西本 「ペルソネル」って、
フランス語で「パーソナル」でしたっけ?
田中 そうそう。
「個人的活動」という意味やねんけど。
これは「ココリコ」ではなくて
田中直樹個人としてやることだから
まず、最初に
「ペルソネル活動」という
タイトルにしようと決めたのよ。
で、「活動」だから、
イメージをストレートに活動家にしたくて、
チェ・ゲバラ風の
ジャケットにしてみたんやけど
このキャラクターが
コントに出てくるわけじゃなくて
活動家というイメージを作りたかったんよ。
西本 うーん、そのへんもまた、
じつにわかりづらい(笑)。
3ヶ月に1本、全5巻というペースは
どうしてそうなったの?
レギュラー番組をやりながら
これをやり続けるのって
作業量的にも大変なことじゃないですか。
田中 ふだんさぁ、生活してて、
「こういうことおもろいなあ」って
思うこといっぱいあるやん。
西本 ええ。とくに田中さんは、
昔からそういうことをちびちびメモに
いっぱい書き続けている人ですよね。
田中 そうそう。
でも、毎日、書き残していったとしても
そういうことは日にちがたつと忘れていくし
全然成仏しないまま
終わっていくものがいっぱいあったのよ。
これまでにも形にすることは
できたのかもしれないけど、
単純に時間がないとか
完成度はどうやとか
そういうことが気になって
踏み込めなかった自分がいたんやけど
このままじゃ、何もできないし、
どんどん形にしていかなきゃいかんと
思って
そういうことをコントにしていくことが
自分のライフワークになればいいのになぁ
という希望というか
本音を会社に伝えたのよ。
西本 なるほどなるほど。
田中 それがどう捻じ曲がったのか
わからんけど、
吉本側からは、
「じゃあ3ヶ月に1本出そう」って。
ライフワークっていうのは、
そういうもんだろ、みたいな(笑)。
西本 そこまで言うんやったら
お前自身を削れと(笑)。
田中 削れと(笑)。
どんどん行くなら行けと言うので
3ヶ月に1回リリースが決まったのよ。
それはね、嬉しい反面、
プレッシャーでもあんねん。
でも、期限がないと
だらだらしてしまうから。
西本 うん。コント一本の
完成度を求めるあまりに
際限なく
編集したりということもあるよね。
田中 そやねん。
編集所入ったら
「こんなことがやりたい」という
最初の軸をずらさないようにしないと
もう永遠に遊んでしまうから。
その時にやりたいことを
大事にして編集してる。
西本 作業自体はたのしそうっすね。
田中 うん。すごいのはね、
肉体的な疲労って当然あんねんけど、
これに関しては
精神的な疲労がないのよ。
西本 これに関してはだけは?
田中 うん。これに関しては。
西本 ノーストレスであると?
田中 ノーストレスやねん。
締切も迫ってくるし、
早朝からロケに行かなあかんし、
肉体的にはほんとにきついんやけど
精神的な疲労がやっぱりないのは、
なんか自分の中での
「純度100%」というかさ。
いい意味で、やりたいことを
やれてんのかなっていう気はする。
西本 これ特典も含めると8本のコントが
入ってるじゃないですか?
このペースで3ヶ月に1本というのは
ほんと、すごいペースですよねえ。
田中 本当は多めに撮って
2本目にまわしたかったんよ。
そっちの方がコストも安くなるし、
これから先のことを考えて
撮りだめをしておいた方が
リリースするのも楽なんやけど、
1本目にどのコントを入れるか
決める段階になって、
なんか、一度につくったものを
分けてリリースするのは
不健康な気がして。
1本目のために自分は考えてたものは
1本目に全部入れようと思って
結局ね、全部詰め込んだのよ。
西本 はあはあはあ。
ってことは、会社的な判断をすると、
ほんとは1本目に入れるコントは
5本くらいにおさえておいて(笑)。
田中 せやねん!
5本くらいに会社は納めたかったはず。
だけど自分の中で気持ち悪かったから、
わがまま言って全部1巻に詰めたのよ。
(続きます!)
  2005-12-20-TUE  
 
 
 
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