シェフ
シェフの糠漬け
1 届きました、80年ものの糠床。
シェフの糠漬け

届きましたよ、糠床。
実家の糠床。
おばあちゃんから受け継いだ、
いわくつき‥‥じゃない、
伝統ある我が家の糠床。
そのはじまりは戦前までさかのぼり、
戦時中は防空壕にまで持って入ったという
(というか、おばあちゃんが言い張っていた)糠床。
実家ではでっかいカメのような容器に入って、
台所の流しの下においてある糠床。
もう「ぬかど子」と呼びたいくらいかわいいあの子。
この子が、「わけ床」されて、
「ぬか漬け美人」(という容器)に入って、
クール宅配便で届きました。
ありがとう、かあさん!
お礼の、誕生日プレゼントのiMacは、
きっと、そのうち!

さて、「糠漬け美人」だけにしては
やけにでっかい段ボールを開けましたら、
いきなり野菜と、ママメモが出てきました。
メモは一筆箋に、ランダムに書かれております。



なになに。

出し昆布┓
しょうが┃入ってます。
唐辛子 ┃
古 釘 ┛
ぬ か 生ヌカ┓やわらかくなったら
    いり糠┛少し入れる
        その時は塩も少し入れる

酸味が出たら生卵の「カラ」を入れると良い


ほうほう。つまり、糠床には、
出し昆布としょうがと唐辛子と古釘が入っていると。
古釘っていうはたしか
「茄子の色を良くする」んじゃなかったかな。
そして、追加用の「糠」ですね。
酸味が強くなったら卵のカラですね。
わかりました、かあさん。

このメモの下に別のメモが。
なんでしょう。

キューリは丸で一晩

ナス=たて半分にして切り口はうす塩
合わせて皮は手のひらに塩をとり
よくすり込むようにもむ(ギュッギュッと)
これも一晩でよい

生卵のカラ 酸っぱくなった時

ヌカを足す時は
塩も入れる

唐辛子
昆布
時にはシャケの頭があれば
骨 皮

白ウリは
たて半分に切って中のワタを取り
塩を少々ふり
5時間で良い

小蕪は切り身を入れて漬け込むと一晩


漬け方指南と、維持の方法でしょうか。
卵のカラはわかりましたけど(二度言わなくてもねえ)、
「時にはシャケの頭があれば
 骨 皮」っていうのがすごいや。
頭‥‥は、東京のスーパーじゃ、
なかなか手に入らないですよ。
それに、手に入っても、
「ぬか漬け美人」には入らないですよ。
焼きじゃけを食べたとき、皮を入れますね。

そしてさらにメモが続きます。

タオルありがとう!

糠がまだなじんでないかも?
それとも釘がさびてなかったか?


タオルというのは、こないだ送った
「やさしいタオル」のことですね。

古釘、「なじむ」のかー。
つまりは入れっぱなしでいいってことだろうな。
「鉄さび」と「茄子の色」のことは
関係がよく理解できておりません。
不思議だなあ。
ぜひ鶴見さんに追究していただきたいところです。

そしてさらにメモがもう一枚。
字がちがうので、パパメモのようです。

茄子は煮たほうが旨い。
ゴマ油でいためて
ミョーガはタテに細かくきざんで
メン類の薬味がよい
ヌカミソに入れたが大したことなかった
まずくはないが。
以上

ミソ床は上手に出来た。


ち、父上、なぜこんな批判的なメモを!
これから糠漬けを始めようという息子に
「茄子は煮たほうが旨い」って!
「ミョーガは薬味がよい」って!
ひどいなあ。
ていうか、じつに役に立たないメモですね。
そしてさりげないつもりで、
糠床づくりを手伝ったことを言ってます。
たぶんこれが言いたかったんだな。
なにはともあれ、ありがとうございます。



さて、上の写真が、その糠床です。
きれいです。このもそもそ感がいいですね。
さあ、漬けはじめようっと!


(つづく)

とじる