PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
ニューヨークの病院からの手紙。

手紙159 訪問診療・14 いただいたメール(2)

こんにちは。

前回は、家族や地域からみたお年寄りについて
読んだ方から寄せていただいたメールをご紹介しましたが、
今日は、仕事として
お年寄りに触れる機会のある方々からのメールを
ご紹介することにしたいと思います。

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熊本でホームヘルパーをやっています。
44歳ですが、まだヘルパー歴は4年くらいで
いっぱいいっぱいな感じでやっています。

ですので、
「訪問診療」の現場で本田さんが考えられたことを
とても興味深く読ませて頂いています。

自分自身は
なんだか全然成長していないような気がします。
たぶん利用者の方に
我慢してもらっている部分があるんだろうなと思います。

私の場合は介護という仕事ですが、
介護というのは、される方がつらい、とよく思います。
だから、
利用者の方にいかに気を使わせずに仕事をするか、
それがサービス業として介護をしている私の目標です。

利用者の方が望むような生活をするために
私たちを活用して欲しいと思います。
家族のいる方なら、私たちが代わってやった分だけ
その人に優しく接するゆとりが生まれるに違いないと
信じて仕事をしています。

経験も少ないのに、
なんだか偉そうなことを書いてしまいました。
でも、時々理想を引っぱり出して自分に問いかけてみるのは
必要ですよね。

田中理絵


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「思い出のつまった家」読みました。
私はケアマネージャーをしています。
ごく最近、同じ経験をしました。

布団から立ち上がるのに時間がかかって
トイレが間に合わないとの事だったので、
話し合ってベッドを入れる事になりました。

行ってみると、部屋はゴミだらけで、
足の踏み場もない状態でした。
同行の業者さん2人とひとまず掃除をして、
ベッドの置き場所を本人に確認して、
タンスを動かして、
捨てて良いゴミかどうかもひとつづつ確認して、
契約を済ませて帰りました。

ところが次の日、苦情の電話が入りました。
「ベッドを入れたせいで
電話が使えなくなった、電話帳も無くなった。」

電話が使えなかったのは
使用料を払っていないせいで
切られていたことがわかりました。

電話帳は電話機の隣にありました。

それでもまだ
「ベッドなんか入れるんじゃなかった。」と
言われます。

業者さんに相談すると、
他でも似たような事を言われる人はいるけれど
結局重宝して使われていますよ、との事で
様子をみていると、
確かに引き取ってくれとは言われません。

いったい何だったのだろうと思っていましたが、
「思い出のつまった家」を読んで...。

同じ気持ちだったのですね、きっと。

本人の了解を得てタンスも動かして、
掃除をしないとベッドを入れられないから、と
私は悪気はなかったと思っていましたが、
本人からすれば耐えられない事だったのでしょうね。

もう一度話し合ってみます。
また似たような事があるかもしれません。
この仕事は難しいと、今回つくづく感じています。

柴田玲子


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生活の場でも、また、仕事としても
お年寄りの暮らしに触れる機会は
これから増えていくことでしょうし、
何より、自分自身も確実に年を重ねていきます。

身近な問題として、
高齢の方の健康や病気については
今後も折に触れて
ご紹介する機会を設けていきたいと思っていますが、
訪問診療についての
今回のシリーズは、ひとまず、
これまでにしようと思います。
読んでくださって、ありがとうございました。

みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2002-10-03-THU

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