ニュースのご近所。
あの出来事、近くで見るとこんな感じ。

第69回 サンフランシスコ・人間のうんこ問題。


みなさん、こんにちは!
「ニュースのご近所」がはじまった頃、
フランスでの犬のフン公害についてのメールが
何度か届き、こちらに掲載しておりました。

ところが、今度は、アメリカから、
「人間のモノ」で大問題になってるんだよ、
というメールが届いているのです。
さっそく、ご紹介いたしましょう!







・先日フランスへ旅行に行きました。
 とても楽しい旅で、
 美しい景色を満喫してきたのですが、
 閉口したのは至るところに転がっている
 犬のうんこ(すみません)です。
 あまりにもたくさんあるためか、
 「踏むときは左の足で踏むと幸運が訪れる」
 とかいう迷信まで聞かれました。
 幸い私たちはそのような事故にも遭わず
 帰ってきたものの、度合いの違いさえあれ
 世界中が似たような問題で
 困っているのだなあと思わさせられました。
 
 さて、私の現在住む
 カリフォルニア州の北部には、
 マウント・シャスタという山があります。
 こちらでは、毎年入山者が増加するに伴い、
 犬ではなく人間のうんこが問題になっています。

 先日の新聞に載っていたのですが、
 この問題に対処すべく、マウント・シャスタをはじめ
 各地の国公立自然公園では、入場の際に
 人間用うんこバッグキットというのを
 無料で配布しているそうです。
 キットは、防水加工済みの袋2枚、
 ビニール袋1枚と、約28×43センチの説明書兼
 うんこターゲット用紙で構成されます。
 まず、説明書を読み終えたら、
 その紙を裏返して、地面に石などで固定します。
 紙には弓道の的のような絵が描いてあって、
 真ん中の丸がターゲットとなります。
 その上で体勢を構え、的に命中後、
 紙ごと卒業証書のように巻き、2枚の防水袋に包み込み、
 最後にビニール袋で包んで、完了です。
 その後は、最寄のゴミ箱に捨てて構わないそうです。

 公園職員の方の話だと、雪が積もって
 既存のトイレが使用できなくなる季節に特に問題が悪化し
 (みんなテキトーなところで用を足してしまう)
 しかも問題が表面化するのは春になって
 雪が融けだす頃だというから厄介なのだそうです。
 春になると、水の確保のために雪を掘ったら
 ガーンビックリ、と、「時限爆弾」に遭遇する
 ハイカーたちが後を絶たないそうです。

 最初は笑って読んでいたのですが、
 第一に衛生上の問題もあるし、
 しなくてもいいような仕事を職員さんたちがすることで
 本来の職務が遂行できなくなるなど
 (それだけ余計なお金もかかるわけですし)
 考えてみたらあんまりおかしな話でもないな、
 と思い始めました。

 まず、私は、今までどおり、
 自分の犬のうんこだけは
 しっかり始末するところから始めよう、
 と固く決意を新たにしました。
 もちろん、いつか
 マウント・シャスタに登る機会があったら、
 自分のも、しっかりと。
 (くみこ)






「春にならないとわからないし、
 わかった時には一斉に登場するだなんて、
 ほんっと、おそろしい時限爆弾だよ!」
と思わず笑いながらメールを読みましたが、
カリフォルニアの山の人たちにとっては、
シャレにならない大問題なのでしょうね……。
くみこさん、貴重なメールを、ありがとうございました。

さて、今日はもうひと話題をお届けです。
先週のこのコーナーでご紹介した、
大工の人のいまの雇用形態に関して、
「職人さんのある暮らし」的なメールが
いくつも到着しているのです。
どのメールも、おだやかなものですが、
いまの世の中での職人の見られ方の一例だと思います。
淡々と、いくつかを、ピックアップいたしますね。







・先日の「大工のかみさん」のお話を、
 友人の新築の話と重なって
 とっても楽しく読みました。
 その友人の新築の話というのが、
 まさに職人さんとお客さんの
 素敵な関係の話だったのです。
 セミオーダなので、間取りなどには
 制限があったものの、和室なし、堀ごたつ、
 TV 付ジェットバスに、天井下の物置、
 食器洗い器は必須で、衣更えの必要がないように、
 クローゼットは 5 人家族でも使えるほどの広さという、
 かなり我儘なものであったにもかかわらず、
 建売り住宅とかわらない価格で完成できたそうです。
 電気工事士の免許を持っている友人が、
 配線工事で使用する部材に関して
 設計士さんにいろいろ要求を出したところ、
 設計士さんの知らない部材ばかりだったそうです。
 でも、その設計士さんはその時、
 友人の持っていたパンフレットを借りて、
 御自分で一生懸命勉強されていたようです。
 このあたりは、設計士さんと
 良いコミュニケーションができていたと、
 友人もご満悦でした。
 
 さて、実際に工事に入ってからは、
 毎週のように家族全員で工事を見学に行き、
 職人さんに「なにをしているの」とか、
 「どうして、こんなことをするの」とかを
 聞きまくっていたようです。
 ついでに、大きなイベントがあれば、
 かならずビデオでその様子を撮影し、
 職人さんに見せていたそうです。
 そのおかげか、はたまた美人の奥様が
 時間の許すかぎり、冷たいお茶の
 サービスをなさったせいか、棟梁と仲良くなって、
 細いところにずいぶんとサービスして頂いたそうです。

