PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙41 喘息のはなし4 予防

こんにちは。

喘息のはなし、今日でおしまいです。
最後は予防について。

喘息の予防の大原則は、その原因となる物質を
できるだけ吸い込まないようにすることです。

詳しい病気の経過を聞いたり
いろいろな検査をしたりしてみても
結局、その物質が何なのかわからないこともよくあります。

でも、だからといって何もしなければ
いつまでも喘息に悩まされることになってしまいます。

と、いうわけで
「喘息のはなし1」でご紹介した
患者さん向けの喘息についてのパンフレットを参考に
何に気をつけておけば、喘息発作を防げるのかについて
書いてみることにします。

<ペット>
動物を飼っていらっしゃる方はよくご存知のように
ペットから抜け落ちる毛の量は半端じゃありません。

毛に限らず、糞や羽も
アレルギーの原因物質、アレルゲンとなります。

ひどい喘息が続く場合は
ペットと暮らすことを
あきらめなければいけないこともありますが、
それほどでない場合には
頻繁に洗ったり、
室内では飼わない、また少なくとも
寝室には入れないようにする
といったことで、喘息を防ぐこともできます。

<掃除>
空気中をふわふわと漂っている物質を
吸いこんだことで起こるのが喘息ですから、
その原因を断つには
「それを漂わせないようにする」ことです。

とにかく、掃除機をかける。

場合によっては空気清浄器も有効です。

<寝具>
お布団のカバーは、結構汚れやすいし
中の綿や羽毛が、生地の目から外に出てきて
喘息の原因となることもあります。
目の詰んだカバーを使い、頻繁に洗濯することで
症状が軽くなることがあります。

<喘息を起こす薬はのまない>
有名なのはアスピリン。
以前、「薬について3」でお伝えしたように
薬のアレルギーはとても真剣に
考えてほしいことのひとつです。
どんな薬でも、それを飲んで
一度でも喘息発作を起こしたことがあれば、
もう、一生その薬はのまないで下さい。

<感染を防ぐ>
気管支炎や肺炎は気道の炎症を起こすので
喘息を誘発する原因となることがわかっています。
なるべく感染症を防ぐことが
ひいては喘息を防ぐことになります。

日本では、まだ
議論の別れているところですが、
インフルエンザの予防接種は
喘息発作を起こしやすい人は
やっておいたほうが良いんじゃないかなと思います。

あと、「運のわるいひと2」でご紹介したように
免疫の力が落ちている可能性のある人、
これはとくに持病のないお年寄りも含みますが、
肺炎球菌のワクチン(ニューモバックス)を
1回(これは毎年行う必要はありません)受けておくことも
肺炎を予防するのには有効です。

<運動>
継続的に運動をすることによって
喘息の症状が明らかに軽くなっていく人もいます。

ただ、冷たい空気を吸いこむことで起こる
喘息もありますから、
冬場はできれば、室内で。
または、事前に吸入薬を使ってみてください。

そんな心配のないのが、水泳。
専門医はよく患者さんに水泳を勧めています。

<たばこ>
喫煙率の高い「ほぼ日」編集部に
この手紙を送るのは、ちょっと気が引けるのですが
勇気をふりしぼって。

以前ご紹介したように
喫煙者の家族は、たとえ自分が吸わなくても
家族の誰もタバコを吸わない人よりも
喘息で急患室を受診する割合が高い、という
調査結果があります。

ご自分が喘息を持っている方はもちろん、
家族に患者さんがいる方、
どうぞ一時タバコをやめてみてください。
きっと、症状は軽くなると思います。

<職業上の喘息>
仕事で接する化学物質が原因で起こる喘息を治すには
その場所から遠ざかるしかありません。
職場の人に説明するのは
なかなか難しいとは思いますが、
そんな時こそ、客観的に喘息の状態を測ることができる
ピークフローメーターの出番です。

職場から離れているときの、
自分の普段のピークフローと
職場で喘息発作を起こしているときの
ピークフローを比べて記録して
それを根拠にどうぞ異動を交渉してください。

以上、4回にわたってお伝えしてきた「喘息のはなし」。
喘息をお持ちの方のお役に少しでも立てていただけると
うれしいです。

では、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。
本田美和子

2000-03-03-FRI

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