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はれ
 
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第13回 娯楽ファンの現状。
ゲームファンである以前に、
大きなくくりとして娯楽ファンである僕は、
この時期、眠るまえの数時間をなにに費やすかというと
やはりオリンピック観戦ということになる。
説明するまでもなく、
それはオリンピック中継が生放送だからである。

そういえばこれと同じことを以前に感じたなと思ったら、
なんのことはない、それは4年前のことだった。
つまり、シドニーオリンピックである。
シドニーオリンピックが開催された2000年の夏、
ぼくの心をぎゅうとつかんでいたのは
『ドラゴンクエストVII』であった。
この大好きなロールプレイングゲームの最新作を
ぼくは嬉々として進めていたのだが、
当時、どちらかを選ばなければならないときは
あっさりオリンピックを優先していた。

そういえば、2年前のワールドカップのときもそうだった。
『ファイナルファンタジーXI』をプレイするために
わくわくしながらネットワークの配線を
いじっていた僕だったが、
日本対トルコ戦が始まるやいなや、
否、日本対トルコ戦が始まりそうだと意識するやいなや、
とりあえず一切をやりかけのまま放り出して、
テレビのまわりをうろうろし始めた。

スポーツとゲームのどっちが好きとか、
どっちの娯楽が上かとか下かとか、
そういう問題ではない。
純粋に、そのときどきの娯楽の優先順位の問題である。
「すげえおもしろい面子で集まってるから
 いますぐ来いよ」と電話があったら、
ゲームもスポーツも放り出して
あっさり出かけちゃうことだってあると思う。

その意味でいうと、娯楽ファンというのは
けっこうたいへんなのである。
その場その場で自分がほんとうにおもしろいと
思っているものに食らいつかないと、
対象はあっという間に
ぬるくなったり腐ったりしてしまうのである。
しっかり遊ばないと、しっかりたのしめないのである。
いや、そうはいっても遊んでるだけなんだけど。

さて、今回のアテネが、
シドニーやワールドカップと違うのは、
中継の時間ががっつり深夜だということである。
シドニーは日本とあまり時差がなく、
深夜に中継があることはほぼなかったように思う。
前回のワールドカップにいたっては、
あまり知られていないと思うけど
じつは日本と韓国で開催されていたので、
これまた僕の深夜の娯楽ライフは
平素と変わりがなかったのである。

ところがぎっちょん、
アテネと日本の現在の時差は6時間である。
つまり、日本の午後6時は、アテネの正午である。
言い換えるならば、日本の正午はアテネの午前6時である。
日本で『笑っていいとも!』をやっているころ、
カムチャッカの若者はキリンの夢を見ているのである。
なにがなんだかわからんわい。

話の流れが伸身月面宙返りのように放物線を描きながら
もとにもどってくるとするならば、
アテネでばりばりに競技をやってる時間は
こっちにしてみれば超深夜なのであって、
超深夜に「どれどれ」という感じで
『ピクミン2』を始めようとする僕にとっては
完全に電源の入れ時がない。

たまに、競技の切れ目にプレイはしているけれども、
やっぱり腰を据えているというわけではないので、
ちょこちょこピクミンを増やしたり、
赤い実や紫の実をえっちらおっちら
運ばせたりするくらいである。
油断すると、ついその「ちょこちょこプレイ」に
身を入れすぎてしまって、
「男子200メートルなんちゃら」とか
「女子なんちゃら級決勝」とかを
見逃してしまいそうになるので、
気持ちを入れすぎないようにがんばっている。

なんだかこうやって説明すると、
ひじょうに馬鹿馬鹿しいことに
一生懸命になってきているような気もしてきたけれど、
まあ、ことほどさように娯楽ファンは
たいへんだということなのである。
いや、でも、ま、遊んでるだけなんですけどね。

2004-08-19-THU


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