葉っぱを お金に変えた人。  「いろどり」の横石知二さんから、グッドニュース。
第4回 なぜアフガニスタンから来るのかな?
糸井 横石さんがやっていることを
ぼくは冷静に考えなきゃいけないと思って、
ないしょ話のようにして
聞いたことがありますよね? 昔。
横石 それは、なにについてでしょうか?
糸井 「消費規模はどのくらいなんですか?」って。
横石 ああー、はい。
そうでした、
糸井さんに聞かれたことがあります。
糸井 「葉っぱビジネス」の
事業規模を聞いたんです、こっそり。
それがね‥‥
失礼な言い方になるかもしれないけど、
そんなに大きくはない。
横石 大きなものではありません。
すごい小さいです。
糸井 売り上げの大きさだけを見れば、
日本のニュースになるような
額じゃないですよね?
横石 ならないです、
ニュースになる大きさじゃない。
糸井 なのに、こんなに人気が出て、
外国からも人が来てるじゃないですか。
横石 ええ。
たくさん取材をしていただいています。
糸井 世の中みんなで
「売り上げ売り上げ」って言ってますよね?
そんな時代にですよ、
こんな小さな売り上げの事業に
人が大勢やってくること自体が、
もう、おもしろくってしょうがない。
横石 ほんとですね(笑)。
糸井 売り上げで言うなら、
もっとうまくいってる話がありますよね?
横石 いくらでもあります。
糸井 偽物のゲームつくった人のほうが
たくさん売り上げてるかもしれない。
横石 はい。
東京ではもう、
お話にならないくらいの額なんです。
糸井 なのに、人が集まってくる。
それはやっぱり、
グッドニュースだからなんです。
横石 そうですね。
ありがたいと思っています。
糸井 稼ぎかたもそうだけど、
おばあちゃんたちのお金のつかいかたも、
またニュースになってるじゃないですか。
「孫にこづかいをやった」とか、
「マンションの頭金をはらった」とか。
ニッコニコしてますよね。
あの町では、お金がピンピンしてるんです。
横石 みんな元気で。
糸井 そこに、アメリカから人が見に来たり、
テレビ局がカメラかついで
やってきたりするわけでしょう?
まあ、ぼくらもそのひとつなんですけど。
横石 数えてみたら、
昨年度だけでも37カ国のかたが来ました。
糸井 え?
あ、そうですか‥‥1年で37カ国。
はぁー、いやいや、すごいですね(笑)。
横石 アフガニスタンからも来ました。
なぜアフガニスタンから来るのかな?
と思ったけど。
糸井 それは(笑)、だから、
どんな国からみてもグッドニュースなんですよ。
──あのですね、横石さん、
この前ぼく「ほぼ日」で、
「自分たちの仕事は
 グッドニュースをつくることなんだ」
というようなことを言ったんです。
横石 そうですよね、わかります。
「ほぼ日」さんをみていると、
いつもそういう感じがしています。
糸井 「矢沢永吉さんとお金をテーマに公開対談する」
っていうニュースは、
「なんだそれ? おもしろそうじゃないか?」
ってなるじゃないですか。
そういうことがぼくらの仕事なんだと、
さんざん話していたんですよ。
横石 ということは、
上勝と「ほぼ日」さんは
すこし似ているのでしょうか。
糸井 すごく似ていると思います。
横石さんも結局、
グッドニュースを生産しつづけている。
「言いたいこと」を
生み出しつづけていますよね。
横石 そうです。
糸井 横石さんとぼくらは離れて暮らしているけど、
やっぱり、こう、
似たような悪あがきをしてるんですよ。
横石 悪あがき。
糸井 「売り上げ!」って言わずに、
お金のことを大事に考える。
横石 ああ、そうですねぇ。
悪あがきです(笑)。
糸井 うーん‥‥。
そうやってよくよく考えると、
「売上高」ができることっていうのは
小さいですねぇ。
横石 小さいですよ。
糸井 小さいねぇ。
横石 小さい。
さっきの話もそうです。
上勝に1500人の若者が
はたらきたくてやって来たっていうのも、
すっごい小さいですよね。
糸井 「たった」、なんですよね。
横石 たった、1500なんです。
糸井 そうですよねぇ。
横石 でも‥‥
違いますよね。
糸井 違う。
横石 違うんです。
糸井 お金が動いてる量は、
小川のせせらぎみたいなものなんです。
でも、
その小川をみんなが見に行けば、
そこはアマゾン川よりでっかいんですよ。
横石 ‥‥はい。

(つづきます)
2010-06-15-TUE
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