田島貴男の
2004年 オレの
5大ニュース(予定)。

ニュース その5
たどりつけず、の旅。

第6回
宇宙おしゃべりお兄さん。

ひきつづき、布施哲治先生に、
天文学者の宿舎
「ハレポハク」を案内していただきます。
図書室に腰を落ち着け、じっくり好きなだけ
田島番長に宇宙の話をしてもらいましょう。



布施 ここは、ハレポハクの図書室です。
田島 オレ、見たかったんですよ、こういうの!!
全部論文なんですね。
(英文の論文のページをすごい勢いで繰る番長)


布施 これから自分で行なう研究が、
過去に研究されていないかどうかなど、
こういう論文で調べたりします。
田島 ああ、いまから天文学者に
なれないかなあ。
布施さんは理系の大学に
行っていたんですか?
布施 ぼくはもともと国立天文台の大学院にいました。
でも、天文学というのはおもしろいもので、
かならずしも専門の勉強を
していなければならないか、
例えば、国文学や考古学専攻で
意味がないかというと、
そうじゃないこともあるんです。

例えば、あまり多くの人は
研究していませんけれども、
昔の天文の記録がたくさんあります。
「昼間でも明るく見える天体があった」
なんて古文書に書いてあったとして。
田島 ああ、それが例えば
超新星爆発で、
何年にあったかを調べる、と‥‥。
布施 そのとおりです。
そういった過去のことを研究するのは、
文系の分野ですね。
考古学で隕石を掘り出したりすることも
あるだろうし、
地質学者がクレーターを見つけて、
その原因を調べたり、時代を特定したり。

専攻や得意分野がどうであれ、
自分の方針さえ決まっていれば、
何かが天文学に結びつくんですよ。
田島 ほおー!
ぜんぶひっかかっていくんですね。
布施さんは、いろんな研究を
進めていらっしゃると思うんですけど、
そのアイデアって、
どんなところから出てくるんですか?
布施 そうですねぇ‥‥。
自分で考えて「これを知りたい」と
思っても、文献を調べたらすでに
わかっていることだったりします。
田島 世界中、そんなことだらけでしょう?
布施 みんな競争ですよ。
いまやっている自分の研究は、
共同研究者が台湾にいるんですけれども、
電話やメールでやりとりして
進行状況を連絡しあっています。
田島 問題意識をもって、
ターゲットを探すのって、たいへんですよね。


布施 そうです。ま、そこがいちばん
たのしいんですけれども。
実際に観測するのは、
ほんとうに、一瞬なんですよ。
田島

観測は、音楽で言えば、
きっと歌を録音する部分かな。
最初に、作曲して、
どういうことをテーマとして歌ったらいいのかを
考える部分が
言ってみれば、僕らにとっての競争です。
それはまったく同じだな。
そこはたのしくもあり、たいへんでもあり。

布施 オリジナリティを出して。
田島 観測方法も自分たちで
考えるんでしょう?
布施 そうです。
すばるという、すばらしい道具は
あるわけですけれども。
田島 だって、系外惑星を発見する方法を
考えた人もさ。
布施 あれもほんとに見えたわけじゃなくて
動きで間接的にわかったんですよね。
みんな信じてなかったわけですよ。
田島 ノイズだったんじゃないかとか。
布施 そうそう。
そんな方法で見つけられるわけない、と
誰もが思っていたんです。
でも、あのグループは
人に何と言われようと、
自分たちでデータをためた。
ためたから「見えた」んです。
そこはオリジナリティですよね。
道具があって、見つけたいという目標があって、
アイデアがあって、努力があって。
── 宇宙ばなしは、とどまるところを知りません。
まるでご学友かとすら思えてしまう
なかよしなふたりのようすを
動画でおたのしみください。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)

田島 ああ、星を見たかったなあ。
まだ晴れる可能性はあるかな?
きれいなんだろうな、頂上で見る星は。
布施 でも、ひとつ盲点がありまして、
頂上では平地の6割しか酸素がないわけです。
頭が正常に働いているかどうかが
最終的には問題です。


田島 ハハハハハ!!
そっか、ボーッとしながら
見なきゃいけないんだ。
布施 視神経が、おそらく
100%は動いていないですからね。
空の状況がよいのが強いか、
頭がボーッとしているのが強いか、ですね。
ですから、このビジターセンターあたりのほうが
人間の機能からすれば、
はっきり見えるかもしれません。

すばる望遠鏡で観測をしているときも、
いちいち確認をしていないと、
「自分はこれをやっている」と思って
コンピュータを操作していても、
じつはちがうことをやっている、
ということが、なきにしもあらず、で。
田島 ハハハハ!
もう、宇宙船にいるみたいな状況ですね。
実際にここでも、こんなに「くる」んだって
びっくりしてますよ。
布施 しゃべっているだけでも
頭の酸素を使いますからね。
── ドキドキが止まらないし、
ちょっと動くだけで息切れがすごいです。
布施 それだけからだに
酸素をまわそうとしているんですよ。
田島 いつもできることができないんだよ。
革ジャンのチャックがひっかかったのが、
さっきからとれないんだよ!!!

12:30


15:30

── 3時間かけて、まだ取れないんですか。
危ないですね。
宇宙おしゃべりが盛り上がっているところ、
たいへん名残惜しいのですが、
そろそろビジターセンターに
戻らなくてはいけない時間です。
しかも、ちょっと日が差してきましたよ。
星空を拝める可能性があるのではないでしょうか。


布施 しかし、さっき
上に観測しに行こうとしているチームに
訊いたところ、
今日はちょっと絶望的だ、ということでした。
田島 うーん。晴れ乞いの儀式、やろうか。
女神を味方につけてね。
ハレハレハーとか。
── 怒りをかうとたいへんなんで、
番長、本気でお願いします。


外に出ると、太陽が顔を! いい予感!!

マウナケアの雪と風の女神に捧げる
晴れ乞いの歌を
田島貴男ニュース番長が歌います。
高山にいるため、酸欠で苦しそうでありますが、
晴れ乞いのはずが途中で雨が降り出しますが、
みなさん、どうぞごらんください。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)


田島さんが晴れ乞いの歌を唄う際に
身につけていたレイ2本を、
「5大ニュース」雨が降って残念記念として
1名様にさしあげます。



ご希望の方は、件名を
「5大ニュースレイプレゼント」として
postman@1101.comまで
メールにてご応募くださいね。
締め切りは2月4日20:00まで。
当選された方には、「ほぼ日」より
メールでご連絡を差し上げます。
(必ず連絡の取れるメールアドレスからご応募ください)
田島さんへのメッセージや感想などを
お書き添えいただければうれしいです。

(次回につづく!)


感想メールはこちらへ! 件名を「5大ニュース」にして、
postman@1101.comまで、
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2005-02-03-THU

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