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「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の情報・産地直送!
宮本茂を核にしてまとまったゼルダチームは、
あきれるようなしつこさで64のゼルダをつくった!
そのしつこさの一端を、
しつこくインタビューしてきました。
そのインタビューを少しずつ編集して
「ほぼ日の近くの大きな樹の上から」
お伝えしましょう。


(第1回の14)
今度のゼルダは
「マリオのときに半分できてた」らしい。


bicycleマリオから発生した64の3Dゲームを、
どうしたらもっと「間口」を広げられるのか、
と思っていました。
ですから、マリオと似てるようにも見えるけど、
内部的にはかなりヴァージョンが
上がっていると言えると思います。

このゲームが、どれだけこれからの3Dゲームの基本
ベーシックな操作のお手本になるだろうか、
ということを考えながらそのレベルまで煮詰めたい、
と思って作っていましたから。
ある程度までは出来たんじゃないか、と思ってますけど。
     (スクリプトディレクター・大澤 徹さん)

 

bicycleマリオの後だったんで、マリオでは出来なかったことを
やってみたかったというのが、
まずはスタッフの原動力だったと思います。
マリオでやったことが、64の性能の6割だとしたら、
ゼルダは8割、9割まで引き出すことが出来たと思います。

Mr.Teduka

開発途中で子供たちにも
モニターを取ったりするんですけど、
子供ってね、ゲームさわってるだけで楽しいんで、
ほんとに面白がってるのかどうかは、実はわからないんですよ。
でも、いろいろやっとかんとね。
いろんなひとがいろんなふうに楽しめるようにすること、
その意味では、ぼくら「ウケねらい」みたいなことは、
常にいっぱい考えてますよ。
           (スーパーバイザー・手塚卓志さん)

 

bicycleマリオつくってるときに、もう
「ゼルダ、半分できたよね〜」って言ってたよね。

                   (宮本さん)

 

bicycle今回、64というハードの性能をどう引き出すか、が
ひとつのポイントだったと思います。
例えば、他のゲームでは、大きい「面」に対して
粗くテクスチャーを入れていったりするようなところを、
いかに少ない容量で、お安く、お手軽に、
豊かな見せ方をさせるためにはどうしたらいいのか?
そんなことを新たに考える必要があったんです。
やってみたいことが次々と出て来て、
それをどうハードに乗せて表現していくかということ、
その方法を見つけて、そのうえで、
デザイナーが指定したやりかたをそのままTV画面上に
表現させていくにはどうしたらいいか、
ずっと模索していました。
規模もでかかったし、そこに投入している技術力って、
すさまじいものがありますね。
         (フィールドデザイン・宮永 真さん)

 

bicycleよく、どんな仕事しているの?
って聞かれますが、
「64を使って『ネットスケープ』
つくってます」
と答えています。ようするに、
3Dブラウザ、のつもりでつくっています

ゲーム上で、いろんな人と人とが、
それぞれに情報をもってますよね。
ここではある世界に行かなきゃいけない、とか、

お使いしなきゃいけないとか、歩かなきゃいけない、
ジャンプしなきゃいけない、戻さなくちゃいけない、とか。
そういう企画をまず最初につくるのがぼくの仕事です、
という言い方をしてるんですけれども。
いわば3Dの環境、システムの「器」をつくる作業ですね
まず器をつくって、そこにストーリー要素を
組み込めるようにするまでのシステムをつくるのが、
ぼくの仕事なんです。
       (3Dシステムディレクター・小泉歓晃さん)

bicycle基本的には、2Dの昔のゼルダと変わりないことを
やろうとしていながら、もうひとつ加わった
「高さ」というものにすごく苦しめられて、
それらの処理をうまくやろうとすると、
どんどん重くなってしまって、サクサク動けない。
いつもそれとの戦いでした。
地形が変わって、例えば段差がひとつあるだけで、
戦いかたとか、敵の出かたとかが変わってくるんで、
そういうことは2Dの時にはなかったのでね。

足のある敵って、
地形の段差をチェックして歩くんで、
プログラムが重くなるんですよ。
で、マップ上に現れる敵の考え方を、
基本的に
「浮いている」キャラ
しなくちゃいけないんだけど、
浮いてるっていうと「お化け」しかないでしょ。
それは変だし。
どういう時間に出すか、ということでも、
地形とのからみがすごい難しくて、
どういう地形かによって処理が重くなるし、
最後までそれには苦しめられました。

デザイナーはデザイナーで、いろんなエフェクトを使って、
こういうときはこうしよう、なんて思うんですけど、
それもまたどんどん重くなっちゃうんで。
途中からはもうここはあきらめよう、
ってお願いしてましたね。
だから結果的に敵の数は、このくらいでよかったかな
これ以上多いと、整理しきれなくなってくると思うんで。

3Dの世界だと「カメラ」ってのがありますから、
大事な何かを見落としていたり、
あるルートをちゃんと通っていれば見えるのに、
カメラの位置をちょっと変えたことで、
見えるはずのものが見えなかったり、
とかってことがあるんですよね。
そのためのフォローとして「ナビィ」を入れたり、
定点の固定カメラで、
あらかじめそこが見えているようにしたり、
というような工夫はしています。
メモリの都合で、全部というわけにはいかなかったですが。
        (ダンジョンデザイン・小野塚英二さん)

 

bicycle今回のゼルダは
「ツール」の開発を何とかしたかったんですよ。
プログラマーが、ひとつひとつ手をかけなくっても
いいように、ツールがあれば簡単に敵を置いたりできる
というようにしたかったんです。
マリオのときからもちろん開発は始めてたんですけど、
けっこう大変な部分もあって、十分機能していなかった。
今回は何とかしたかったんで、まず最初に
これだけは先に作ってしまおうと思ってやっていました。
      (プログラムディレクター・岩脇敏夫さん)

 

bicycle最初はなんにもなかったんです。
何にもなかったんで
まずツールをつくるところから始めました。
何が必要か、どういう作業が出てきそうで、それに対して
どういうところに対応しなきゃならないのか、考えました。
やろうとしていること、やろうとしても出来ないこと、
その見極めが、必要でした。      
     (シネマシーンディレクター・森 直樹さん)

 

bicycle「ツール」というものがありまして、ネタ用の
オブジェクト
がいくつか選択できるようになっていて。
そのダンジョン固有のネタは動かせないんですけど、
動かせるものについては誰でも使えるようになっているんで、
スタッフそれぞれが持ってきて、アレンジし直して使っています。
50くらいはあるんじゃないかなぁ。
                 (小野塚さん)

というところで、(第1回の14)
「今度のゼルダは
『マリオのときに半分できてた』らしい」は終り。
これから、さらに加速度つけて進んでいきますから、
新しい更新をこまめにチェックしてください。

 


1998-12-13-SUN


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