評価を気にせず『たのしんで描く』。
 これに尽きると思います。
 
 ぼくの娘もいま一浪中で
 美大を目指しているんですが、
 ぼくが娘によく言うのは、
 『苦しい絵って見たくないでしょ?』
 っていうことです。

 絵を見て、苦しくなりたくない。
 苦しい思いをしながら描いた絵は
 どうしても苦しくなります。

 誤解してほしくないのは、
 『たのしい』を伝えるのが
 たのしい絵じゃないっていうことです。
 たのしさとか、感情とか、
 ぜんぶなしにして、超越して、
 没頭して描くのが、たのしいんです。
 
 笑いながら描けばいいわけじゃないし、
 明るい絵を描けということでもない。
 ものをつくるという、
 基本的な『たのしさ』を
 大切にするということです。

 極端にいえば、ピカソのゲルニカだって、
 たのしんで描いていると思います。
 つくりだすという行為をたのしむことが
 どんな絵を描くときも重要です。

 質問に戻ると、
 『ぼくのまち わたしのまち』というのは
 言ってみれば、つまらないテーマです。
 そこにはきっと、
 大人が期待している答えがあります。
 その期待する範疇のものを描くと
 ほめられるんでしょう。

 ほめられることがすごくたのしいなら
 それはそれで描けばいいですが、
 ぼくは、そんな、大人とのやりとりは
 あんまりおもしろくないですから、
 平気でたのしんで
 好きに描いちゃうと思います。

 そもそも、絵にテーマとか意味とか、
 もとめた時点で、もう違うような気がします。
 絵は、見た瞬間に、意味とかことばを
 超えていかないと、いい絵じゃないと思う。
 脱線ついでに、
 ぼくの好きな絵描きのことばを。
 
『なぜ人はその絵の意味を知りたがるのだろう。
 鳥のさえずりの意味を知ろうともしないのに』」