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「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の情報・産地直送!
宮本茂を核にしてまとまったゼルダチームは、
あきれるようなしつこさで64のゼルダをつくった!
そのしつこさの一端を、
しつこくインタビューしてきました。
そのインタビューを少しずつ編集して
「ほぼ日の近くの大きな樹の上から」
お伝えしましょう。


(第1回の16)
今度のゼルダは
「やりなおしがすごかった」らしい。
その2


bicycleトラブル、ですか?
トラブル、そんなもん、毎日あった(笑)。
いちばん悩まされたのはね、
ポリゴンで壁をつくってますよね。
リンクって、すごい勢いで走ったり、
フックショットで飛んでいったり、爆発させたりとかって
いろいろしているんですけど、
動きが激しくて、壁をつきやぶってしまったり、とかね。

最初に決まっていたリンクの基本性能があって、
それにあわせて作ってるんですけど、
途中でその性能の設定を
変えちゃったりするんですよ。
そうすると、それまでその基準に合わせて
作っていたマッパー全員がマップを
つくり変え
なきゃいけなくなっちゃったりして、
「そんな話、聞いてないよ〜」ってことが、
いろんなところであったりして。

例えば「水の神殿」も、全部やり直しましたよ。
水の中に潜っていられる時間を途中で変えたんで、
それじゃ、このアイテムがここにあっちゃ
まずいだろう、ってことが、
今年の夏頃まではいっぱいありました。

でも、「リンクがいきいきするためには、
このくらいのスピードが必要だ」
とかいろいろ言われると、
「うーーーーーん、わかりました、直しましょ
ってなるんです。

どこでどっちを直すかっていうのは、
説得力のあることを言ったほうが勝ち、
みたいなところがあるんで(笑)、
ずいぶん泣かされました。
ま、ぼく自身はあんまり泣いてないほうですけど。

マッパーがいちばん泣きましたね。
3人いるんですけど、彼らがいっちばん苦労しました。
今(※)もまだ苦しめられてる。

ついさっきの話だけど
「フックショットの性能、変えたよ」って言われて
「え!?」っていって、慌ててあちこちやってみたら
「ダメだよ〜、ここ、壁抜けしてるよ」っていう、
そういう状態ですから。あははは。
ちょっとした微調整で、
結果的に大きなバグを生んだりすることも
いっぱい出てきますからね。
途中からそういうことはやるな、と言いたい(笑)
(※この取材は開発の大詰めの段階で行われています)
      (ダンジョンデザイン・小野塚英二さん)

 

bicycle スーパーマリオクラブ(※)の影響は大きかった。
モニターをとった後では、そう、全体の30%くらいかな、
ガラッと変わりましたから。
いちばん最後まできびしいのはプログラマーですね、
やっぱり。特にデバッグの期間中は。
もう、すっごいきびしいですよ。
レポートのあまりの鋭さに、
クラブスタッフのうちの何人かは
名前を覚えてしまいました(笑)。
(※任天堂のゲームテスティンググループ。
 今回のゼルダでは100人以上の体勢でした)
         (プログラムディレクター・岩脇敏夫さん)

 

bicycleユーザーやモニターの方からも
「ここはこうすべきだ!」っていうコメントが届きます。
なかにはけっこうマニアのかたっていらっしゃるんでね、
カメラのアングルまで細かく指定してくる方とかもいて。
「こうした方がいいですよ」とまで言われて(笑)。

自分の意図したものが伝わってない場合には、
そうか、と思って直すんですけど、
自分はあえてこう見せたかったんだ、という場合には、
申し訳ないのですが、そのまま行かせてもらいました。
         (シネマシーンディレクター・森 直樹さん)

 

bicycle最初は、こんなに小さくてええんやろか、
という規模で考えていたものが、出来上がってみると、
意外とデカいと気がついた。
そのくらい、ゲーム開発は難しいんです。
ああ、ほんまに大きかってんなあ、と思ってます。

実際の広さでいうと、そうやね、「枚方市」くらいとか。
いや、ほんとはそんなに広くはないかもしらんけど、
フィールドが小さくても、やらなあかんことが多いから。
時間でいうと、
ふつうの人がガイドブックとか見ないでやると
たぶん60時間くらいはかかるんじゃないかなぁ。

Mr.Tezuka

ぼくはあえて現場には立ち入らないようにしてました。
入ると抑えがきかへん。
そしたら「納期」が延びるでしょ(笑)。
        (ス−パーバイザー・手塚卓志さん)

 

bicycle昔に比べたら、労力とか使うようになりましたね。
昔は、ぼくが絵を描いて、ぼくがストーリー考えて、
ぼくがルール決めてたんですもん。
今、そんなことやったら、10年かかっても出来へん(笑)。
こんだけの人数をかけなあかんかったっていうね、
そんだけの時代っていうことですね。

今までのゼルダというゲーム、
つまりアドベンチャーゲームっていうジャンルは、
どうも他のジャンルに比べて
軽く流されがちだったんだけど、
今回はゲームの中の登場人物を、エキストラも含めると
200人くらいの設定に増やしていて、
その意味では、ずいぶん強化したんです。
それでもね、今回はなにせ広いんで、
出て来る人間を増やして、
そんだけの人数を動かしてみても、
空間に出てくるひとの実感としては
「少ない」って言われてしまう。
こんだけのひと動かすのって、
ほんとはものすごい大変なことなんですけどね。

広さの比較でいうと、
え? 手塚さんは「枚方市」って言ったの? あははは。
そうやね、京都市くらいは、あるんちゃうかなぁ。
ハイラル平原が御所のあたりやとしたら、
デスマウンテンが比叡山か、鞍馬山くらいやね。
「ああ、ほら、あそこに見えるわぁ」って言うてて
「あれが霊山だ!」って指さすような感じやね。
そう考えると、京都市に200人しかいない、ってことか。
確かに少ないね(笑)。

京都には9つのお寺がありまして、
その9つのお寺に入ると、
それぞれに恐〜いお化けが出て来るんですわ〜、
っていうような作りなんですね。
9つのお寺を回ろうと思ったら、
何日もかかるんですよって。
ひとつのお寺に入って、お参りして、由来とか聞いて、
あちこちすみずみまで見て回ったら、
それだけで1日かかるんですわ。
そして、そこの住職をひとりひとり助けてって、ね。
あ、それ、ええな(笑)。
こんどはそれやな。
「京都市探訪ゲーム 住職を救え!」ってね。

救うのは、誰なんかなぁ。
市長かな(笑)?
      (スクリプトディレクター・大澤 徹さん)

 

というところで、(第1回の16)
「今度のゼルダは
『やりなおしがすごかった』らしい その2」は終り。
これから、さらに加速度つけて進んでいきますから、
新しい更新をこまめにチェックしてください。

 


1998-12-19-SAT


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