PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙252 大貫妙子さんとHIV(6)
コスタリカと、くすり。



こんにちは。
今回は大貫さんから
ご旅行にいらしたときのお話を伺いました。

本田 HIVって良い薬できたんだから、
もう大丈夫なんでしょう? と
言ってる人がいる、と
ときどき耳にするんです。
全然違うのに。

体の中からHIVを根絶させる薬は
まだ存在しなくて、
一度治療を始めたら数十年にわたって
ずーっと薬を飲み続けなければいけないし、
副作用ともつきあわなきゃいけないんです。
大貫 このあいだ「未来からの警告」
ジュセリーノの予言っていうのを読んでいたら
2008年エイズとデング病に有効なワクチンが
開発される、って書いてありましたよ…。
彼の予言は怖いことばっかりなんですけど
このワクチンの予言だけは、
あたってほしいですね。
本田 まあ、そうなんですか。できるといいですよね。
大貫 でも、その後に、
もっと恐ろしい病気が蔓延する、って
書いてあったの。
感染爆発が懸念される
鳥インフルエンザもそのひとつですけど。
やっぱりなあ、と思ってしまいました。
ウィルスも進化しますものね。
ひとつ治れば、またひとつ。
本田 病気は生き物とは
切っても切れないものですものね。
大貫 昨年の1月、コスタリカに行ったんですけど。
そしたらあそこは自国で排出するCO2の量を
近い将来0にしようとしているのね。
本田 えっ、そうなんですか?
大貫 コスタリカは今や、エコロジー先進国です。
国土の25%以上が
自然保護区や国立公園になっているんですから。
乾燥林、熱帯雨林、熱帯雲霧林と、
国は小さいですが、変化に富んでいて
地中海側と太平洋側では、気候が違うんです。

とくに太平洋側の海岸線は
素晴らしいの一言です。
「Costa Rica」ってスペイン語で
「豊かな海岸」っていう意味なんです。
本田 ねったいうんむりん?
大貫 「霧」って書く「雲霧」です。
国の中央部は
平均1000〜1500メートルの高原地帯。
その800〜1300メートルあたりが
つねに霧がかかっている密林ですね。

全世界で確認されている約9000種の鳥類の
約10%、850種もが、
コスタリカに生息しているんです。
すごいですよねぇ。

さっき小さい国と言ったけれども
地球上の0.034%を占めるにすぎない国土に
地球上の全動植物種の約6%もが存在するうえに
今もなお新種が発見され続けているんです。

着生植物や昆虫の宝庫なの。
ですから、当然のごとく、世界中の研究者や
製薬会社がこぞって押し寄せて来るんですねえ。
本田 植物や土の中のカビなんかを集めて、
医学的に有望な薬のもとを探してるんですよね。

そもそも、コスタリカにいらっしゃった
直接の理由は何だったんですか?
大貫 JALの機内誌の取材です。
わたしはナマケモノに興味があって
とくに、ミツユビナマケモノ。
一度この目で本物を見たい! って
思い続けていたので
願いが叶いました。

野生動物は、アフリカでも南極でも、
観察して来ましたが
ナマケモノはあの辺にしかいないので。

それで、お話をいただいたときに
場所の希望を尋ねられて、
コスタリカ! って言ってみたら、OKが出て。

わたしを案内してくださったコスタリカの方は
植物研究もなさっている方で
とても森のことをいっぱい知っていて。
葉っぱの名前とか
歩くたびにひとつひとつ教えてくれてね。

「これは精神安定に効くんだ」とか、
においをかがせてくれたり。
かと思うと、
くっだらない冗談ばっかり言ってたり(笑)
なにしろ、楽しかった。

ジュセリーノの予言どうりになるかどうかは
別にしても
こんなところからだったら、
新しい薬やワクチンも
見つかるかもねえ、という気がしました。

南米に渡れば、アマゾンの密林とか、そこもまた
まだ見つかっていない植物や
カビ類の宝庫でしょ。
新しい発見があるかもしれないわね。
本田 薬の研究をしている友達が、
材料を見つける、といって土を掘りに行った話を
初めて聞いたときには
何の冗談かと思いましたが、
ほんとに真剣に探してますね。

実際、
わたしが通っていた学校の近くで採った土から
すごく有名な免疫抑制剤が
開発されているんです。
今や臓器移植には欠かせない、
世界中で使われているお薬です。
大貫 まずは、病気にかからないような体つくりをする
というのが基本ですが。
そのためには、毎日の食生活も大切だし
私は薬をまったく飲まないで過ごしてきたので
できればこれからも
薬とは無縁な暮らしができることを
望んでいますが
やはり、今すぐにも必要とする人がいるなら
発見が望まれますね。
本田 HIVは変異をしやすい特徴をもつ
ウィルスなので
ワクチン開発は、
今ちょっと行き詰まってるんです。

病気といえば、
先日、大貫さんは
大腸癌の予防についての活動も
なさっていらっしゃる、とうかがいました。
大貫 大腸癌撲滅キャンペーンですね。
先日そのコンサートがあって、
参加させていただきました。
前回でもお話したように
そのような趣旨のコンサートは、
増えています。

前立腺癌のためのコンサートにも出ましたし、
女性なのに。
乳癌についても頼まれたんですけど・・・・。
いろんな色のリボンバッジが、
うちには、たっくさんありますよ(笑)

ですが、乳癌のキャンペーンは
お断りいたしました。
自分で探してね。って気になったので。

触診だけでは発見できない、
やっかいなものもありますが
お風呂や寝る前とか、
自分で触る機会はいくらでもありますから。

前立腺癌は男性特有のものですけれど、
やっぱり奥さんが言わないと
男性はなかなか病院に
行かないようですからね。
女性からも呼びかけてほしい、
ということだったので
出させていただきました。
本田 「乳癌は自分で探してね」って
とても良いメッセージですね。

わたしも
「大貫さんが、
 乳癌は自分で探せば?
 とおっしゃっています」
と誰かにお伝えしておきます。
大貫 はい(笑)

大貫さんが、
「乳癌は自分で探せば?」とおっしゃっています。

ぜひ、試してみてください。
実際、乳癌患者の8割は
自分でしこりを見つけているのだそうです。

やりかたにはいろいろあるのですが、
このサイトはイラストもあって
わかりやすいかもしれません。
「メルクマニュアル・家庭版」

では、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。
本田美和子

2008-02-29-FRI

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