渡辺真理さんのお菓子食べ部。ゲスト持田香織さん(Every Little Thing)
マリーナ部屋 PRESENTS
その5
エイベックス城の型破りなお姫様?
渡辺
持田さんて「エイベックスというお城にいる、
すごくかわいい、型破りなお姫様」だと思っていて。
持田
型破り?
渡辺
はい。あれ、そう思われないですか?
持田
型破り(笑)?!
渡辺
若干、思ってらっしゃらない?
持田
「すごい会社だなあ、
 こんなにいろんなひとが所属していて」
というふうには思いますけれど(笑)。
いろんなことをやっている会社ですから、
自分の身の回りの人たちとはよく話しても、
ほかのチームのかたとは、あまり接する機会が
なかったりもして。大きい会社ですよね。
渡辺
大きいですよ。
本当に大きいエイベックスというお城のなかのお姫様。
持田
やっぱり浜崎あゆみさんや倖田來未さんとかって、
すごく「歌姫」というような印象がありますけれど、
わたし、ひとりじゃないし、このごろ一朗さん、
バラエティ色も強いし(笑)。
渡辺
たしかに(笑)!
持田
(笑)なので、あんまり
「お姫様」というような感じは、しないんですよ。
でも、自分自身も、デビューした時とは、
いま、ちょっと違う感じはします。
渡辺
デビューした時っていうのは、どんな感じでしたか?
持田
デビューした時は、会社が一丸となって、
「よし、Every Little Thingというものを売るぞ!」
みたいなものを感じていましたし、
すごくプッシュしてもらっていたと思います。
それに最初の頃は、女の子1人に男の人2人という
イメージ付けがあったんですけれど、
いつ頃からか、そういいイメージ付けがなくなって、
一朗さんと二人三脚となったいまは、
いろんなことを、けっこう、
好きなようにやらせてもらえてる感じになりました。
そのことがすごく楽しいです。
いまは「いや、それはちょっと!」
って言う人はいないというか。
渡辺
はい、いないと思います(笑)。
だから心配もされてないでしょう?
つまりはナチュラルで型破りなお姫様なんだな(笑)。
持田
やっぱり「お姫様」が付くんですね(笑)。
渡辺
「あ、姫がそうしたいなら、どうぞ」みたいな。
持田
いえ! すごく普通な感じですよ。
普通な感じっていうことが
普通じゃないのかもしれないですけど。
渡辺
でも、持田さんがそれを望まれたから、
そうなったんでしょうね。
“普通”って大事だと思いますもん。
その「お姫様」っていう言われ方も、
「いや、違うんだけどなぁ」っていう。
そういうところを望まれて、
無理なく自然に
こうなってきたんだろうなって思うんです。
持田
「わからなくなっていっちゃったら嫌だな」
っていう恐怖感はずっとありました。
よく、「お金をたくさん手にしたら、
感覚がわからなくなっちゃうよ」
なんてことを聞いてたんですね。だから、
「え? どんなふうになるんだろう」と。
「そういうふうにならないでいたいな」と。
そのことをすごく思っていました。
でも、そういうふうにならないでいようって思うことが
もう、なんていうか、ちょっと変ですけれど。
渡辺
そういう景色を見られる人っていうのは
本当に少ないわけですから、
“普通”でいることの大変さは
なかなか理解とか共感とか、
してもらいにくいものですよね、きっと。
すごく大変だろうなって想像できるんですけど‥‥
持田さんはどんなふうになさっていたんですか、
「わからなく」ならないようにするというのは。
持田
わたしの場合は、まず、かげで悪口を言われたら
嫌だなぁ、っていうところから始まったと思うんです。
わたしの目の前では言わなくても、
いなくなった時に「あいつ、最悪だよ」みたいな感じに
言われていたらどうしよう? と。
なので、極力、「自分の中でのいい人像」を
すごく意識していた時がありました。
渡辺
20代? 売れた後ですか、それって。
持田
はい、そうですね。
振り返ると、きっと感じが悪い時も
いっぱいあったなと思うんですけど(笑)。
渡辺
そんなぁ‥‥。そうですか?
持田
というのも、昔なじみの人に会うと、
「あの頃、怖かったよね」と言われることもあって。
自分では思い出せないんですけど(笑)。
渡辺
それは、きっと、
「ちょっと話しかけないで」っていうような。
持田
それに、ちょっと三白眼だし(笑)!
