またまた帰ってきた!
田島貴男の
オレのニュース



ニュース その1
田島めぐりの旅。

第3回
オレの何が悪かったんだろう。

栃木県の田島駅をめざし、
こんどは北千住から館林まで、
74分間、電車にゆられます。
外は冷たい雨、曇る窓ガラス。
ちょうど通学の時間帯で、
電車には黒いブレザーを着た中高生が
たくさん乗っています。

「オレは高校は自転車で行ってた。
 福島でさ。
 そういや登下校中に
 チャリで遭難しそうになったことがある」

自転車で遭難ですか。


「吹雪でね。
 まず、チャリが動かなくなるの。
 信号で、止まんじゃん?
 そうすっと、車輪が凍って動かなくなる。
 どうしようかな、と思ってると
 吹雪で何もかもが見えなくなってしまう」
 
川か何かがあったらたいへんですね。
こわいな。

「あんな思い、二度としたくないや。
 それでね、朝、学校の門で、
 竹刀持ってる先生が立ってて、
 たぁじまぁぁぁぁーーーーー!!!!
 ってオレの名前を絶叫すんの」

絶叫の理由は何ですか?

「フニャフニャしてたからかな? わかんない。
 昔から体育の先生と折り合いが悪かった。
 よく殴られたり蹴られたりしたよ。
 中学のときも、担任の先生から毎日殴られたし」

中学でも。

「きっと悪いことしてたんじゃないかなあ。
 わかんない、記憶にない、何にも憶えてない」

それじゃ毎日殴られた意味が
あんまりないような気もします。

「だけどね、そのときは
 殴られて当然だな、と思ってた。
 すっげえいい先生だったんだよ、
 ありがとうと感謝しているくらい」



「ほんとに厳しい中学でさ、
 掃除の時間のことを
 無言清掃っていうんだよ。信じられる?
 しゃべっちゃいけないの。
 無言廊下というエリアもあった」



しゃべっちゃいけない廊下ですか?

「そう。エニタイムよ?
 すごくない?」

番長は、高校は男子高ですよね?
男子高っておもしろそうですね。

「高校のときは学校で
 ずーっと本ばかり読んでた。
 休み時間も、机に本が積み上がってて、
 壁をつくってたかんじ。
 あの頃は、友だちはあんまりいなかったな。
 でもいまも募集中だよ!
 よろしくお願いします!」

さて、館林です。
乗り換えですよ。



「てことは、田島駅に
 あと8分で到着か!
 いまんとこ、まわりは
 わりとなんにもないかんじだね」

名前がいい土地ですから、
局地的にものすごく
盛り上がっているかもしれませんよ。



「オレは盛り上がるな!」

盛り上がります?

「うん、めっちゃ、
 盛り上がる!」


そわそわ落ち着かない番長です。

「川渡るんじゃん!」



ちょっと雰囲気が変わって
雄大な風景になってきましたね。
さすが田島駅!

「やった、オレの街!
 あっ、このへん、
 なーんか、ニューオリンズっぽいじゃん!」


ニューオリンズ?

「きた! きた!
 ね、‥‥田んぼばっかりだよ」



ほんとですね!

「すごい、田んぼだ。
 まもなく田島、田島でぇございます!」

席を立った番長が
激しく手を振ってこちらを呼びます。





急いで行ってみると、ドアの上に
“まもなく 田島”の電光掲示。

着きますよ、番長の街に。

ドアが開きました。
降りる、降りる、
田島番長、田島駅に飛び降りる!
明日につづきます。



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2006-12-19-TUE

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