恩返し その22 漫画家デビューに導いてくれた ウシに恩返し。



みうらさんのイラストで有名なものに
ウシやカエルがありますが、
ウシは、そもそも
牧場での恐怖体験がもとになっていたんですね。
動画でうかがったお話は、映像化するとかなり怖そうです。
あの一日の体験が、記念すべきデビュー作へつながり、
単行本『単になんぎなうし』が出版されることに
なった、と。



ええ、僕が
けもの道を歩くようになってしまった、
そのはじまりの単行本です。




ウシがキャラクターとして一本立ちし、
OSAMU GOODS路線になっていくはずが、
表紙のイラストで丸ツブレに。



ええ‥‥。
(本をペラペラとめくる)
この「ゴジラの運搬」というのは、
糸井さんがタイトルをつけてくれたんだよ。






! そうなんですか。




うん。糸井さんに
「お前が頭で考えた漫画は、おもしろくない。
 お前は、体験したことのほうがおもしろいから、
 それを描け」
と、言っていただいて。



それで、ゴジラを盗んだ
ご自身のエピソードを漫画に‥‥。





「ゴジラの話を描け。
 描いてつかまれ。
 犯罪漫画家になれ」と。


特徴が出ますね。




肩書きもつくね。



動画でおっしゃっていましたが、
雑誌デビューも
電話一本だったそうで。




そう、糸井さんのね。
雑誌「ガロ」の編集部に
僕の目の前で電話をかけてくれて
「このみうらってやつの、ウシの漫画ね、
 おもしろくないけど、
 人は悪そうにないから、載せてやれば」
そのひと言で僕のデビューが決まりました。
すごいなこの人は、と思いましたよ。
糸井さんが電話で
「あしたから戦争」って言ったら
ほんとに戦争になんじゃねえかな、と感じました。






そして、ときはめぐり、
丑(うし)年がやって来たとたんに
世の中から思わぬ反応があったんですね。




ええ。各出版社から
「年賀状用にウシのイラストを描いてください」と
注文が舞い込みましてね。
その頃、谷岡ヤスジさんと僕ぐらいしか
ウシを主人公にした漫画を描いていなかったんです。
あとは、アンディ・ウォーホルくらいかな。




はははは。




これはいける、と、
干支作家になろうとして、
ま、だめでしたけどね‥‥。



漫画家デビューのきっかけとなったウシは、
OSAMU GOODSにも干支作家にも
なれないんだ、ということを、
みうらさんに教えてくれました。
ときは1980年。
みうらさんの、22個めの恩返しでした。





哺乳類、偶蹄目、ウシ科の動物。
肩の高さは150〜180センチ、体重0.45〜1.8トン。
肉や乳で人間がお世話になっています。


ウシ
信州で牛の軍団に襲われた経験を軸にして描いた漫画のウシが、
みうらさんの生み出したキャラクターとして丑年にブレイクした。
みうらさん待望のメジャーデビュー作品集『単になんぎなうし』は、
1984年5月25日に青林堂から発刊。

谷岡ヤスジ
漫画家。
破天荒なナンセンスギャグで、
1960年代後半以降、一世を風靡した。
「鼻血ブー」「全国的にアサー」「ヨルに近いヒルー」など、
口に出すだけで幸せになれるようなセリフが、
漫画のなかにちりばめられている。
谷岡さんの生んだユニークなキャラクターのなかに、
キセルをふかす牛、タロがいた。
1999年、56歳で他界。
ヤスジのメッタメタガキ道講座』『アギャキャーマン』など、
その著書は多数。

アンディ・ウォーホル
芸術家。
アメリカの、ポップアートの旗手で時代の寵児。
キャンバスにシルクスクリーンでマリリン・モンローの顔を刷ったり、
キャンベルスープやコカコーラのような日常品や、
エリザベス・テーラー、毛沢東などの著名人を作品にしていった。
牛をモチーフにした作品は、1966年の「Cow Wallpaper」。
1987年に死去。


OSAMU GOODS
おさむ・ぐっず。
1976年にイラストレーターの原田治さんが誕生させたキャラクター商品。
かわいくてポップなキャラクターは、
誕生から30年を迎えようとしているいまも、
女子の心をとらえてはなしません。

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2005-06-28 TUE
(c) Hobo Nikkan Itoi Shinbun 2005