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2012/08/27 17:21
柳瀬先生です
みなさま、柳瀬先生です。
いきなり「facebook」の帽子を
かぶっておられます。

静岡県立浜松西高等学校卒、
慶応義塾大学経済学部ご出身、
現在日経BP社にお勤めの
柳瀬博一先生です。

まぶしいです!
2012/08/27 17:26
聞きたいことが多すぎて
実はわたくし、柳瀬先生に
興味いっぱいで、
聞きたいことが多すぎて困ります。

まず、勉強以前のことなんですが、
柳瀬先生のキャラクターを
おわかりいただくためにも
ぜひ説明しておきたいことが。

柳瀬先生は編集者でいらっしゃるのですが、
「世の中に柳瀬は6人いる」
「MR.どこにでもいる」
と言われています。
まるで「おそ松くん」。
世の中の、いろんなところ、
あらゆるところに出没なさっているのです。
その仕事量も半端ない。
ひとりで「柳瀬博一」をやっているとは思えない。
パワーが並じゃないのです。

そのヒミツをまずは、知りとうございます。

「あのね、まあ、単なる多動です。
 ただの貧乏性なんですよ。
 隙間にいろんなものが入ってきちゃう。
 それだけです」

やぁ、そうとは思えませんけど。

「だから、あらゆることを
 瞬時に忘れちゃうんですよ」

そうかなぁ。

「人に会ったことも忘れちゃって、
 次に会ったときに、なんの話をしていたかも
 あやふやになってしまいます。
 しかし、数分話すとわかります。
 自分の記憶は相手のクラウドに入っていますから」

ストレスはないんですか?

「ストレスといえば、その、
 人に再会してから記憶をたどる
 最初の数分がストレスです」

そこが、ストレス‥‥。
 
2012/08/27 17:40
ちいさいときから
柳瀬先生は、ちいさいときから
おなじようなタイプでいらっしゃったのですか?

「そうねぇ。
 多動。落ち着きがない。
 すぐに走り出す。
 色が黒い‥‥いっしょだね」

声が大きいのも、ですか?

「声が大きくて、ずっとしゃべってた」

‥‥いっしょですね。
2012/08/27 17:44
我田引水
でも、日経BPの柳瀬さん、といえば
博識で、話がうまくて、
何ごとにも好奇心旺盛‥‥という
イメージなんですが。

「あのね、ぼくはいつも、
 知ってる話をしてるだけなんですよ。
 どんなトピックでも、
 自分の知ってる話にもってきているだけなんです。
 たいしてバリエーションはありません
 すべて、我田引水です」

我田引水!

「だから、勉強、受験は向いていないんです」

はぁああ、そうなんですか。
就職はどうでしたか?

「就職は大丈夫。面接で、目の前に
 人がいますからね。
 人がいたら、我田に引水できます」

さすが。
2012/08/27 17:55
うしろから10番
では、いよいよ
勉強の話にまいりましょう。
柳瀬先生は、もちろん
こどもの頃からお勉強はできたんですよね?

「小中学生時代は、まあまあできました。
 そういう『まあまあできた』小中学生の常として
 勉強はしないこどもでした。
 高校に入って、1学期の中間試験、
 400人中315番になりました。
 あっちゃー、と、途方にくれました」

途方に暮れて、一念発起?

「いや、とにかく努力が苦手で、
 そのまま3年間すぎました。
 卒業するときは、うしろから数えて
 10番だったと思います」

前進することなく。

「学校で勉強するのが
 壊滅的に苦手だったんです」

ここで、先生は
1年間の浪人生活をなさることに。
2012/08/27 18:03
個人の癖がある
「ぼくは、期末中間テストなど
 範囲が決まっているテストよりは
 実力試験などの、範囲指定のないテストのほうが
 得意だったんですよ。

 とにかく、授業がねー、つまらなかった。

 世間には、授業を聞いているだけで
 8割がた勉強は大丈夫、って人もいます。
 でもぼくは、学ぶのが下手だった。

 学び方というのは、個人によって
 癖があります」

おお。おおおお。

「そうなんです。
 ぼくはね、大学受験の前に、
 学校でうしろから10番なのに(笑)、
 知り合いの家で家庭教師をさせてもらったんです。
 
 人にものを教える、ということは、
 数学でも英語でも、
 こういう構造でできているからこうだ、と
 情報を因数分解して人に与えなければいけない。

 人に教えようとすると、わかる。
 ぼくはそういうタイプだったんだと
 そのとき思いました。

 いまでも、何かを理解するベースは
 それです」

自分が高校の授業で理解できなかったことでも、
人に教えるために予習したら、
できちゃうようになったそうです。

「ぼくは、人に教えるという回路で
 情報を入れるのが、向いています」

‥‥そうですね。いまでもそうです!
柳瀬さんは、いつでも「説明」を
してくださいます。

「そうでしょう? それでぼくは
 賢くなっています(笑)」
2012/08/27 18:14
人に伝えることで
「いまでも、そこにいる、だれでもいいんです。
 facebookでも、そう。
 誰かに伝えて、ぽん、と反応があったら、
 情報に変換できる、すなわち、理解できる。
 ぼくにはそういう特徴がありました」