 例えば、娘さんの部屋の窓の位置が、
 娘さんの想像していたよりも
 かなり高いところにあったため、
 希望どおりの位置に変更していただいたとか、
 友人の書斎の吊り戸棚に
 いろんなケーブルを通すための穴を開けてもらったら、
 その穴がきれいに面取りしてあったとか、
 やはり書斎の天井からスピーカを付けたいといったら、
 もう完成していた天井を一部はがしてまで
 スピーカの取付場所を確保してくれたとか、
 台所の吊り戸棚のドアを硝子製から
 木製に変更してもらったりとか、
 洗濯機置場の水道栓の位置が悪く、
 洗濯機が収まらなかったら、
 工事終了後にもかかわらず、
 水道栓の位置を変更していただいたりと、
 細かいことをあげると、
 きりがないほどにサービスをしてもらった、
 と言っていました。
 
 まぁ、いくつか設計側と職人さんたちの連絡ミスや、
 意思の疎通がうまくいっていないことが原因の
 工事ミスもあったといっていましたが、
 それでも職人さんたちが、
 変更作業を気持ちよく引き受けて下さったおかげで、
 工事がとても順調にすすんだそうです。
 その友人が最後に、
 「現場のことを一番よくわかっているんだよね。
  職人さんって。
  だから、職人さんが気持ちよく仕事できると、
  いい物ができるんだよね。」って。
 いい仕事はいいコミュニケーションから
 生まれるものなんですよね。
 (黄色いおさかな)



・大工さんのお話、読みました。
 ただいま現在「お施主さん」な立場です。
 来週から建築が始まる予定なのですが、
 工務店さんの社長さんにも
 不動産屋さんの担当の方にも
 「職人さんと直接話をしないように」
 と、くどいほど念を押されました。
 トラブルの元になるし、
 職人さんのプライドを傷つけてはいけないから、
 という理由でした。 
 「お施主さん」を何度もやったことある人って、
 そうめったにいないと思うのです。
 私ももちろん初めてだし、
 だから、言われた通りにするつもりでした。
 今、けっこう困ってます。
 (施主のかみさん)



・大工のかみさんさんのお話の
 「現場の大工さんが一番その現場のことを
  分かっているのに」
 本当にそうだなぁ〜と思いながら読みました。
 私の母も10年前に10坪の土地に家を建てました。
 家が出来上がっていくのが楽しみで、
 毎日現場に通ううちに
 現場の大工さんたちと仲良くなり
 「ここは、設計ではこうなっているけど
  こうした方が使いやすいよ」
 などなど現場の大工さんたちに
 細かいところを直してもらい
 ずいぶんお世話になったことを思い出しました。
 (しおちゃん)



・私の住む地域では、大工さんのことを
 今でも「大工様」と呼んでいます。
 尊敬と親しみの込もった言葉です。
 昔からの習慣で、毎日10時と3時には、
 施工を頼んだ家の人が、
 大工さんにお茶とお茶菓子を差し入れ、
 時には一緒にお茶を飲んでもてなします。
 昔は、毎日、仕事が終わった後に、
 大工さんたちにお酒が振舞われたそうですが、
 今はもうお酒が贅沢品でなくなったことや、
 車で通勤する事情もあって、
 この習慣はさすがに廃れています。

 我が家は、2年前に新築したのですが、
 そのとき、私も差し入れに行って、
 大工さんたちと一緒にお茶を飲みながら、
 使っている木材の話や、
 どこがどんなふうになっていくのか、
 などを教えてもらいました。
 家の完成後は、新築の家に親戚や
 近所の方を招いてお祝いをするのですが、
 大工さん達はもちろん上座に座ってもらいます。
 そして、始めに、大工の棟梁に
 お祝いの唄をうたってもらうのが慣わしです。
 「大工は唄もうたえねえといけないんだ」
 と棟梁は笑っていました。
 田舎だからできることなのかもしれませんが、
 大工さんと施工主の、こんな関わり方もまだあるのです。
 
 我が家を建ててくださった方たちは、
 素人の私から見ても、プライドとこだわりをもって、
 きっちり黙々と仕事をする棟梁と、
 棟梁が集めたかっこいい職人集団でした。
 いい仕事をしている人は、必ず口コミで伝わります。
 私の家を手がけてくださった大工さんも、
 そうやって人に紹介していただきました。
 夫大工さんの熱意と誠意と腕も、
 時間はかかるかもしれないけど、
 きっと周りに伝わるはずです。
 そのことを、伝えたくて、メールを書きました。
 (ともこ)






職人もののメールを読んでいると、
別に自分が職人ではないのだけど、
「ちゃんとやってる仕事は、見られているんだなぁ」
という、妙なうれしさがありました。

古くからつづく職人的な関わりあいを
めんどくさく思う施主もいるのでしょうが、
そうではない家の建てかたもあって、
人それぞれなのだなぁとも思います。

では、次回のこのコーナーで、またお会いしましょう。


さまざまな、日本国内や海外からの
ニュースのご近所のおたよりは、
件名を「ご近所ばなし」として、
postman@1101.comまで、どうぞーー!!

2002-10-08-TUE

BACK
戻る