Phoenix-9 花火師さんに訊く、花火づくりの現場。
オフィスでお話をうかがったわれわれは、
その裏手にある作業場へと
小泉さんに案内していただきました。
なだらかな坂道を登り、その区域に向かいます。
ここから先が、危険区域。
小泉 デンジャラスゾーン。
── デンジャラスゾーン。
小泉 この先から火薬を扱う場所になります。
山の斜面をくりぬいたような場所に、
ちいさな作業場がありました。
ここは「星」をつくる場所だそうです。
作業場に入るときは、
必ず「静電棒」を握るという決まりがあります。
小泉 人間は必ず電気を持ってるんで。
だから、基本的には、
着るものも気を使わなきゃいけないんです。
── ああ、化繊とか。
小泉 ナイロン系とかはとくに摩擦で
静電気を起こすので。
静電棒をしっかり握ってから部屋に入ったら、
この日、玉をつくる作業は終わっていました。
小泉 この釜で、星の粒を中に入れ、
色の薬をのせていくわけです。
薬をのせた星は、一度乾かしてから、
また別な色のための薬がのせられます。
乾かすために使う道具が、これ。
「へぎ」という木の枠に星を並べて乾かします。
新潟名物の「へぎそば」も
こういう板におそばがのっていますが、
それと同じものではないそうです。
こういう木の枠を「へぎ」と呼ぶのですね。
この区域には、さきほどのようなちいさな仕事場が、
たくさん建てられています。
ひとつひとつの建物は「工室」と呼ばれていました。
こちらの工室では、「玉込め」の作業が。
小泉 ああやって、星をずーっと並べて、
上まで並べたら割薬を詰めて、
そこでちょっと調整をします。
半分ずつ作って、最後に合わせる。
という作業を動画で撮影させていただきました。
どうぞ、ご覧ください。


ありがとうございました。
この職人さんは、片野さんというお名前でした。
星と割薬を詰めた玉を、
片野さんが次の作業の工室へ運びます。
運ばれたのが、この工室。
ここでは仕上げ作業を行っていました。
玉にクラフト紙のテープを重ねて貼っていきます。
強度が出るように、決められた枚数を。
一枚ずつ、手作業で。
これが完成した花火玉です。
片野さんが込めた玉も、ここに。
手前の女性は4月から勉強に来ているそうです。
福島県の花火屋さんの、孫娘さん。
突然カメラを向けてごめんなさい!
小泉さんがおっしゃるには、
いつもはガールズトークで
盛り上がっている職場だそうです。
「工室」は基本的にちいさめで、
それぞれが山を切り崩した
溝の中に建てられていました。
これには理由があるのです。
小泉 防火塀になってるんです。
万が一のとき、
火薬が連鎖的に燃えないように。
ひととおり工室を案内してくださった小泉さんが、
大きな倉庫の扉をガラガラガラと開けました。
そこには‥‥。
筒が!
ステンレスの筒が、こんなに!
一筒一発。
なるほど、と思いました。

最後に、会社の入り口にある、
三尺玉用の筒の前で、記念撮影をお願いしました。
── やっぱりすごい!
大きな小泉さんが、小さく見えます。
小泉 (笑)
── 小泉さん、
今日はほんとうに
ありがとうございました。
小泉 いえいえ。
── お話も現場も、
こんなに深くまで
教えていただいて、感謝です。
たのしかったです。
小泉 お役に立てましたでしょうか。
── もちろんです。
この次もしかしたらお会いできるのは、
花火大会の日でしょうか。
小泉 ぼくは、本部には必ず行ってます。
声かけてください。
── でも、
ピリピリされてるかもしれない。
小泉 大丈夫です、
ピリピリしてないです(笑)。
── そうですか、じゃあ、
お姿を見かけたら、ぜひ。
8月2日、たのしみにしています。
小泉 お待ちしています。
── ほんとうにありがとうございました!
小泉 遠いところをありがとうございました。
お気をつけて。

※小泉欽一さんの会社、
 「新潟煙火工業株式会社」のHPはこちら
 

(つづきます)


2010-07-30-FRI