柳瀬さんが編集者でよかった。
天職です。
2012/08/27 18:17
浪人のはじまり
高校でうしろから10番のところから
慶応合格までの道のりをうかがいましょう。

「はい。まずはね、
 受験に落ちて、3月10日。
 そこから4月あたままで、
 ひと月弱で、『でる単』ぜんぶ覚えました。
 理系でも文系でも、英語は必要ですから」

ひー。

「覚え方があります。
 patriotが『でる単』の
 最初のほうに出ていたと思うんだけど、
 patriot=愛国者と覚えるよりは、
 patriot=旗を降っている愛国者という画像に、
 つまり、イメージが思い浮かぶように
 覚えるんです。

 そして、そのイメージがバーっと
 瞬時に浮かぶまで覚えます。
 『こんなうすっぺらい本なんだもの』と、
 朝、トイレでサーッとやりました。
 一瞬でもひっかかったら、最初からもういちど。
 それができるようになったら、
 日本語から見て英語が言えるようになるまでやります。
 それから、その後10日で、
 イディオム集も一冊覚えました。
 春休みのあいだ、ほかに何にもやらないで
 英語だけ一点突破です。
 
 その結果、38だった偏差値が75にあがりました。
 それ以来、英語の偏差値は
 70切ったことはありません」

春休みで。

「春休みで。英語が得意科目になっちゃった」
2012/08/27 18:31
英語に続いて日本史
「次に、日本史です。

 ぼくは歴史を暗記ものとして覚えるよりは、
 物語から導入したほうが
 頭に入るとわかっていました。
 ですから、岩波新書などの
 歴史の本を読んで、
 物語として、頭に入れる。
 自分の脳にあわせて、
 勉強をおもしろくしていくんです。

 『どうやると、頭に入るか』
 これを自分で編み出すんですよ。

 例えばぼくの場合、
 ・人に教えるのは好き
 ・本を読むのが好き
 ・イメージが浮かべると覚えられる
 でした。
 これを、受験勉強と合体させるんです。

 もっと深い勉強になると、
 やっぱり先生に教えてもらったり
 話を聞いたほうがいいでしょう。
 でも、受験勉強のレベルなんてたいしたことない。
 これで乗り切ることができます」

そうかぁ。
柳瀬さんは、高3で、よく
そういう境地に行くことができましたね。
まわりの受験の雰囲気にのまれなかったんですか?

「うん、人と自分をあんまり
 比較しないタイプだったし、
 なによりぼくは、勉強好きじゃないから(笑)」

なるほど。
勉強が好きじゃない、と
いちど言い切ってしまうのはいいですね!
2012/08/27 18:38
相談コーナー
では、相談コーナーです。
柳瀬パワーで、じゃんじゃん行きましょう。

中3の娘と小6の息子を持つ母です。
学力が高いと言われている高校がある地区に
住んでいます。
娘は運動部に入って、からだを鍛えることに夢中。
受験期間に入りましたが、
将来の目標や夢がわからないから、
勉強する気になれないといいます。

自分の将来を考えたり、
やりたいことをみつけろといわれても
どうしたらいいかわからないという子どもに
アドバイスをお願いします。
(ニコニコかあちゃんより)


「自分の将来がわからないのは、
 あたりまえです。
 誰もわからないですよ。
 
 わかるような気になってしまっているのは、
 イチローやエーちゃん(矢沢永吉さん)の
 ことをみんなが思い浮かべるからです。

 世の中の全員が、イチローやエーちゃんですか?
 イチローやエーちゃんじゃない、
 何千万人のことを忘れていませんか?
 アメリカのプロのスポーツ選手は
 たった2400人らしいです。
 天国の門をくぐるよりもたいへんです。

 自分のやりたいことを見つけて進む、
 という話をよく言われますが、
 それは、スペシャルな仕事と
 セットになっていることが多い。
 ふつうの道筋として、
 サラリーマンや、学者としての仕事の
 ロールモデルにしてはいけません。
 スポーツや芸術家、芸能、
 そこを目的に考えるとつらいです。

 子どももおとなも、自分が生きている世界は
 すごく狭いのです。
 知らない世界が99パーセント。

 世の中はじつに多様です。
 たまたまさわったものを、好きになったりします。
 それが運命です。
 それ以上でもそれ以下でもない。
 なんでも選べると思うのは間違い。
 ですから、来た球を打つので
 いいのではないでしょうか。

 たとえば、タモリさんです。
 タモリさんは、来た球を
 おもしろくうちつづけて、
 あの位置に行った人だとぼくは思います。

 自分たちより世の中のほうが大きいし、
 いまやっていることのなかから
 『おもしろいな』と思うことをやっていくので
 いいのではないかな。

 ひとつアドバイスができるとしたら、それは
 得意分野をなんでもいいから持つということです。

 虫が好きなら虫でもいい。
 AKBが好きなら、とことんくわしくなればいい。
 それが将来役に立つ、とかじゃないですよ?
 そこから『得意なものの学び方、たのしみ方』
 がわかるからです」

はああ。あの、わたし、いま、すごく、
よくわかりました。

「そうですか」

はい。

 
HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
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