ほぼ日刊イトイ新聞

 鶴見の糠漬け。

美味しいぬか漬けを作るには、美味しいぬか床!!
 

さてさて、前回は、
美味しいぬか床を手に入れるまでの話が途中でしたね。

実家や田舎からぬか床を送って貰ったという方は
もうぬか漬け生活に入っていることでしょう。
さて、マイぬか床作りに燃える方、いよいよです!

みなさん、ぬか床容器は手に入れましたか? 
3〜4リットルの容器に
1〜1.5キロのぬか床というのが目安です。

1キロのぬか床には
キュウリ2本とナス1本くらいが漬けられます。
意外と少ない?
でも、普通に朝晩白いご飯と一緒にぬか漬け……
という食生活の人って今では少ないのでは? 
毎晩夕食が和食ってこともないですよね? 
パスタやパンで……という日もあるでしょう。 
それに時には外食だってしますよね??

あんまりたくさん漬けると、最初はよくても、
ああ、今日もぬか漬け食べなくちゃ!と
ぬか漬け中心の生活に。
それはちょっと煩わしい。
そうならず、そろそろ漬かり頃かな? 
古漬けになったけどいいかも?と
ゆるゆるとぬか漬けライフを楽しむには
1キロくらいが適量でしょう。
(あくまでも目安ですよー。
 もっとたくさん作る場合は
 下記の量をそのまま増やしてください)

というわけで、1キロのぬか床の作り方です。

用意するもの

炒りぬか 1キロ
塩  150〜200グラム
お湯 1リットル
昆布 4センチ角くらい
唐辛子 1本

準備するものはいたってシンプル。
なので、ひとつひとつ吟味したいところです。
これから毎日お世話するんですから。

炒りぬか

ぬかは、お米屋さんで安く買えます。
でもお米屋さんでくれるのは「生ぬか」です。
生なので、腐りやすく、ゴミを除いたり、
水分を飛ばすために炒ったりと手間がかかるので、
市販の「炒りぬか」が使いやすいです。
ネットのお米屋さんでも
炒りぬかを扱っているお店が結構あるので、
こだわりのお米のぬか
(やっぱり農薬は心配だから有機米のぬかだよね!
 とか、コシヒカリのぬかが
 おいしいんじゃないか?とか)が
欲しい場合には探してみるのもいいかも!

塩は、是非自然塩を。
いわゆる食卓塩ではなく、
ミネラル分が多くうまみ成分がある
自然塩の方が味わいの深い漬け物になります。
塩の量は目安です。最初は塩分控えめにして、
後で足して調整してもいいですが、
あまり塩を少なくすると雑菌が増えてしまうので注意。

お湯

せっかくなので、ミネラルウォーターを使いたいです。
あ、エヴィアンとか外国の硬水はダメですよー。
やはり日本のお水が合うんですね。
沸かすから、普通の水でもOKですけど……。

唐辛子&昆布

これに関してはあまりこだわらなくても大丈夫。
唐辛子は乾燥したものでいいし、
昆布は普通のだし昆布でOK。

* 容器は煮沸消毒しておきましょう〜。



さて作り方です。

(1)沸騰したお湯に塩を入れて溶かし、
   さましておく。


(2)ぬかに(1)を入れてせっせと混ぜる。
耳たぶくらいの固さになるくらいに。
ボソボソとして固いようだったら、少し水を足す。

(3)唐辛子と昆布を投入。
唐辛子は細かく刻むとぬか漬けが辛くなりすぎるので、
1本のまま、昆布は4センチ角くらいのを1片混ぜます。
量はお好みで、もっと多くても少なくてもOKですが、
とりあえずこのくらいからスタート。
ぬか床に唐辛子と昆布?なぜ?
とお思いでしょうけど、
とりあえず、いれておいてください。
今度説明しますね。

これで、基本のぬか床はできあがり。
なんて簡単なんでしょう!!
でもまだ「基本の」です。

だいこん

乳酸菌の活躍するフィールドの準備はできました。
基本のぬか床は
まだ熟成してない=乳酸菌はまだ少ししかいません。
美味しい漬物を作ってくれるほどにはいないのです。
なので、ここに野菜を漬けても
何だか塩辛いだけで
風味もなーーんにもないもんになってしまいます。

美味しいぬか漬けのために、もっと仲間を増やし、
元気に活動(醗酵)してもらわないと! 
ぬか床で乳酸菌や酵母を繁殖させ、
どんどん増やしましょう。
そのためにすることがひとつあります。

「捨て漬け」ということをするのです。

ぬか漬けの元になる乳酸菌は
野菜にたくさんついているものらしいです。
(学会的には諸説あるようですが、
 ここでは、野菜由来の乳酸菌がいる説を採用!)
ですから、まずは野菜を漬け込んで菌を増やします。
水分が多く、漬かりやすいものを漬けましょう。

大根の葉やカブの葉、
それがなければキャベツを一枚一枚ばらして
(一番外側のごわごわの葉でもOK)、
よくぬかをまぶして漬け込みます。
一晩経ったらそれを
ギューーっとぬか床の上で絞り(この汁は大事な旨み)
この葉っぱは捨てます。
そしてぬか床を下からしっかりとかき混ぜて、
新しい葉っぱを投入。
これを1週間ほどせっせと続けると、
だんだんと醗酵が進み、
香りもいわゆるぬか漬けのものになってきます。
これはぬか床が育ってきた証拠です。

1週間ほどたったら、
キュウリを漬け込んでみましょう。
(漬かりやすくて味も分かりやすい)
我が家のぬか漬け第一号の味は? 
塩辛い? 何だかぼんやりな味? 
多分まだまだ塩漬けに少しぬか風味?
というくらいの味でしょう。
それはまだまだ乳酸菌も酵母も少ないせい。
何十年も漬けてるお袋の味と
1週間の新米ぬか床じゃぁ年季が違うのは仕方ない。
ここは、少々我慢しながら
せっせと漬けるしかないのです。
でも裏技もあるよ(注1)

だいこん

ぼんやりな味だったら、
もう1日漬けて古漬けっぽくして食べるのもあり。
自分好みのぬか漬けが何日でできるのか?
は、漬ける野菜によっても違うし、
「温度」による醗酵の進み具合でも
異なるのでいろいろ試してみてください。
でも最初は、キュウリやキャベツ、カブなど
漬かりやすいものから始めた方がよさそうですよ。
1日目のが美味しくなくても諦めないで、
せめて1ヶ月は続けてみましょう! 
そのうちに我が家の美味しいぬか漬けができるはず。

さて、みなさんの家にぬか床が備わったところで、
次回は、「冷蔵庫を使う」ということについて、
お伝えしましょう。
今年みたいに暑い夏だと、
キッチン脇や床下でぬか床の世話をするのは
結構ホネが折れますよね‥‥。
 

「鶴見の糠漬け。」は、毎週火曜日に更新予定です。どうぞお楽しみに。

糠漬け参考図書

『夏目家の糠みそ』
出版社: PHP研究所 SBN: 4569579604 
価格: 650円 (税込)

著者は、夏目漱石の孫。
漱石の生きていたころから受け継がれている糠床が登場。
その他、夏目家の食卓にまつわる随筆。

2007-09-18-TUE