先日、「ほぼ日」のオフィスで、
吉田拓郎さんの昔のお写真を整理していたら、
同僚の「ほぼ日」乗組員(女性・26歳)が
「これは、サングラスをはずした
みうらさんですか?」
と言っていました。




でしょう?
自分でも時間が経ちすぎて忘れてたけど、
僕の長髪のセンター分けは、
ぜったいに、拓郎さんの影響だと思うんです。




吉田拓郎さんに
なりたくてなりたくて、
いろんなことをなさったんですね。
家出、学園祭での「帰れコール」、髪型‥‥。




それから、拓郎さんは
皮のサンバイザーを
かぶっておられたんで、
僕も皮のサンバイザーを買って、かぶって。






サンバイザー‥‥皮の。




ええ。もういまでは
うちのおかんぐらいしか
かぶらないようなやつです。
それをかぶって、
拓郎さんと似たようなジーパンを捜して、買って、
おんなじようなジージャンを着て、
で、
まちがって下駄を履いたりして。




下駄を。




それは、中村雅俊さんのほうだったんだ。
なんだかわかんないうちに、合体しちゃった。






混じると一気に路線がインチキになりますね。




そうやって、拓郎さんとおんなじことやって、
おんなじこと言って、
おんなじような曲をつくって歌ったりして。
でも、あるとき「なれないな」と思ったんです。
それは、拓郎さんが
浅田美代子さんという人と
結婚なさったときでした。




これは真似ができない、と。




ええ。
でも、拓郎さんが結婚なさる頃には、
僕も、なんとなく
あきらめがついていたんです。つまり、
もう、
自分にしかなれないんだ
ということに、うすうす気づきはじめていた。
そんなときに、拓郎さんの結婚は決定的だったんです。
僕は拓郎さんからそんなことを
じっくり教えてもらったのでした。




みうらさんは、動画の最後の部分で
「47歳にもなって、
いまだに真似をしている人間が
いるでしょうか!」
と、おっしゃっています。
吉田拓郎さん。
わたしたちはみんな、
みうらさんの、あのロングヘアが大好きです。
拓郎さんが、そのおおもとにおられ、
何十年にも渡って無意識に真似をしつづけたみうらさんの
得体の知れない執念のようなものに
うっすら感動を覚えています。
みうらさんの、12個めの恩返しでした。





みうらさんは15歳にして、
その後何十年もめざしつづける人物「吉田拓郎」に出会った。


吉田拓郎(よしだ・たくろう)
ミュージシャン。
1970年に、「イメージの詩/マークII」でデビュー。
ツアー形式の全国コンサートや
徹夜野外イベントなどを日本ではじめて行なうなど、
70年代以降の日本の音楽シーンに多大な影響を与えた、
日本フォーク界のカリスマ。
拓郎さんの歌は常に
カラオケ屋さんの上位ランキングに入る人気ぶり。
ちなみに、森進一さんの「襟裳岬」、
キャンディーズの「やさしい悪魔」も、
拓郎さんの作曲です。

シモンズ
女性フォークデュオ。
1971年、デビュー曲「恋人もいないのに」がヒット。
お菓子の「チェルシー」の有名なCMソングは、
シモンズが歌ったのが最初。
このふたりのおかげで、みうらさんは、
つい、白いギターを買ってしまうことに。


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2005-06-10 FRI
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