イメージ イメージ
 
01 (第20回の4)
ゲームボーイカラー専用・アドバンス対応ソフト
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜大地の章」
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実〜時空の章」

任天堂・宮本茂&CAPCOM岡本吉起会談 その4
カプコンの色と、任天堂の色。
 
イメージ
イメージ
●岡本吉起
イメージ
●山下佳文
イメージ
●宮本 茂
「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実<大地の章><時空の章>」
がいよいよ2月27日に発売されます!
ゲーム制作を担当したカプコンの岡本さん、山下さんと、
任天堂の宮本茂さんの座談会、今回は、
宮本さんとカプコンのみなさんが
どのようにして「組んだ」のか、
その仕事を中心にお聞きしましたよ。

※この座談会は2001年始めに行われました。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
■座談会出席者
 
■岡本吉起 CAPCOM常務取締役
 
■山下佳文 CAPCOM執行役員
 
■宮本 茂 任天堂株式会社取締役情報開発本部長
 
イメージ ──:
宮本さんがカプコンさんに
助け船に行った時のお話を
お聞きしたいんですけど、
具体的にはどういうふうに
「助け」られたんですか?
 
岡本:
まずカプコンの作業を
見に来てもらいましたよね。

 

 
宮本:
そうですね。
でも、応援に行っただけで、
助けてないですよ(笑)。

 
岡本:
いやいや、助けてもらいましたよ。
宮本茂が来る、っていうだけで
うちの連中、ざわざわしましたもん。
そのへんの芸能人のときとは全然違いますからね、
ざわつくメンバーが。
芸能人が来る時には
女の子がきゃあきゃあ言うてんですけど、
宮本茂が来ると、
なんかメガネかけた技術系のやつらが
ざわざわざわざわ……。

 
一同:
(爆笑)
 
イメージ
 
岡本:
宮本さん、銀ぶちメガネに人気があるんですよ(笑)。
低い声で「来るでー、宮本さんー」言うて。
んで、もう、みんな、やる気になるわけですよ。
モチベーションが上がって。本気やでー、言うて。

 
宮本:
あ、ありがたいことですよね(笑)。

 
岡本:
しっかし、みんな、
「宮本さんと仕事できるんやったら赤字でもええ」
とかぬかしやがるんです。
それはやめろ、それは言うな、
それは言ったら怒るよって。
経営成り立たんもん(笑)。

 
山下:
それね、結構上の連中まで言うんですよ。
宮本さんと仕事できるんやったら、
僕はもう今回の、赤字でもいいです、て。

 
──:
宮本さんが、
会社に来てくださったということで、
ずいぶん雰囲気が変わったんですね。
 
イメージ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


イメージ
 
山下:
そうなんですよ。


──:
それがいつぐらいの話ですか。
 
岡本:
1年……、

 
宮本:
そうですね。ちょうど1年ほど前ですね。

2000年の5月ぐらいに出るはずやったんですよね。
トータルでどれくらいかかりましたっけ。

 
山下:
2年くらいです。

 
宮本:
まあ任天堂でいえば
だいたい通常のスケジュールなんですけども。

 
──:
カプコンさんにとっては、長すぎるんですか?
 
山下:
んー、やっぱり1年、長いですね。

 
宮本:
それはねえ、ほら、「ゼルダ」ってもう
シリーズになってるから、
僕ら自身がやれば、
都合の悪いとこは切り取って、
目つむってとかやれるけど、
外にいて、預かる人にしてみたら、
過去のこんだけの話に矛盾したらあかん、
っていうのがあるでしょう。しがらみがいっぱい。
それを全部満たしつつ、新しいことも
やらないかんっていうのがあるんで、
その確認作業がすごい大変やったんですよ。

 
イメージ
 
イメージ
──:
以前の「ゼルダ」の世界観と、
矛盾をきたなさいようにするための
確認作業ですね。
 
宮本:
けど単独でゲームはおもしろくないとあかんから、
シナリオはやっぱシナリオとして
うんと書かんとあかんし。

 
岡本:
いやあ、その確認作業なんですけど、
任天堂さん、
まとまってるものをね、
持ってはらへんのですよ(笑)。

 
宮本:
形に残しているわけじゃないからね。

 
岡本:
だって、「ゼルダ」の世界観、
ていう決まりごとみたいな
マニュアルがなかったんですよ。

 
──:
それは宮本さんの中にはあるんですよね。
 
イメージ 岡本:
あるんですよ。でも文章化はされてない。

 
宮本:
だから、それをはっきりするだけでも
「助け」になったんじゃないか(笑)