渡辺
ご自分の文章の中でも
「白目ちゃん」て書いてますものね(笑)。
持田
周りにいる皆さんがお兄ちゃんたちだったので、
あまり喋らなかったんですよ。
たとえば、MAXさんとか、SPEEDさんとか、
「いいなぁ」って。なんだか楽しそうで、
学校の延長みたいな感じがして。
きっと大変なこともあったと思うんですけど、
見てる限りだと、「わぁ、すごい!」。
本番の3秒前くらいまで──。
渡辺
キャッキャしていてね。
持田
それを、すごくいいなぁと思っていた時がありました。
わたしを見ると、なんか髭の濃い人と、
ガリガリに痩せてる人と、みたいな。
しかも、小っちゃい時から知っている
お兄さんたちじゃないから、
わたしは自ずと静かにしている、みたいな感じで。
渡辺
そうですよね。
それが「ちょっと怖かったよ」
みたいに思われたんですね。
持田
ただ、すごく忙しかった時は、
覚えがなくても、
そういう時があったのかもしれないです。
渡辺
わたしは、持田さんを見ていて、
カッコいいなぁ~と思ってました、その頃。
持田
あ、ニコニコしない感じが?
渡辺
はい。不必要にニコニコしないところが、
とてもカッコよかったです。
大地をしっかと踏みしめて歌うスタイルも、
ずっと好きだったし、
簡単には笑わない感じの空気も非常に好きでした。
持田
でも、紅白とか、テレビに出ることは
やっぱり怖かったですよ。
渡辺
えっ、なぜ?
持田
芸能界のことを知らなかったから、
「ご挨拶」とか全然できなくて。
わたしがデビューした時、特に音楽の人たちの中では
そういうしきたりがあまりなかったんです。
だからお会いした時に、ちゃんと目を見てご挨拶しよう、
というくらいの認識で、大御所のかたとも
普通に話してもらおうなんていう気持ちでいたんです。
渡辺
むずかしいですよね。
持田
そうなんですよ。むずかしかったですね。
でも、むずかしいけど、
行ったらいいんだなっていうのを学んで。
渡辺
そういうのを経ながら、こう、持田さんとしては、
悪く言われないっていうか、
思われないようにしようという思いが、
強まってきたわけですね。
持田
今は、自分が思うほど、人は自分を思わないから、
「どう思われよう」みたいなことも
考えなくてもいいんだなっていうのは思うんですけど、
若い時は「極力、いい印象でいたい」
というような願望が強かった人間だと思います。
渡辺
じゃあ、さっきおっしゃっていたように、
20代の終わりくらいになって、
ちょっと楽になってきた?
持田
普通のことを普通にしていればいいのかな、
というような感じで。
取ってつけたようなものではなくて、
そうしたいと思った時に
そうすればいい、という感じになりました。
渡辺
それができることはすごいことですよ。
大変ではなかったですか?
普通のことを普通にするって。
持田
わたし、歌いながらにして、
音楽のことに詳しくないまま来てしまったんですね。
ほとんど勘違いのままに、
音楽をやってきているような感じがして。
なので、いま、自分が好きなミュージシャンの方とか
アーティストの人たちに会って、
音楽を一緒にやらせてもらったりするようになってから、
すごく変わりましたね、いろんなことが。
いろんな会社で働いてる人たちがいて、
「あ、ここはこういうやり方なんだ」
っていうことが見えてきたりとかして。
渡辺
うんうん。
持田
そうすると、「あ、それは素敵だな」
っていうことがわかってくる。
「わたしは今までマネージャーさんが
 送り迎えをしてきてくれたけど、
 それは特別なことだったんだ」と。
そうすると、マネージャーさんも、
送り迎えは仕事かもしれないけど、
それがちょっと減ることによって、
何か違う仕事ができるんだとしたら、
全然自分で電車で行くこともできるなぁ、とか。
なんかそういうふうな考え方になっていくと、
すごく楽しいな、と思えたんです。
お互いに余裕ができるし。
渡辺
じゃあ、マネージャーさんも含めて、
そのチームはやっぱり持田さんにとって、
とても大事なんですね。
持田
わたしは、一緒にやるってなったら、
すごく仲よくなりたいタイプで。
それは、ぶつかり合いながらも、熱く、
「やっていこうよ!」みたいな感じです。
いっぽう、一朗さんは、
ちょっと遠くから見守るみたいな感じで、
もちろん会社なので人事異動もあるんですが、
今、この20周年というきっかけもあったりするので、
すごくいい感じで、ひとつの方向に向かってる感じが、
すごく、します。
(つづきます)