SHIRU
まっ白いカミ。

#58 "だんだん本質から離れゆく "


 

Monday

 夢の中で夢を見ていた。夢がカラーかどうかは色彩感覚次第だというけれど。僕の夢はバラ色単色。どうせ夢が夢なら楽しい夢をいつまでも。惰眠を貪っていたかった。けれど、お腹が空いてとうとう目が覚めてしまった。

ついて来るならいまだぞ。

Tuesday

 いっそ砂漠で倒れて星に帰ろうかと思う。僕にだって死んだら悲しむ人はいると思って。やっぱり死ぬのはやめた。死んだら怒られる。でもその人を大切に思うのは僕が生きているからで。死んまで守る事があるって変?

飛び込め!JRスポンジ急行。

 

Wednesday

 就職難の時代。ようやく見つけたパン工場の仕事。僕は飢えた人々の為にパンを作った。1週間後、異動があってパンを作る機械を作る工場に。そしてその1週間後、パンを作る機械を作る機械を作る工場に。

再生産につぐ再生産。

 

 

Thursday

 リモコンで自分を操作する。その自分がリモコンを持っている。悲しんでいると感じている自分がいる。そうやって2人の僕を用意してループさせると感情にカバーがかかってダイレクトな衝撃を避けられる。お婆ちゃんの知恵袋。

いけ!そこだ。

 

 

Friday

 詩を書きたくなったので「詩の書き方」という本を立ち読みした。空白の多いページをめくる。偉そうな詩人が外国の「詩の書き方の書き方」という本をまる写しにしていた。恥知らず!僕は憤慨して手近な本を1冊。服に滑り込ませると書店を飛び出た。ダッシュ。

 

舞台裏。

Saturday

 映画をみた。もう3度目。舞台裏を覗くと主人公がいつも来てくれてありがとう…と「カイロの紫の薔薇」のような話だと思ったら僕は寝ていたらしい。入れ替え制じゃなかったので、きちんと3度目を見直した。毎回、話が微妙に違う気がする。

 

Sunday

 晴れたので公園で昼寝。木陰で寝転がって鞄を枕に眠る。眩しくなって目が覚める。いつしか木の影が移動していた。木が移動してないなら地球が回っているんだと思った。本と画材を買い込んで夕食を食べたら橙色に染まった道を歩いて帰る。

想像力の獣とごろごろ。

 


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1999-07-28-WED

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