 
岡本:
それがなかった。いただけなかったんです。
だから、頭から出せー! っていう
感じですよー。(笑)
まずは自分たちが過去のゼルダをやって、
こんな話とこんな話とこんな話があった、
だからこの隙間のところは
自分たちで勝手に埋めて、
こういう世界観ならおかしくないよ、
っていうふうにして
基本的な物語をつくっていったんです。
さらに10人以上のシナリオライターを動員して、
宮本さんと一緒に連日会議をして……。

 
宮本:
そうそう、僕も一番よく働きましたよ。

 
岡本:
(笑)ありがとうございます。

 
イメージ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


イメージ
 
宮本:
過去のシナリオをまとめますよね。
そうすると今回のお話は
このシナリオの前にはまるんだとか、
こういう設定でいこうとか、
っていうのを決めるんです。
それが……、僕も、
そんなに真剣に考えたことなかったことで、
その作業を、プログラム組みながら
やってた期間が結構長くて、
8か月とか、かかってるんですよね。

 
岡本:
任天堂さんとカプコンを行ったり来たりで。

 
──:
具体的に、カプコンさんがいいと思ったことが、
宮本さんの世界観としてはダメだった、ということは
あったんですか?
 
岡本:
あ、なかったですよね、それは。

 
宮本:
うん、ただね、やっぱり、
カプコンさんで作るからおもしろい、
ていう部分があって。
やっぱりカプコンさん、
キャラデザインとか、お話の
独特のカラーがあるんですよね。
で、うちってわりとほら、プレーンなもんが
多いじゃないですか。
あまり、トッピングいっぱいしない、
素材で食わしたいっていう。
だからこてこてにトッピングされてると、
カプコンらしさが出てていいのか、
やっぱり「ゼルダ」らしくないからって
外さなあかんのか、っていうとこの悩みは
すごい多かったです。
今でもだからまだ、フレーバーは、
半分任天堂で、上のほうカプコンみたいな印象です。

 
岡本:
デコレーションが、だいぶされてます。

 
イメージ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


イメージ
宮本:
うん、不思議な商品になってますよね。

 
──:
カプコンさんとしては、カプコンフレーバーが
濃いものを作りたいんですか?
 
岡本:
いや、そんなことないですよ。

 
宮本:
そんなことない。ただスタッフは、
それが肌に合うわけで。

 
──:
自然にそうなる。
 
宮本:
うん、自然な仕事なんでしょう。
だから無理したら
おもしろくないでしょ。

 
岡本:
自然とね、毎日毎日の
刷り込みの結果が
こんななっちゃったんですよ(笑)。

 
──:
そこにカプコンの社風が出ているわけですね、
自然と。
 
岡本:
うーん。刷り込みすぎたんでしょうね、
いろんなことを。

 
宮本:
そう。で、京都に来て、
シンプルなもののよさにも
気づいたりして(笑)。

 
岡本:
……(笑)ちきしょーっ!!

 
一同:
(爆笑)
 
山下:
違う違う!
新しい色に染まって帰ってくるんです!

 
岡本:
そうなんですよ、ほんとにね。
ずいぶん、だから、いろんなことで悩みました。
でもね、まだ懲りてないんです、僕は。
まだ懲りてない、まだ懲りてないから、
まだ「ゼルダ」を作りたいんですよ。

 
──:
もっと作りたい、ってことですよね。
 
岡本:
そう。もっと作りたいと。
たぶんね、宮本さんは俺たちにまた
やらせてくれるに違いないと。
今回、制作スケジュール的には失敗したから
次回は失敗がないよ、と、こう思ってるわけ。
自分ではね。遠回りしたけど、遠回りした分、
ぜんぶ1個ずつ間違えたこと潰してきたんで、
今度は、今度はもっと「ゼルダ」らしい
「ゼルダ」を、わりかし早くできるんじゃないか、
と思ってるんですよね。

 
宮本:
任天堂オリジナルの「ゼルダ」を
新ハードで出さないとね。
そうなるとまた忙しくなるし。
携帯までやろうとすると
「もうゲームキューブで手一杯でしょ」
って言われる(笑)。
そしたらやっぱりカプコンさんに
お願いしようかな?(笑)

 
岡本:
たぶん、大変だと思うんですよね。
でそれはもう、
助けるのは俺だなと思って。援軍、援軍。

 

  イメージ
 
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 
宮本さんという人の頭の中にあった
「ゼルダ」という世界観を、
崩さず、壊さずに、しかも新しいものを、
他の人がつくる。ものすごぉぉぉく、
やりがいのある仕事だろうなあ、
でも、ほっんとに、たいへんなんだろうなあと
想像しました。
次回は、カプコンさんの「チーム」について
お聞きしたことを、お届けする予定です。
お楽しみに!
 
  2001-03-02
 
back