PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
ニューヨークの病院からの手紙。

手紙122 ほぼ日ブックス・1 木村さんからのお誘い

こんにちは。

今年の6月のなかば、
フィラデルフィアでの暮らしもあとひと月足らずとなり
だんだん慌しくなってきたころ、
ほぼ日の木村さんから一通のメールが届きました。

『今年の秋に、
 ほぼ日刊イトイ新聞と朝日出版社が共同で
 「ほぼ日」にまつわる本を
 少しずつ出版していく計画があるのですが、
 その第一弾の10冊の中に
 「遥か彼方で働くひとよ」を入れるというのは
 どうかな、と考えています。
 いかがですか?』
というものでした。

ほぼ日に
スペースをいただくようになって、2年半。

思いついた時に、
好きなことを好きなだけ書く、というスタイルは
本当に気楽で、とても楽しい作業です。
それまでに書いた分量も100回分くらいたまっていました。

木村さんが声をかけてくださったことは
とても嬉しかったのですが、
わたしにとって本というものは
誰かが書いたものを自分が読むためのもので、
自分が書いたものを
誰かに読んでいただく手段、としての本、というのは
ちょっと実感がわきませんでした。

少し時間をいただいて、
よく考えてみることにしました。

このところ、どうでもいい話ばかりが多いので
「そんなつもりで書いているのか」と
驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、
実は、この「遥か彼方で働くひとよ」には
連載を始める時に自分で決めたテーマがあります。

『今すぐ必要、というわけではないけれど、
 いざという時に思い出すと役に立つかもしれない
 体や健康についての話を、
 多くの方に興味をもっていただけるような形で紹介する』
というのが
「遥か彼方で働くひとよ」のもともとの出発点です。

ウェブサイトとは違った形をとることで、
コンピュータを日常的にお使いになることがなく、
これまで「ほぼ日」との接点がなかった方々にも
読んでいただけるかもしれない、と思うと
今回の「ほぼ日ブックス」のラインナップに入る、
というのはとてもいい機会ではないかと思えました。

「『ほぼ日ブックス』の最初のラインナップに
 加えてください。よろしくお願いします」
と木村さんにお返事をして、
朝日出版社の編集者・赤井さんから
最初のメールが届いたのは、7月のはじめでした。

ウェブサイトの連載の中から、
どのような形で本を作っていくのか、というのが
次に考えなければいけないことでした。

わたしが心配だったのは、
「ウェブサイトで自由に読めるものを
 わざわざ買ってまで読んでいただけるんだろうか?」
ということでした。

「わたしなら、買わないかもしれないなあ」というのが、
率直な感想でした。

ウェブサイトでは読めない、
何か新しいことをつけ加えられるといいな、と
考えているうちに
ひとつ、思いつきました。

今回の「手紙」は122回目になりますが、
原稿をほぼ日へお送りする時にはいつも、
糸井さんと
編集部の担当の、以前は金澤さん、今ははりぐちさんへ
それぞれ短いメールを一緒にお送りしています。

もともとこの連載は、
糸井さんから「やってみない?」と
メールをいただいたことから始まったのですが、
連載が始まってからも、
折にふれ、糸井さんに相談にのっていただいています。

そんな連載当時の
糸井さんとのメールのやり取りのいくつかを
本の中に加えることで、
掲載された「手紙」のバックグラウンドが
もう少し明らかになって、
読んでくださる方に
楽しんでいただけるようになるんじゃないか、と
考えてみました。

糸井さんや、ほぼ日ブックスの方々も
「いいんじゃない」と言ってくださって、

・ これまでの連載の中から、いくつかのシリーズを選ぶ
・ シリーズの間に、糸井さんとの往復メールを入れる

という形をとることが、まず決まりました。

では、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2001-11-01-THU

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